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― 碧 虚 堂 ―
メルヘン page.3(終)
「てめェ、いい加減に寝ろよ」
見張り台までの縄ばしごを一気に上ったサンジは中に居るゾロを見るや、凄みを効かせてそう告げた。
「………何のことだ?」
気づかれていないとでも思っているのか、見張り台に座り込んでいるゾロはシレっとした態度と共に顔をそむける。これにはサンジも表情
を険しくした。
「あのなァ!―――」
いつもの調子でケンカごしに怒鳴ってしまおうかと思ったが、一呼吸置いて気持ちを落ち着かせた。ここでケンカになっても問題は解決
しないと分かっていた。サンジも見張り台の中に入ってゾロの正面に座り込む。
大の男が二人も入ると中は手狭になってしまったが気にしている場合でもない。顔をそむけていたゾロも観念してサンジと向かい合う。
「眠れねェんだろ?」
「――――――」
「正確に言えば眠りたくねェって感じか?」
「――――――」
無言の返事がサンジの質問にハイと言っているようなモノだ。普段から不機嫌そうな顔が益々、不機嫌っぽくなる。
「昼間、寝てるように見せかけてんのもバレバレだ」
(あんだけ毎晩、てめェの寝顔見てりゃ嘘かホントかなんて直ぐ分かる)
続けて言おうとした言葉を心の中だけに留まらせる。
三ヶ月もの間、ゾロの寝顔だけを眺めてきたから昼間に寝ているフリをしていたのも簡単に気づいてしまった。
「他の奴らはまだ気づいてねーだろうがな。このままじゃ、どうせバレんだ。睡眠不足でぶっ倒れるなんてみっともねェことする前に、自分
でチョッパーに相談するか、観念して寝るかどっちかにしろ」
眠り込んでしまうなんて事件が起きる前までゾロは呆れるほどよく睡眠を取っていた。それが今では薄っすら目の下にクマを作っている
のだ。野性的な色を帯びていた目も心なしか曇ってきたのをサンジは遠目にも感じていた。
「また…目が覚めない気がしてな」
あの焦燥感を漂わせる顔で、ゾロは本音を零した。
焦っていたのは寝ている間に鍛練できなかったからではなく、寝てしまうと再び目が覚めなくなるのではという不安からだったようだ。
身体を動かせば眠気も飛ぶなんて原始的な解決法をゾロなりに試したのだろう。
「また、眠り込んじまったら俺が死なない程度に蹴り起こしてやるよ」
「………」
「但し、今度メシの時間までに起きてこなかったら次から本気でメシ抜きにすんぞ。三度目は無ェからな」
だから三食の時間はしっかり守れとサンジは付け足す。
ゾロは表情を柔らかくし、「ああ、分かった」と言葉を返した。
「んじゃ早速、部屋に戻って寝ろ。不寝番は俺が代わってやっから」
そう言ってゾロが掛けていた毛布を引っぺがしてサンジは自分がそれに包まる。早く見張り台から下りろとばかりにゾロを追い出そうと
した。
しかしゾロは降りようとはせず、サンジに奪われた毛布を引っ張り返して自分も毛布に包まってきた。向かい合わせの態勢から二人で横
に仲良く並んでくっ付く状態に変わる。
「あ、コラ―――」
その状況にサンジは慌てふためていて声を上げるが、「ここで寝る」とゾロは言い出した。
「ハァ!?こんな狭ェとこで寝れるかアホ!下に行け!早く寝ろ!」
たまらないのはサンジである。好きだと自覚した相手にこんな近くに居られても非常に困るし、落ち着かない。毛布を自分に引き寄せな
がら、片方の手でゾロを出てけと押し戻す。
が、ゾロは頑として動かなかった。終いには「うるせェ」とまで言い出すので、「てめェのせいだろが!」と軽い口論になってしまった。
「誰か近くに居た方が落ち着く」
くだらないひと悶着の後にゾロがポツリと訳を話した。
「う……なら別に俺じゃなくても…」
ゾロの言葉に納得はしたが、それでもサンジは引き下がれずに呟く。けれどもう暴れるのも疲れたのでゾロの好きなようにさせた。
自分の左肩に、ゾロの右肩と背中が当たる。横に並ぶというよりかは互いにそっぽを向いた態勢になった。
ひと一人分の重さと熱が肩から徐々に伝わってきて、サンジは身体を強張らせる。ゾロが何か話し掛けてくるかと思ったが、ただただ
沈黙した時間が続いた。
やがてゾロの寝息が静かに聞こえてきて、サンジはホッと胸を撫で下ろした。
■
「だからって、何でこうなんだよ…」
船尾でジャガイモ一個とナイフを手にしたサンジはため息混じりに愚痴を零した。
「さァな。今日はココか?」
サンジの苦悩など意に介さずといった様子で、ジャガイモの山とくずかごを持ったがゾロが背後から声を掛ける。
「他人事みてーに言うな!クソ剣士のせいだろうが!そんでココに置け!」
相手の台詞に腹を立てながらも、持っている荷物を前に置くよう指示を出す。甲板に座って下ごしらえのジャガイモをサンジが黙々と剥き
始めれば、その隣にさも平然とゾロも座る。軽く互いの肩が触れ合ったまま、ゾロは昼寝を始めた。
