1 | 猫の子の ちょいと押さえる 木の葉かな |
2 | 蕗の葉に 飛んでひっくり 蛙かな |
3 | 草の葉に かくれんぼする 蛙かな |
4 | 日本は 這入口から 桜かな |
5 | ぶらんこや 桜の花を 持ちながら |
6 | 雪とけて 村いっぱいの 子どもかな |
7 | 初雪や 一二三四 五六人 |
8 | やせ蛙 負けるな一茶 これにあり |
9 | 大仏の 鼻から出たる つばめかな |
10 | 鶯や ちょっと来るにも 親子連れ |
11 | 春雨や 猫に踊りを 教える子 |
12 | 口あけて 親待つ鳥や 秋の雨 |
13 | 這え笑え 二つになるぞ 今朝からは |
14 | 渋柿と 鳥も知って 通りけり |
15 | 柿の木で あえと答える 小僧かな |
16 | やれ打つな 蝿が手をすり 足をする |
17 | 朝顔の 数える程に なりにけり |
18 | 夜の雪 黙って通る 人もあり |
19 | うまそうな 雪がふわり ふわりかな |
20 | 紫の 袖にちりけり 春の雪 |
21 | 三日月や ふわりと梅に 鶯が |
22 | わんぱくや 縛られながら 呼ぶ蛍 |
23 | 春風や 牛に引かれて 善光寺 |
24 | 大井川 見えてそれから 雲雀かな |
25 | ゆうぜんと して山を見る 蛙かな |
26 | 大蛍 ゆらりゆらりと 通りけり |
27 | 子を負うて 川越す猿や 一しぐれ |
28 | 年とえば 片手出す子や 衣更 |
29 | 鶯が ちょいと隣の ついでかな |
30 | 馬の子や 横にくわえし 草の花 |
31 | 雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る |
32 | 団栗の 寝んねんころり ころりかな |
33 | 名月を 取ってくれろと 泣く子かな |
34 | 木曽山に 流れ入りけり 天の川 |
35 | 茶の花に かくれんぼする 雀かな |
36 | 我と来て 遊べや親の ない雀 |
37 | 春雨や 雀口あく 膳の先 |
38 | 梅咲けど 鶯なけど 一人かな |
39 | のみの跡 数えながらに 添え乳かな |
40 | うつくしや 障子の穴の 天の川 |
41 | 菜の花や かすみの裾に 少しずつ |
42 | ちょんぼりと 富士の小脇の 柳かな |
43 | 涼しさに ぶらぶら下がる 毛虫かな |
44 | 足元へ いつ来たりしよ かたつむり |
45 | 霜がれや 米くれろとて 鳴く雀 |
46 | 雪とける 解けると鳩の 鳴く木かな |
47 | おらが世や そこらの草も 餅になる |
48 | たのもしや てんつるてんの 初袷 |
49 | つく羽根に 転びながらに 一つかな |
50 | 信濃路や 山の上にも田植笠 |
51 | 本町を ぶらりぶらりと 蛍かな |
52 | 大の字に 寝て涼しさよ 淋しさよ |
53 | すす払い 藪の雀の 寝所まで |
54 | 松影や ござ一枚の 夏座敷 |
55 | 身の上の 鐘と知りつつ 夕涼み |
56 | じっとして 馬にかがるる 蛙かな |
57 | 寝返りを するぞそこのけ きりぎりす |
58 | 秋風に 歩いて逃げる 蛍かな |
59 | 蕗の葉に ぽんと穴あく 暑さかな |
60 | 昼飯を ぶらさげて居る かかしかな |
61 | 母馬が 番して呑ます 清水かな |
62 | 浮き草や 浮世の風の いうなりに |
63 | むさし野や 水溜りの 富士の山 |
64 | 寝た犬に ふわとかぶさる 一葉かな |
65 | 秋風や むしりたがりし 赤い花 |
66 | 牛の子の 顔をつんだす 椿かな |
67 | 庭の蝶 子が這えば飛び 這えばとぶ |
68 | 大根引き 大根で道を 数えけり |
69 | よし切りや 一本竹の てっぺんに |
70 | さあござれ ここまでござれ 雀の子 |
71 | 茸がりの から手でもどる 騒ぎかな |
72 | はなやかに 朝日のかかる 野菊かな |
73 | 日の暮れに 凧の揃うや 町の空 |
74 | ふるさとや 餅につき込む 春の雪 |
75 | 雪ちらり ちらり見事な 月夜かな |
76 | 手に足に おきどころなき 暑さかな |
77 | 暑き夜や 子に踏ませたる 足のうら |
78 | のどけさや 浅間のけぶり 昼の月 |
79 | 睦まじき ふた親持ちし 雀かな |
80 | 浮世とて あんな小鳥も 巣を作る |
81 | 桐の木や てきぱき散って つんと立つ |
82 | 秋の夜や 窓の子穴が 笛を吹く |
83 | 名月や 膳に這いよる 子があれば |
84 | 石仏 誰が持たせし 草の花 |
85 | 梅の木の 心静かに 青葉かな |
86 | 六十年 踊る夜もなく 過しけり |
87 | ともかくも あなだ任せの 年の暮れ |
88 | 焚くほどは 風がくれたる 落葉かな |
89 | このように 枯れてもさわぐ すすきかな |
90 | 朝霜や しかも子どもの お花売り |
91 | 投げ出した 足の先なり 雲の峰 |
92 | 五月雨や 肩など叩く 火吹竹 |
93 | 露の世は 露の世ながら さりながら |
94 | 霰ちれ くくり枕を 負う子供 |
95 | 吹きやられ 吹きやられたる こ蝶かな |
96 | 頬べたに 当などしたる まくわかな |
97 | めでたさも 中位なり おらが春 |
98 | 小さい子が 草背負けり 五月雨 |
99 | うす壁に ずんづと寒が 入りにけり |
100 | こう生きて いるも不思議ぞ 花の陰 |