魔法戦記 第五章

第二幕 「滅べ、ヴァルハラの彼方で」 第五章 「旅立ちの朝・・・。」


「あたしは自分だけの手で天界との決着をつけるっ!!!」
そういい残し、シエラが出てったのは、イザレスの死の三年後である・・・。今のクロンバレイは、何とか平和を保っている・・・。イザレスの死後、急きょ「イザレス・レイム公園」が作られ、その広場の真ん中にはイザレスが「妖刀朔夜」を構えている姿の石像が建てられている。

「シーク・・・。起きなさい、シーク!!」
ウィオラがシークの体を揺らしながら叫ぶ。しかし、シークはなかなか起きない。
「・・・。こーなったら最終手段だ♪」
ウィオラは台所まで走っていき、そこからあの悪夢の「うまスープ」を手に取り、シークの鼻のそばにふたを開けた状態で近づけた・・・。すると、次第にシークの顔が青ざめていった・・。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
シークは目を全開に開けて苦しそうに叫んだ。その部屋には何やら紫色の気体が充満していた・・・、これじゃまさに「アウシュビッツのガス室」である・・・・。
「シ・イ・ク~~~、お目覚めいかが☆☆」
「ゾンビの大群が襲ってくる夢を見たよ・・・・。それよりも母さんっ、この部屋消臭しろよ!!!それに窓も全開!!!!てっってぇぇぇぇいてきに換気しろよ!!!」
「そんな時こそこれを使うときよ!!!!」
ウィオラはエプロンの前ポケットの中に手を突っ込み、ガサゴソと探って何か取り出して某キャラクターの口調で、
「ピャプリ~~~ズ~~~~~~♪」
「ほげげーーーーーーーーーーーっ!!!!」
シークは思いっきりずっこけた。
「母さんっ!!!著作権に引っかかる口調で言わないでよ!!!!!!」
「めんごめんご♪まあ、あなたも手伝って。はい、ピャプリーズ。」
シュッシュッシュッシュッ・・・・・・・・・・。数時間後、ようやく臭いも空気もきれいになった。
「さてと、きれいになったところですし、朝ごはん食べましょ♪」
「うん、そうだね。あ~~~、腹減ったぁ。」
二人は階段を下りて、ダイニングルームへ向かい、テーブルのいすに座った。そのテーブルの上にはパン、チーズを溶かしたものの入った鍋、色鮮やかなサラダが置いてあった。
「今日の朝は、チーズフォンデュに、野菜サラダ~~~~♪」
「うおっ!!!すっげぇーーーーーっ!!!!どれも美味そーーー!!母さん、今日はかなりいいもの揃いだね!!」
「だって今日でしょ?シークが聖ラヴィスに行くのは。旅立つ前には美味しいもの食べて元気つけなきゃ☆」
「・・・・・。」
「?・・・どうかしたの?」
「姉さん・・・、今頃何してんのかな~~~。今年で姉さんも大人の仲間入りだからな~~~。」
「シーク・・・・。うぅっ・・・。」
ウィオラはシークを抱きしめて、涙を流して泣いた・・・。
「母さん・・・。俺が行っちゃうのが悲しいんだね・・・・。」
「18にもなって未だにシスコン(シスターコンプレックス)だなんて・・・。あたしの育て方が間違ってたのかしら・・・。え~~~~~~~~ん・・・。」
「母さん・・・、殺すよ?」
「すみません。それよりも、早くごはん食べちゃいましょ♪いっただっきまぁ~~~~~す♪」
「いただきま~~~す♪うわ~~~、まず何から食べようかな~~~?」
シークとウィオラは楽しげにごはんを堪能した。シークにとってはまさに至福のときだったと思う・・・。
(ゲテモノじゃなくてよかったよかった♪)

ついに、シークの旅立つ日がやってきた。シークは背中に大きなリュックをしょって、腰にサバイバルナイフを忍ばせ、もはや準備完了といえるくらい準備は万端だった・・。
「シーク、着替えとか持った?」
「うん」
「お父さんの形見のペンダント持った?」
「モチロン」
「聖ラヴィスに着いたらまず何をすべきか?」
「片目を黒い包帯で隠しているリョウコっていう女の人に会って、このペンダントを見せる・・・、だったっけ?」
「That’s Right!!!おみごとっ!!」
「母さん、しばしのお別れだね・・・。」
「・・・、ええ。寂しくなるわね・・・。でも、きっとまた帰ってくるのを信じてる・・。きっと・・・、みんなで仲良く平和に暮らせるときは来るわ。」
「ああ、母さんは楽しみに待ってなっ!!!姉さんも見つけてきてやるぜっ!!」
「頼んだわよ、シーク・・・。じゃあ、行ってらっしゃい!!!それに、頑張って!!!!」
「行ってくるぜ!!!母さんも体、気をつけてなっ!!!」
ウィオラは必死に涙をこらえてシークを見送った・・・。シークも同じく悲しみをこらえ聖ラヴィスのある北の方へ向かって走っていった・・・。
「もう・・・。あの子ったら・・・・・。」
ウィオラの目から涙が頬をつたった・・・。我慢した分・・・、ウィオラは涙を流した・・・・。声は出さず・・・、静かに・・・・泣いた。
そう、今、一つの物語が始まった・・・。長い、長い物語・・・。
シーク・レイム、18歳・・・。この少年が今、ブレイヴナイトの未来(あす)を切り開く・・・・・・・。
第六章へ続く・・・。

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