船は夏島に向かっていると言うのに甲板の上は少し肌寒さを覚えた。だが、他に行き場所も無いので、ここで我慢するよりない。
あれからというもの、ゾロは昼でも夜でもサンジの傍でしか眠れなくなってしまっていた。
男部屋で寝る時はサンジの近くを陣取り、サンジが不寝番の日も一緒に付いてくる。昼間はキッチンで作業中、やはりサンジに付いて
きてゾロは昼寝をするのだ。
ただ傍に居ればいいだけだとゾロは言う。そうは言ってもゾロの睡眠は人よりよっぽど多いし、昼寝にまで付き合わされてしまっている。
今もキッチンで作業しながらロビンと談話中のところにゾロが欠伸を噛み殺しながら訪れたので、昼寝の時間だと察知した。なので、
ロビンとの会話もそこそこに、人の居ない船尾へとゾロを伴ってやってきたのだ。
「てめェなんかが俺にくっ付いてる光景なんてレディ達は勿論、他の奴らにも誤解されそうで見せらんねーよ」
ゾロは寝る態勢を取ってはいたが、まだ眠りに落ちていないのが分かったので恨みがましく文句を口にする。サンジとしてはゾロが傍に
居るせいでコックの仕事も気が散り、ロクに手が付けられなくて非常に迷惑極まりない。
それでも。文句を言っても惚れた弱みか。言葉で貶すだけしか出来ないのが現状だった。
「万年寝太郎が不眠症なんて繊細な病気に罹ること自体、オカシイんだ。これが可愛いレディ幾らだって付き合ってあげるのによぅ…
何でよりにもよって、こんなミドリ虫が―――」
しつこくサンジが愚痴を零しても、ゾロは何の反応も示さなかった。そこで、ふと疑問に思っていたことも口にしてみる。
「―――つか、俺じゃなくてもいいんじゃねェの?他の奴んとこに行けよ。あ、ナミさん達は駄目だかんな。チョッパーとか…」
別に自分に執着することはないだろうと思っていた。口にしてしまったらゾロも納得して自分の傍を離れてしまうだろうという不安も
あったが、その方が自分はこんなにも毎日、ゾロに振り回されたりしなくなるだろうと。そこに寂しさは感じても、結局は元の日々に、元の
ケンカする二人に戻るだけだ。
「何となく―――」
「あ?」
話の途中にゾロがやっと口を開く。
ゾロは一つ一つ区切るように、話し出した。
「お前の呼吸やら心音みてェなモンが傍にあると心地いいんだ。最初に目が覚めた時にも感じた。お前の近くなら目を覚ます時に安心
する」
「………そう…なのか」
ゾロの言葉にジャガイモの皮剥きをしていた手が止まる。軽い口説き文句のようだった。それは他の連中では駄目なのかと訊こうとした
が、止めた。
自分の顔が段々と赤くなっていくのが見ずとも分かった。隣に居るゾロは目を瞑ったままなので見られる心配は無さそうだ。だが、
「目が覚めて黄色い頭が見えた瞬間は驚いたがな」
なんて、恥ずかしい過去の失態を思い出されてサンジはうろたえた。
「だからだな…!あの時は…!」
「そうだ。あん時」ゾロが起き抜けに質問してきたことを繰り返したので「前に言った通りだ。様子見てろって…」前と同じ嘘で誤魔化そう
としたが、「違ェ」ゾロはそのことではないと首を振る。
「俺が眠り込む前の『あの時』だ。お前、何か話があるっつってたろ?」
「!!」
ゾロが前に訊こうとしていたのは、サンジが告白を決意した時のことだったらしい。サンジは驚いて訊き返す。
「覚えてたのか!?三ヶ月も前の……」
「てめェにとっちゃ大昔でも、俺にしたら数日前だ」
寝ていたゾロには三ヶ月も一日寝ていたくらいの感覚だったようだ。
改めてゾロからの問いに、どうしようかとサンジは迷った末に「忘れた」と答え、どうでも良いことだったからと付け加える。
「そうか―――」
ゾロもそれ以上は訊いてこなかった。気になっていたことが消化できてスッキリしたのか、ゾロが眠りに中へと落ちていくのを、サンジの
肩に寄り掛かるゾロの重さと体温で感じ取れた。
もう何度もこうしてゾロに肩を貸していると言うのに、ゾロが眠りに落ちる瞬間を感じるのがサンジは何ヨリ嬉しい。
「その内、思い出してやるよ」
寝てしまったゾロに話し掛けるともなく、呟く。
一度はケリをつけた、あの言葉をまたいつか言えたらと決意している自分に気づいて、苦笑した。
ゾロの体温が触れているところから伝わってくるのか、先ほどの肌寒さを感じなくなっていた。そうしている内にウトウトとサンジの頭の
中も眠りへと蕩けていく。
ゾロが自分に感じる心地良さと、自分がゾロに抱いている感情が一緒ならいいと意識が途切れる時まで、願った。
End.
⇒後書き
たまには弱ってるゾロを書いてみたくなりました。
………弱?これって弱ってるって言うのかな??かなりエラそうですが。
その内、添い寝だけでは済まなくなればいいと思います。
2008.05.03
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