Loving Spoonful  ~エリーより愛をこめて

Loving Spoonful ~エリーより愛をこめて

まるで映画のワンシーン


発車後20分ぐらい経って、
停車駅の名前を確認しようとして窓の外を見ると、
ホームに駅名を書いた看板がどこにもない。
書いてある駅もあるのだが、
駅によってはホームがあるだけだし、
しかも駅員も見あたらない。

 30分近く経ち、だんだん不安になって、
隣の席のおじいさんに「カノニカ」と言って、
身振り手振りでカノニカで降りたいんだ、ということを伝えると、
おじいさんは席を立ち、スタスタと一番前の運転席のドアを
いきなり開けた。思わずびっくり!
日本でこんなことをしたら大変である。私たちも後からついて行った。
しかし、運転手は事も無げにおじいさんと話をしている。

おじいさんが私たちのことを伝えてくれたようで、
カノニカはここから2つ目の駅だと、運転手が教えてくれた。
それでやっと安心して、私たちは言われた駅で降りたが、
降りたところはプラットフォームさえなく、
それらしき所に砂利が敷いてあるだけで、周りは草が生い茂っていて、駅の外に出る道さえない!言われなければここが駅だなんて誰も思わないだろう。

 電車の方を振り返ると、電車の窓から乗務員の人たちと乗客たちが
窓から顔を出し、私たちがちゃんと降りたことを確認して
にこにこして手を振ってくれているのが見えた。
去っていく電車に思わず私たちも手を振った。
なんだか心温まる映画のワンシーンのようだ。


カノニカの駅
                        カノニカの駅




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