EMILIVE（feel relaxed）

7/19前編

早朝、起床。
もし、朝の船が着いたら、昼の便に乗るはずだった予定を早めて乗ってしまうことになっていたため。
なにしろ東京からの定期船が、わたしたちの乗って来た船以来、一本も着いていない。
港まで入って来た船が、着港できずに引き返して行くのも見たし。
それぐらい海は荒れていて、船が着かないなんて、ごく自然なことらしい。
風まかせ。自然のままに。

「朝の便は欠航」の放送が島に流れる。二度寝決定。

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★感想会

朝食後、9時頃バンガローへ。
もうすぐ帰るのかぁと思って、やたらと深呼吸。

バンガローに行くと、子どもは今日もすでに走り回っている。
みんなで、葉書を書くことになった。
色鉛筆やクレヨンで子どもたちは何枚も絵はがきを書いている。
大人には、写真つきの葉書が配られる。
わたしはオオミズナギドリの写真のが当たったので、
裏の白い部分に、女の子３人にそれぞれイルカの絵を書いてもらう。
で、他人の住所がわからないので自宅に送る。

子どもらは「自慢紙（じまんがみ）」を書いていました。頼むと、読み上げてくれます。
自まん1　イルカに会えた！
自まん2　ウミガメに会えた！
自まん3　長樹で遊んだ！
自まん4　トビウオが飛ぶのを見た！
自まん5　めずらしい貝を食べた！
……と15個ぐらい続く。

学校の子に自慢するんだって。ほんときみたち天才だね。
わたしは、子どものそういうの見てると胸がいっぱいになっちゃう。

それから自由時間。最後に一人の時間を設けましょうってルパンが言って
それぞれ歩いてどこかに座ってぼーっとする。
わたしは高台に登って、遠く広がる海と、近く黒いアゲハが飛ぶのを眺めていた。
空気があたたかくて、夏の日差しが眩しくて、３日間のいろんなこと思い出していた。
イルカにもっと会えたらよかったな。

しばらくして、また集まり、白い紙に感想を書く。自分なりに言葉に残す。
書きはじめたら止まらなくなった。
わたし、書くと言葉がぼろぼろ出てくるんです。
しゃべるのはつっかえつっかえなのに、書くと手が追い付かない。
で、時間がきて、途中で終わった。

その紙を元にして、一人一人なんでもいいから感想を言う。
わたしは、イルカと会う夢が叶っちゃったのも、もちろんだけど、
森も楽しかったし、なにしろなにしろ子どもが可愛かった。
自分が昔、子どもだったこととか、忘れてはいないつもりだったけど
やっぱり子どもに実際触れあってみると、発想力は全然勝てません。
子どもは天才だなぁ、って感動してばかりだった。
そういうことをぽつぽつ話した。

「子どもと会えるのがほんと楽しみだった」と言う大人はほかにもいた。
でも子どもの中で「大人と遊んで楽しかった」っていう子は一人もいなかった。
大人って、子どもに対して永遠片思いなんだろうなぁ～～、って思った。
せつないぐらい愛しいのだよ、これが。もう。なんなんでしょうか。
自分の中にそういう感情があったことを、初めて知った。

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★お別れ

でもって、出発までは、またかき氷を食べに行く。
子どもはそこで、お昼ご飯のらーめん。
らーめんすすってる間も、子どもがずーっとこっち見てんのね、ぎゃぁ、愛しい。
大人たちはかき氷を待っている間、「らーめんいいなぁ」とか言うと
「かき氷くれたら一口あげるよ。どーする？」とか言ってくる。
ああ、いいから、お食べお食べ。大きくなれよ～。

かき氷を食べて、宿に引き返す。
大人の昼食は、盛岡冷麺ていうんですか？　ピリ辛。

最後の最後まで、宿の前に腰掛けて、見晴しを楽しむ。
海が青くてありがたいなぁ、って思う。

荷物を持って、昼の桟橋へ降りる。
ウミガメが息継ぎをしに顔を出す。ブルーに光る魚の群れが見える。
イルカはいない。見えなかった。
船がほんとうに着くかの緊張感。船はやってきました。拍手が起こる。
宿のご主人がポストカードをみんなにくれる。
ミチオさんお世話になりました。
船に乗る。船が出る。
デッキから手を振る。遠く遠く。
島の人たちは、Tシャツに短パンにビーサンでいい笑顔。
わたしたちが去っても、同じように島の暮らしがある。

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