グシャグシャ

グシャグシャ

2008/01/23
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カテゴリ: レビュー(書籍)
実在の事件がベース。医療ミスを題材にして人は如何にしてミスを隠そうとしスケープゴートを作り上げるのかを描いた「針」、「池田小児童殺傷事件」を題材にして犯人が犯行に及んだ背景を語った「スターバート・マーテル」、「女子中学生高速道路放置殺人事件」をベースにした援助交際では殺害された女子中学生の哀しみを描いた「鏡」、作家(柳田邦夫氏でしたっけ?)の息子が精神を病んで自殺した際の苦悩を描いた「ディアローグ」の4編の短編集。

「針」では責任を逃れるために事実を偽装する事は、ほんの少し運命の悪戯やどうしようもない背景のもとでは誰にだって簡単に起こりうるという事を感じた。
自分自身ずっと理解不能のままであった「池田小児童殺傷事件」に一つの解を示した「スターバート・マーテル」に強い衝撃を受け、読んだ後でしばらく 背筋が凍る ような印象をもった。
「鏡」では今の子供たちの危うさとそれを利用する大人の汚さがよく描かれていた。
また「ディアローグ」では子を持つ親として感情移入するとともに子を育てる難しさを改めて感じた。

何か大きな事件が起こると 多くの人は特殊な人間やだめな人間や弱い人間の過ちであると考えて自分とは遠い世界の事だと結論付ける。でも実際の犯罪や事件を起こす人は特殊な人ではない。それを痛切に感じさせてくれる一冊。

おすすめする方 :犯罪は遠い世界の事だと思っている方
おすすめしない方:重い内容の本が苦手な方









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Last updated  2008/01/23 10:39:00 PM
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