魔法戦記 第八章

魔法戦記 第八章「覚醒」(後編)


ドクン・・・ドクン・・・・。シークは何やら苦しそうにして顔を抑えていた・・・。シークの胸の紅い光もより一層輝いてきている・・。
「ぐっ・・・がぁぁっ・・・。だ・・・誰だ・・・俺に・・・話し・・・かけてくるのは・・・・!!!」
すると再びシークの中で声がした・・・・。
『お前はまだ完全ではない・・・。我を受け入れよ・・・・・。今こそ、目醒める時だ・・・・・。』
「ぐあぁっ!!わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」
突然シークから激しい紅い光があふれ出した・・・。するとシークの姿がまるで別人に変わっていく・・・・。それと同時にリョウコの胸も金色に輝きだした・・・・。
「シ・・・シーク・・・?あの紅い光は・・・・。ねえ、アリア・・・。あの光は何なの・・・・?」
「文献で見たことがあります・・・・。ブレイヴナイトの人は、あることによって体の中のエーテルクリスタルの力が暴発して、普段以上の力を出せるようになると・・・・。」
「まさか・・・・覚醒・・・!?・・・・。」
やがてその紅い光は収まり、そこには漆黒のような長い髪をさげ、血の如く紅い目をした謎の少年が立っていた・・・・。
「あれ・・・・が・・・、シー・・・・ク・・・・。」
リョウコは意識を失い、胸から出ていた金色の光も収まった・・・・。アリアはリョウコを背中に背負い、聖ラヴィス大聖堂の方へ向かった・・・。するとその謎の少年は腕を十字にクロスさせ、経文のような言葉を発していた・・・・。
オンカラ シンディラ シャトラ インドラ・・・ウンカラハッタ グテムラ ソヴァカ・・・・・。 ブラッディ・サーペント!!!!」
すると腕からものすごい気を発し、そのエネルギーは次第に刃の如く形どっていく・・・・・。その時、いきなりあのモンスターが少年の方へと襲い掛かってきた!!!
「キュロロロロロロロロロォォォォッッ!!!!」
モンスターが腕を上げた瞬間、その腕が上に吹っ飛んだ!!!その部分から血が吹き出た・・・。その様子を見ていたアリアは一瞬目を疑った。
「剣などの刃物を使わずに・・・。!!!あの腕はもはや鋭い剣のごとく敵を引き裂く手刀になっている・・・。」
モンスターはなおその少年に襲い掛かる!!しかし、まるで動きを先に読んでいるみたいに簡単に避けている。そして襲い掛かってくるたびにその少年はモンスターの四肢を手刀で切断していった・・・。
「これで攻撃はできないな・・・。この技でその臓物をブチ撒けろッッ!!!!! 断罪の羅刹(ギルティ・ガイスト)ッッ!!!!
その少年は口から黒い霧のような気体を吐き出し始めた・・・。するとその気体は人間の姿に変わっていった・・・・。
「あの化けモンに憑依しろっ!!!!」
すると『断罪の羅刹』は、手足を失ったモンスターに憑依し、少年が腕を上げるとその体は浮き上がった・・・・。そして、手を前に突き出すと、そのモンスターの胴体を突き破り、黒い腕が出てきた・・・・・。
「じゃあな。 七種の断罪(ヅェーヴェンズ・ギルティ)第二の断罪 斬戟の断罪(ヴァリアント・ギルティ)!!!!!
黒髪の少年は、前に突き出した手を斜め下に振り下ろした・・・。モンスターの胴体は引き裂かれ、大量の血が地面に雨の如く降り注いだ・・・・・。モンスターは地面に落ち、その体から憑依した『断罪の羅刹』が抜け出てその少年の体に戻っていった・・・。
「どうだった・・・。体内から臓物(はらわた)ずたずたにえぐられた感想は・・・?」
「おいっっ!!!貴様、そこで何をしている!!!!」
すると、聖ラヴィスの兵士が5人くらいが向かってきた・・・。その兵たちは黒髪の少年にライフル銃を突きつけた・・・。そして、兵の一人が黒髪の少年にこう質問した・・・。
「さあ、ここで何をした・・・。その血だまりは何だ・・・?さあ言え!!!言わなければお前を殺人の罪で即銃殺刑に処す!!!」
その後、黒髪の少年は冷たく、残酷な目つきになって兵たちに向かいこう言い放った。
「誰だ貴様たちは・・・。俺の邪魔をする気か・・・・・。そうか・・・、貴様らもこの化け物みたいに裁かれたいか・・・。」
「あくまでも言わぬつもりか・・・。総員、あの男を撃てぇぇぇっ!!!!」
少年は冷たく笑みを浮かべ、再び腕に鮮血の紅爪(ブラッディ・サーペント)を構えた・・・。
「ふっ・・・・。その言葉・・・、後悔するなよ・・・!!!!!」

