☆ シンプル・マインズがマガジンの影響下にあったこともよく知られた話で,当初は数あるエレクトロ・ポップ・バンドの一つに過ぎなかった。このデジパンク盤ならDisc1の終わりの方に入っているZoomレーベル時代の曲を聴くと分かる。皮肉なことにジョン・マクガフの脱退をきっかけにマガジンが空中分解するかのように解散した直後,ヴァージン・レーベルに迎えられたシンプル・マインズは,代表作となる『New Gold Dream』『Sparkle In The Rain』『Once Upon A Time』と進むにつれ,どんどん骨太のバンドに成長していった。その初期のリリカルなスタイルからの変化の軌跡は,U2と並べ評しても悪くない。ただU2が『ジョシュア・ツリー』の世界的ヒットでワールドワイドなバンドに成長していったのとは対照的にシンプル・マインズは英国を代表するバンドへ成長していった。比喩として的確ではないことを覚悟して言えばストーンズとキンクスのような差があると思う。
☆『Sons And Fascination』のLP(初版当時)のレビュアーは「The American」をマガジンの「A Song From Under The Floorboards」そっくりだと書いていた。そっくりとは思わないが,シンプル・マインズのマイケル・マクニール(キーボード)は,確かにマガジンのデイブ・フォーミュラを意識していたかもしれない。ただ『New Gold Dream』はマガジン(特に『Real Life』)やニューロマンティックスに至る前のエレクトロ・ポップ(例えばヒューマン・リーグなら『Travelogue』)の色彩が強い。
☆ 「Someday,Somewhere in Summertime」は,当時サントリーのCMで使われたため,このバンドの曲ではかなり認知度の高い作品(サントリーとホンダは本当に選曲センスが良く,ジョン・フォックスやピッグ・バッグなどCMが無ければもっと知られていなかったと思う)。日本選曲でもないこのベスト盤に選曲されたのはちょっと意外(ただ日本盤のレビューの記録以上に全英でヒットした気がするのだが)。