ぽっかぽかすまいる

ぽっかぽかすまいる

モーニングコール


北京は1時間遅れなので、向こうでは6時半頃だろう。
メールでは到着した夜に電話するって言ってたけれど、
ホテルに着いたのが12時前ぐらいだったため、できなかったそうだ。

後から一緒に行ったお友達から聞いた話では、
こっちの1番いい時間を見計らって電話をしに行ったらしい。
朝は大変だから、早すぎても遅すぎてもだめだからって。


「おはよう。どう?大丈夫?」
「うん大丈夫よ」
そして私はいつものごとく、とうさんの話を聞かず、自分のことをあーだこーだいっぱいしゃべったと思う。

「子どもたちは?」
「ご飯食べ終わって、今支度してるよ。」
「替わってもいいよ。」
替わってもいいよ、ではなく本当はすごく子どもたちと替わってほしいくせに。
そして、長男、長女と順番に話をしていた。
「かあさんの言うこと聞くんだよ。」
ということを言っていたようだ。

最後にまた私が話した。
「じゃ、がんばってね。おみやげかってくるから。」
「はいはい、楽しんできてね。」
といった普通の会話。




最後にとうさんとした会話・・・。




この数時間後、とうさんは天国に行ってしまったから。


なんで、このとき
「気をつけてね。」
って言わなかったんだろう。
あの日から今まで、ず~っとずっと後悔している。
「気をつけてね。」
その一言が言えなかったことを・・・。


あの日に戻れるのなら、何度でも言うよ。
「気をつけてね、とうさん。」
「気をつけて・・・。」

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