「うっ・・・、ううっ・・・。」
その頃、リョウコはアリアによって聖ラヴィス大聖堂の治療所に運ばれて、しずかに休んでいた・・・。そして今、リョウコの意識が回復した。
「リョウコ団長・・・!!やっと目を覚ましましたか!!本当に心配したんですよ、あんなにひどい怪我をしていたのですから・・・・。」
「アリ・・・ア・・・。シークは・・・、シークはどうしたの・・・?」
「シーク様は・・・・、今必死になって戦っていますわ・・・。安心してください、きっとシーク様は無事です・・・。」
リョウコは悲しい顔つきになって、アリアに言いかけた・・・。
「ねえ・・・やっぱり心配・・・。悪いけど、見てきてくれない・・・かな・・・。」
するとアリアは軽く笑みをこぼして、外した甲冑の兜を再びかぶり
「ふふふ・・・。ひょっとしてシーク様に気がある・・・のですね?確かにかっこいいですからね・・・。」
「なっ・・・!!!ち・・ちちち違うわよ!!!かかか・・・勘違いしないでっっ!!!」
リョウコは顔を真っ赤にしてかなり焦りながら慌てふためいた。そして再び布団の中にもぐりこんだ・・・。
「ふふふ・・・。分かりました。今から見に行ってきます・・・。少々待っていてくださいね・・。何か用が御座いましたらこの呼び鈴で近くの騎士兵をおよび下さい。では・・・。」
そう言った後、アリアは治療所を後にし、シークのいるところへと走っていった・・・。だが、アリアの顔はあのときの微笑みの表情はすっかり消え、もはや厳しい顔つきになっていた・・・。そう、アリアは心配しているのだ・・。あの状態のシークが何をやらかすかが・・・。
「シーク様はいま半覚醒状態・・・。まだ完全に目覚めていない・・・。あの状態はすっかり思考能力を失い、戦闘本能のみで闘う狂戦士(バーサーカー)と変わりない・・。お願い・・・早く目覚めて・・・!!」
アリアは全力で走った・・・。(早く・・・早くシーク様を止めなければ・・・、ここが危ない!!!)こう思いながら必死に走った・・・・。

しかし・・・、それも遅かった・・・。そこは地獄だった・・・。半覚醒状態のシークの周りには、シークに銃を向けた聖ラヴィスの兵五人が、血まみれになって倒れていた・・・。もはや息絶えていたり、大量の血を吐きもがき苦しんでいたり・・・・。中には外から内臓をえぐりとられたような死体もあった・・・。
「うっっ!!!」
あまりにも凄惨な光景にアリアは手を口に押さえた・・・。覚醒状態のシークの体には大量の血がついていた・・・。よっぽど人の返り血を浴びたのだろう・・・・。手にも滴るほど血がついていた・・。すると五人の兵のうち生きていた一人が地面を這いながらアリアの方へ向かってきた・・・。
「がっ・・・・、ぐふっ!!!た・・・・たすけ・・て・・く・・・・れ・・。ば・・・ばけ・・・も・・・・の・・・・・が・・・・。」
「ひ・・・酷い・・・。中から引き裂かれたような傷・・・。内臓も全てだめになってるわね・・・・・。」
その様子を見つけた覚醒状態のシークは、前に思いっきり腕を突き出した!!!すると、その兵の背中から黒い刃が突き出た・・・。背中から大量の血が噴き出し、その兵は息絶えた・・・・。そのときのシークの顔は残酷さを感じる笑みを浮かべていた・・・。
「もうやめてぇぇっ!!!!シーク様っっ!!!目を覚ましてくださいっっ!!!」
「どいつもこいつも・・・・うざってぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!!! 鮮血の紅爪(ブラッディ・サーペント)ォォォッ!!!
シークは再びブラッディ・サーペントを構え、アリアの方へ走ってきた・・・。アリアは何も構えずに、ただシークが来るのを待っていた・・・。
「くたばりやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」
ブラッディ・サーペントはアリアの胸をそれて、腕を貫いていた・・・。アリアは痛そうな表情はしたが、すぐに優しい顔をしてシークにこう言った。
「もう・・・、気が済みましたか・・・。シーク様・・・・。」
「・・・、ぐあぁっ!!!!な・・・何故俺を・・・受け付けない・・・・。寝ていろと・・・言ったはずだっっ!!!」
するとシークの目が赤色から元の色に戻りかけていた・・・・。そして、今度はシークの声が聞こえた・・。
「この体は・・・、お前のものじゃないっっ!!!元の場所へ・・・還れ!!!!」
「あぐっ!!!がぁぁっ!!!ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!!!!!」
シークからまた紅い光が放たれた・・・。するとシークは元の姿へと戻っていく・・・。ブラッディ・サーペントも消えて、シークは後ろへと倒れた・・・。
「・・・・。終わったの・・・・ね・・。シーク様・・・、本当にお疲れ様・・・・・・・。」
アリアは両腕を怪我している状態で、すっかり意識を失ったシークを背負い、聖ラヴィス大聖堂へと静かに歩いていった・・・・・。

ブレイヴナイトの『覚醒』・・・・。それは宇宙より授けられた『禁断』の力・・・。最初のブレイヴナイトであるクェス・レイムも一度覚醒し、味方を一瞬で全滅させたという・・・。
新たな敵・・・、『覚醒』の謎・・・・。ブレイヴナイトの真の自由のための戦いは、新たな局面へと向かおうとしていた・・・・。
第九章へ続く

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