ソウルの美味5 韓国の餅カフェ



餅好きのわたしが、今一番気に入っているのが、韓国伝統飲食研究所の1階にある、「餅カフェ・チルシル」です。チョンノサムガ(鐘路3街)6番出口からチャンドックン(昌徳宮)方面に5分ほど歩くと、左側に木とガラスをふんだんに使った建物が見えます。むしろアックジョンドンにありそうな雰囲気なのですが、この建物に「韓国伝統飲食研究所」と「餅・台所とくらし博物館」、そしてお目当ての「餅カフェ・チルシル」が入っているのです。

韓国では、餅は季節の節目、人生の節目に欠かせないものです。例えば、チュソク(秋夕:日本のお盆にあたる)の時には、ソンピョンという餅を食べますし、結婚式の時にも餅が登場します。日本と比べて餅の種類もさまざまで、見ているだけでも楽しくなります。

最近は、伝統的な餅だけではなく、現代的なアレンジを加えた餅が次々と考案されています。チンシルでは、伝統的なものと現代的なもの、両方がいただけるのが嬉しいところです。しかも、韓国伝統飲食研究所、という研究機関が日々研鑚を重ねた結果、お店で出しているものなので、形もスタイリッシュで、しかも本当においしいんですよ。

チンシルでいただける餅のなかでも、ユニークさとおいしさという点では、「餅弁当」に勝るものはないでしょう。「餅弁当」は、まさに名前の通り、松花堂弁当のように仕切られた容器の中に、餅でつくられたおかずが美しく盛り込まれています。

まずは「餅サンドイッチ」と「コーヒー餅」。サンドイッチの白いパンの部分は餅で出来ているんですが、全く違和感なくおいしい! コーヒー餅のほうも、いい香りがして、完成度が高いです。右下はムルギムチ(水キムチ)。さっぱりした味わいでした。

さらにおどろきの餅が! キムチを芯にして餅で巻いた、「海苔巻餅」です。しかも、海苔の部分もわざわざ黒色の餅で作ってあるという、芸の細かさ。餅に対する研究熱心で真摯な姿勢が伝わってきます。

一緒に頼んだメシルチャ(梅味のお茶)も、今まで飲んだメシルチャの中で、もっともおいしいものでしたし、こちらは伝統喫茶の店としてもおすすめできます。また、お店のスタッフがとても感じがよいので、ゆっくりくつろげます。チャンドックンを歩き回って疲れた時などに、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

これで、わたしの連載は最後となりました。読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。また、いつかどこかでお会いしましょう。
(All Korea連載・了)

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