魔法戦記 第三章

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魔法戦記 第三章 「戦乱 再び」(前編)


新魔導創世紀2200年・・・、聖ラヴィス国の南西にある町クロンバレイで、新たな生命が誕生した・・・。シーク・レイム・・・、そう、あのクェス・レイムの末裔である・・・。
父は、クェスのいた「パラディーン」の現団長、イザレス・レイム(当時20)、母は聖ラヴィス大聖堂の司祭の娘で、召喚士のウィオラ・ピースレイン(当時18)である。
シークには、姉のシエラがいるので、父と母が外出したときに、シエラはいつもシークの面倒を見ていた。

それから15年後、シークは立派に育った。そして、ある日のことだった・・・。
「シーク・・、シーク、起きなさい!!シーク!!」
シエラがシークの体を揺らしながら大きな声で叫んだ。
「うう・・・。あ・・、姉さん、おはよ~~・・・Zzz・・・。」
「閃光魔法 (ジェクティム) 、朝っぱらから一発いっとく?」
「ああ~~~、いい朝だな~~~~~!!!太陽がまぶしいな~~~!!」
シークは冷や汗をたくさんたらしながら、ものすごい速さで起き上がった。
「あら、シーク、シエラ、おはよう。朝ごはんできてるわよ~~。」
ウィオラがなにやらうれしそうな声を出した。
「今日の朝は~~、爆発ス~~プよ~~~♪」
「爆発スープ?姉さん、爆発ってどういう意味かな~~。」
「きっと爆発するくらい美味しい、ってことじゃない?」
「うおっ!!!美味そうだね~~。」
シークとシエラは、わくわくしながらテーブルのいすに座った。
「はい、召し上がれ~~♪」
人気キャラクター、「アフロちゃん」のアップリケをつけたエプロンを着たウィオラがシークとシエラの前に「爆発スープ」を置いた。
ボコッ、ボコッ・・・。「爆発スープ」の表面が、マグマが沸騰しているような音を立てていた・・・。
(うわ~~~・・・・。確かに・・・、全く違う意味で爆発するな・・・。)
二人の頭のなかでは、同じことを考えていた。
「さあ、召し上がれ♪」
「飲めるか!!!こんなUMA・・・・」
すると、ウィオラは目がすわったような顔をして、なにやら印をむすびながら、
「こんな、なんだって???ほら、言ってみなさいよ・・。」
「ありがたくいただかせてもらいます。お母様。」
シークとシエラは冷や汗をたらして、声をそろえて言った。
「いただきます・・。」
シークとシエラは顔をこわばらせながら、スプーンでスープをすくい、口へ運んだ。
「がっ!!!ぐあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
シークとシエラは、大声を出して、のた打ち回っていた。
「どう、美味しかった?」
「俺たちを殺す気かーーーーーーーっ!!!!」
「も~~~っ、お母さんっ!!!冗談はやめてよ!!!あたし本当に意識遠のいたんだよ!!!」
すると、ウィオラは怒った口調で、
「なによなによ!!!あなた達、そこにある「うまスープ」をかけて食べたの??」
「うまスープって・・・?」
ウィオラはテーブルの上にあるなんか怪しげな雰囲気を放つ黒いびんを持ってきて、
「これよ、これっ。昨日、どんなまずい料理でも美味しくなる調味料だといわれて買ってみたものなのよ~~~・・あっ!!!」
怪しげなびんのかわいい絵柄のラベルがはがれて、白い骸骨の絵が描いてある黒いラベルが現れた。
「UMAスープだ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」
「あっ!!!あの店員~~~!!!せっかく1500ネール(ネール=この世界で使われているお金)も払ったのに!!騙された~~~!!!」
「あっ、シ・・・シーク、今から一緒にお風呂入りましょ・・・。」
「そ・・・そーだね、姉さん・・・。」
シークたちはものすごいスピードで逃げていった・・・。
「・・・・。イザレスさん、たんすの中に隠れても無駄よ。」
「・・・、ははは・・・ばれちゃった?」
その頃、浴室では・・・
「父さんめ、一人だけ逃げやがったな・・・。」
「ふぅ・・・。ようやく落ち着けるわ・・・。」
「ぐぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
家の中に、イザレスの悲鳴がとどろく。
「あ~~~あ・・・、多分UMAスープ入り爆発スープ飲まされたな・・・・・。」
「ご愁傷様です・・・。」

