SKY-Hi DROPKiCK

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Flow wind“ow”



あるのはベッドと見上げると天井の近くにある小さい窓がひとつ

そこには窓で切り取った空と一本のきっと大きな樹、

春にはきれいな桃の花が咲き、夏には緑の葉が茂り、秋には悲しく全てが無くなり、冬には小さな実が実る。

こんな日々を今まで何回も過ごしてきた。


何故か何も食べなくてもお腹が空かなく、何も飲まなくても喉が渇かなかった。

なぜぼくはここにいるの?なぜぼくは存在してるの?ぼくってなんなの?

ある日突然ぼくはそう想ってしまった。それから一日の感覚が前より長く感じた。

窓の空を見ているとなぜか自分が小さく感じた。


そんな事を想いだして数日

ふと、今日も樹を眺めていると意識が遠のき、青くてザワザワしたものが風になびいていた。

ぼくが見たのはその一瞬だけだったが、物凄い気持ちよかった。

あんな世界があるんだ・・・・なのに・・・なぜぼくはココしか知らないのだろう?


出てみたい、あの世界を今度は自分の肌で感じてみたい


そう思って部屋を見てみたがドアそのものがなく出る方法なんてなかった。

呆然としたぼくはやる事がないので仕方なく窓にある樹を見る

またあんな風に外の空気を感じてみたい・・・・・

するとドコからか声が聞こえた

“あ~、暇だ~もっとなんか出来事起きろよ~”

初めてだった。

ぼく以外の声を聞くのは、興味を持ったぼくはその声の出所を調べてみる。


・・・・・・やはり声がしたのは一つの窓の外側のようだ。

ぼくは思い切って声を出してみた

「おーい誰かいるのかい?いたら返事をしてくれよー」

・・・・返事が無い

やっぱりあれから何処かへ行ってしまったのか

“誰?ぼくに話しかけたのは?”

落胆しかけたぼくにさっきの声が聞こえてきた、その声を聞いてぼくは始めて興奮というものを知った

「ココだよ、ここ建物の中にいるんだ」

ぼくは外を見ることがないので“ここ”しかこの建物を表現できなかった

“あぁそこか、そういえばいつも見ていたね”

ん?見ていた?ぼくが見ていたっていったら木と空だけだ。

“私はこの樹だ、そしてお前の親でもある”

会って間もない樹からの告白

「えっ?どういう事?いきなりそんなこといわれても・・・・」

“私はもう樹齢何百年の大樹、ココまで生きてきたがもう限界だと気付いた。

私は最後の手段として分身と作る事にしたそれがお前だ、でももう遅かった。

数日前からもう本当に息絶える予感はしていたが・・・・“

言葉と同時くらいに体と白い建物がうっすら霧の様に消えていった。





周りには草原とそれを揺らす風がなびいている。

風が流れ、雲が泳ぎ、草が揺れる。

そこにはただ1人、白い少年が全てに身を任せていた----------。

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