SKY-Hi DROPKiCK

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雪桜



「あ~桜がせっかく咲いたのにな~」

教室に来たばかりの俺は最初にこの言葉を聞いてそうだったと感じる。


俺はまだ卒業生ではないが、卒業式には参加する。

雪だらけの制服を払いながら窓を見てみると相変わらず雪が舞っている。

降っているのではない、舞っているのである。

それはドラマで使う撮影用の雪のごとく作られているのではないかと思うくらいに


卒業式が始まったが俺は何もすることがない。


・・・・暇なだけであった。

俺はあまりにも暇すぎるので、1年前のことを思い出してみる。




1年前俺は中3で受験勉強に没頭してやっとの事で掴んだ高校への切符・・・・なんて事はなく、

勉強なんて成績にあわせた高校に行く為に確認の勉強だけだった。

成績にあわせただけに普通に合格、後は気楽に卒業式を迎えるだけだ。



卒業式、それに会わせた様に中学校の中庭には満開の桜、

それを喜び、または仲間の別れに悲しみ、そこにパープルのスーツにサングラスが1人


・・・・!?なんだあのヤクザもん代表みたいなスーツの人は?

俺はよ~くその人を見てみた、その人は俺の視線に気付いてこっちに手を振っている。

俺の事を知っていると?申し訳ないけど俺はそういう系のお友達はおりませんが!!また注意して見てみた。

そうするとその人はなんと親友の父親だという事が分かった。

この行事にその格好してきたかぁ~。


そこに南風が歓迎のごとく吹き、その勢いで桜が花弁で踊りだす。


・・・そんな事を思っていたらいつの間にか終わろうとしていた。


寒いので家路に向かおうと昇降口を抜けたらちょうど北風が吹いてきた。

それに従うように雪の舞が激しくなる。

(なんか雪が桜みてぇに降ってんな)

そう、その言葉が今日の雪には良く似合った。

すると立っていた桜がその舞に乱入してくる。


そこはまるで1つの舞踏場だった。


「おいおい、俺はまだ卒業しねぇぞ」

ため息まじりでありながら何気に顔が笑ってる俺がいた。

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