そんな楽しいときが長く続くと思った・・・。しかし、やはりブレイヴナイトの運命の歯車は、悲しいほうへと廻っていくのだった・・・。
「イ・・・イザレスさんっ!!!!!!!!!!」
突然町の住人がレイム家に駆けつけてきた。イザレスが急いで玄関へ走る。
「どうしたのですか!!?」
「た・・・大変です!!せ・・背中に羽を生やした兵たちが・・・突然・・・がぁっ!!!!!」
背後から天界人らしき兵が、助けを求めてきた住人を斬りつけた・・。
「て・・・天界軍!!!混乱しているこのときを狙っていたか!!ドミニオンめ・・・!!」
「我ら天界人に新たな楽園(ヴァルハラ)を!!!!」
そう言い、天界軍の兵が剣を抜きイザレスのほうへ走ってきた。
「・・・。運命とは、本当に悲しいものだな・・・。」
悲しい顔つきでそう言い放って、背中にある「妖刀 朔夜」を抜き、兵のほうへ走り横一閃に斬り抜けた。
「て・・・天界に・・、永遠の栄えあれ!!!・・・ぐふっ・・・。」
天界軍兵は血を吐いて床へ倒れた・・・。イザレスはズボンのポケットから白いハンカチを取り出し、天界軍兵の亡骸のヘルメットを外し、その顔にかけてこういった。
「・・・、本当に運命は悲しいものだ・・・。これも生まれの違いでもった悲しい宿命だ・・・。今度は決して戦いのない時代に生まれてくるんだな・・・・。」
「イザレスさん・・・。」
「・・・。ウィオラ、見ていたのか・・・。君には見せたくなかったが・・・・。」
「父さん、どうしたの!!?」
シークたちがイザレスたちのところへ駆け寄る。
「シーク、シエラ、ウィオラ・・。お前ら、ここの住人を全員連れて聖ラヴィス国へ逃げろ!!!」
「えっ!!!父さんだけじゃ無理だよ!!俺も戦うよ!!!俺だって剣を習ったんだ!!!」
「お前じゃ無理だ!!!相手は天界軍、しかもこの兵の頭にある紋章からおそらくドミニオン隊だ!!!そこら辺の雑魚モンスターとは話が違うんだ!!!」
「イザレスさん・・。あたしも戦うわ!!!召喚獣であなたを援護するわ!!!」
「だーめーだっ!!!俺は君も、そしてシーク、シエラ、お前ら俺の子供たちも、そして、俺の愛するクロンバレイの人たちを死なせたくないんだ!!!」
「イザレスさん・・。分かったわ・・・。でも、必ずあたしたちのところへ帰ってきてね!!」
「がってんでいっ!!!」
イザレスは家の外へ走っていった。シークたちは急いで外へ出た。必死に他の家にまわり、
「ここは危険です!!!早く聖ラヴィス国へ!!!ここから北へ行けばたどり着くはずです!!!急いで!!」
と呼びかけ、住人たちを避難させた。
「よしっ!!!これで全員避難させた!!母さん、姉さん、俺たちも早く逃げよう!!」
「いえ、母さんはここでイザレスさんの戦いを見届けるわ!!」
「何言ってるんだよ!!!母さんも死ぬぞ!!」
「母さんはあの人を信じてる・・・。でも、やっぱり心配なの!!!シーク、シエラ、あなた達から逃げなさい!!!」
「・・・。やっぱり、俺は逃げない!!俺も父さんの戦いを見届けるんだ!!」
そのころ、イザレスは、天界軍総帥ドミニオンのほうへ向かって突き進んでいた・・。
「どこだ・・・。俺はここだぞ!!!出て来い!!ドミニオン!!!このイザレス・レイムが相手だ!!!!」
第四章「戦乱 再び」後編へ続く

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