鍋・フライパンあれこれ美味
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雫の水音
15章~動く死体の巣窟~
「何これ?!臭っ」
ケルシーは吐き気に襲われたのか
後ろに引いた
シェイクは演技のように、臭いと思わせる仕草をしていた
「いやなら帰っても良いぞ、ケルシー」
シルビアはケルシーに目線を移していった
「それにしても、灯台なのに何故腐乱臭が?」
翔はシルビアに尋ねた
「死体なんかの魔物が救っているらしいな…」
ドアの奥から何体かのゾンビが這い出てきた
「ギャー!何これ!気持ち悪い。」
フライパンを振り回しながらゾンビを退けている
シルビアは双剣を構えて、地を蹴って
ゾンビの群れに突っ込んだ
「わぉ、シルビア君凄いね。」
シェイクはゾンビに囲まれているにも拘らず
余裕たっぷりだ
翔も負けてられないと、剣を構えゾンビに向かった
斬る度に、ドサッと肉片が床に落ちる
そして、腐った液体が飛び散り不快感を与える
「急いで突破しましょ。出てくる奴等を相手にしてたら限が無いわ。」
ケルシーはフライパンを盾にし突っ走った
シェイクもゾンビの攻撃をかわしながら
中に入っていった
それに続き、翔とシルビアも剣で薙ぎ払いながら灯台の中へと
4人はゾンビを横に、地下に辿り着いた
「ここも、ゾンビでいっぱいじゃない!」
ケルシーは横にいたゾンビの頭を
おもいっきりフライパンで潰した。
「おぉ、やるね。」
「そこのおじさん、さっきから見てばっかじゃなくて手伝いなさいよ!」
ケルシーはシェイクに向かって起こった
「いいよ。僕の奏でる音楽で…」
シェイクは竪琴を手に取り
演奏を始めた。
「ふんっ、演奏なんかでゾンビを倒せるなら苦労しない。」
シルビアは鼻で笑った
「あはっ!そう思うのかい?まぁいいさ。僕の奏でるレクイエムがゾンビの
彷徨える魂を鎮めてあげよう。」
シェイクが弦を弾く度にゾンビの動くが鈍くなっていき
そして何時しか、ゾンビ達は床に倒れていた。
「シェイクさん凄いですね。音楽でこんな事ができるなんて。」
翔は感心していた
「それよりも、何か変じゃないか?」
シェイクが指を指した先に…
シェイクの指し示した方向を
3人はいっせいに見た
体を不規則に動かし、明らかに他のゾンビと違う
そのゾンビと目を合わせてはいけない
と直感で感じる程の威圧感。
しかし、シルビアだけは
じっとゾンビを見つめていた
「どうかしたのか?」
翔はシルビアに物音を立てないように近づいた
「面白いじゃないか…」
シルビアはボソっと呟いた
その時、シルビアは床を蹴り
剣を構えた
「ど、どこかで見たことあると思ったら…」
不意にケルシーが話し出した
「あ、あれ前国王、シルビアのお父さんにそっくり…何で?」
ケルシーはその場に膝を付いた
「ゾンビ…最近、行方不明者が多い…」
シェイクは、手を顎に当てて考えていた。
「行方不明者って?」
翔はここに来て初めて聞いた事だった
「あぁ、ここ何年か、水の国内で行方不明になる者が多かったんだ。
特に、異世界から来たばかりの人とか」
その時、シルビアはゾンビと化した父の元に
「オ・オ・オマエ・ナノカ?シルビ・ア・ァ」
その声にシルビアは一瞬怯んだ
しかし、ゾンビはそのスキを見逃さなかった
ズバーン
とシルビアを薙ぎ払い
吹っ飛ばされたシルビアの体は壁にぶち当たった
「シルビア、大丈夫か!!?」
翔は叫んで、近づこうとした。
「来るな…」
シルビアはよろめきながらも
翔にハッキリと言った
「あいつは、私が倒す。君達は黙ってみていろ。」
そう言い、シルビアは剣を構えなおした
ゾンビの禍々しいオーラは既に
シルビアだけに向けられていた
「シ・シルビア・ア・ア・私・ヲ・倒・シ・テ・クレ」
ゾンビはシルビアの方へゆっくりと近づいた
「お望みなら、本気で行こう。」
その時、双剣が水に包まれた。
シルビアは水に包まれた剣を大きく振った
すると、剣は水の部分が鋭く飛び
ゾンビの体に傷をつけた
しかし、ゾンビは少しずつ近づいてきている
だが、シルビアは水を操り
少しずつ傷を与えている
「このままだと、シルビアは負けるよ。」
シェイクはサラッと言った
「傷を与えてるじゃないか。」
「シルビアもゾンビも何か機会を窺っているようだよ。」
翔は、2人を見たが何か企んでいるようには見えなかった
ただ、2人の近くには小さな水滴が飛び散って白くなっていた。
「ゾンビなんかにはできない真似を見せてやろう。」
シルビアは力をためているのか
手を組みそこから青白い光が漏れ出した
そして、宙にある水滴が消えていった
「空気が乾燥し始めている。」
翔はそう感じ取った
「あれは、シルビアの必殺技よ。
空気中の水分を目に見えない程の針にして
相手を串刺しにするの…」
涙を拭きながらケルシーは言った
「水術・糸針!!」
水の針が移動したことによって
ようやく光の反射で見る事ができる程
の細さの針がゾンビに向かっていった
「ム・ダ・ダヨ」
ゾンビがそう言い放つと
水の針はシルビアに突き刺さり
体中から血が少しずつ流れ始めた
「やはりそうか…多分あのゾンビは生前の力を使えるみたいだ。
普通のゾンビではそんなマネは出来ない筈だ。」
「私、シルビアを助ける。」
ケルシーがフライパンを強く握り締めた
「大丈夫だ。」
翔はケルシーの肩を掴んだ
「えっ?!」
「大丈夫だよ。まだシルビアの目は死んでいない。」
翔がそう言っている間にもゾンビはシルビアに向かって走り出した
その時、ゾンビは全く気付かなかった…
自分の体が切断されていることに…
床を蹴りだしたのと同時に…
床に散っていた水滴が背後で
大きく鋭い刃物と化していた事に…
そしてゾンビの体は勢いのまま
床を踏む足が無く倒れた
「おっと、まさに肉を切って骨を断つだね。」
「父上も望んでいただろう、こんな醜い姿に成り果ててなお
生きていたくはなかった筈だ。」
そういい、剣を納めた
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