四聖-夢氷月天-

四聖-夢氷月天-

壱「二」


朝食を適当に済ませて、鞄を用意して、準備完了、っと
「いけない、いけないー」
自室へと急いで向かいペンダントをつけて今度こそ準備完了。
家を出ることにした。
まだ冬ではないとはいえ、十一月も終わりとなれば朝は少し冷え込んでくる。
学校はさほど遠いわけでもなく、歩いて二十分とかからない。
いつもと同じく、登校時間よりも少し早めに、と言っても三十分以上前だが、とりあえず教室へと入っていった。
教室内にはいつもと同じく二名。
どっちも特に仲がいいわけでもなく悪いわけでもない。
「おはよう」と、短く挨拶だけ交わす程度。
挨拶をすませると、足早に教室を出て、向かう先は生徒会室。
生徒会室はある人物の独壇場である。
そのある人物というのが、流れと勢いだけで生徒会長に就任してしまった友人、雄吾(ゆうご)である。
雄吾は表の面は面倒見が良いと言うイメージらしい。
実際雄吾は細かいところに気配りができたり、また統括力がある。
普段は何を考えているのかつかみにくい点が多く、近寄りがたい雰囲気があるのも否めない。
喜怒哀楽、と言う感情を表に出すことが少ない。
しかし、反面どこか親しみやすくて、安心できる奴、とでも言っておこう。

生徒会室の前まで来たが、人の気配はない。
カギは雄吾から預かっているので勝手に開けて中でのんびりする、と言うのが朝の決まりである。
もちろん、今日もその流れに逆らうはずもなく、中に入ってポットにお湯を注ぎ始めた。



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