PINEAPPLE ISLAND

PINEAPPLE ISLAND

夢日記1

夢日記1
2004年5月12日朝

 一本の電話がかかってきた。
どういう内容かは定かではないが、その電話がきっかけで、わたしはバスを乗り継いで、どこかの海辺の町へと出かける。
 そこには、たくさんの人が集まっていて、わたしたちはグループに分けられて、4人乗りの筏のようなものに乗せられた。
その筏には、なぜか布団が敷き詰められており、白いシーツがかけられている。
そこに4人で横たわり、海へと出航した。
波は穏やかで、ついつい眠気を誘うようなシチュエーションに、
わたしはいつのまにか筏の上でうとうとし始めた。
 すると、突然、筏がぐらっと揺れた。
「ここからは揺れるよ。落ちないようにつかまっておいて」
どこからともなく、そんな声が聞こえてきた。
あわててつかまろうにも、その筏にはつかまれそうなものは、ひとつもない。
しかし筏はますます揺れる。
海もさきほどの穏やかな様子はどこへやら、ところどころ渦巻いたり、
波打ったり、ただごとではない様子。
ああ、困った、このままじゃ落ちるな。
そう思った瞬間、筏はなぜかベッドになっており、
枕元には格子状の柵が見えるではないか。
よかった、これで落ちなくて済む。わたしは、その柵をしっかり握り締め、
無事に陸に着いた。

 陸に着くと、すぐに大きな旅館のようなところに案内された。
どうやら、ここがわたしたちの宿泊先らしい。
ひとつひとつの部屋は開け放たれていて、ひとつの部屋を覗くと、
そこは何故か実家の両親の寝室だった。
実際の両親の寝室とは似ても似つかないのに、なぜか夢の中では、
そこが両親の家の寝室だと確信している。
へー、親も来ているんだ。
そう思ったとたん、わたしの横には、今つきあっている彼がすわっていた。
「これからどうする?」
彼はずっと前からそこにいたかのように、話しかけてきた。
え、どうしよう。このままじゃ彼と両親がハチあわせしてしまう。
かといって、いつまでも知らん振りもできないだろうし。
わたしは意を決して、自ら両親のもとへ名乗り出ることにした。
両親はすぐ見つかった。
「あら、あんたも来てたの?」
両親は目を丸くして言った。
「そうなのよ。実はね、けさ電話がきて、血液検査をするから、ここに来て下さいって言われたのよ」
わたしはそう話していた。
なぜか血液検査のためにここに呼ばれたことになっていた。別にわたしがその場ででっちあげたのでもなんでもなく、夢の中では、前からそういうことになっていたかのように、辻褄を合わせる事実がちゃんと出来ているのだ。
さて、彼を紹介しなくては・・・
そう思っていると、
「すみません、ちょっと」
この集まりを主催したスタッフらしき人が話しかけてきた。
「はー?なんでしょう」とわたし。
「実はですね、今日の集まりに関してかかった費用をお支払いいただきたいんです。はい、これが請求書兼領収書になります」
スタッフに渡された紙を見て、わたしは驚いた。
「え~?一人3500円もとるの?タダじゃないんですか?」
請求書には、わたしと彼のぶんということで、3500円×2で7000円と書いてある。
「いえいえ、だって皆さんにはクルージングも楽しんでいただいたわけだし、ここの宿泊代だってタダじゃないんですから」とスタッフ。
「わかりました、払います払います」
わたしは自棄になって財布を取り出した。
払おうとすると、お金が足りない。
お金が足りないなと思った瞬間に、わたしのなかで何かがおかしいと
思い始めた。
「あのね、わたしはここに血液検査を受けてくださいって、そっちの依頼で呼ばれてきたんですよ。別に来たくて来てるわけじゃないんです。忙しいのに、わざわざ来たんです。しかもクルージングなんてしたくもなかったし。なんでお金を払わなきゃいけないんです?そもそもお金がかかるなら、これこれこのくらいかかりますって電話で言うべきでしょ?わたしはそんな話、一言も聞いてないですよ」と一気にまくしたてた。
スタッフはわたしの勢いにのまれて、おどおどしている。
両親も黙りこくったまま。
でも、わたしは自分が間違っているとは微塵も思わなかった。
絶対にお金は払わないぞ!
そう思ったとき、目が覚めた。


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