EMILIVE(feel relaxed)

EMILIVE(feel relaxed)

7/19後編



わたし、男の子らとあまり話せなかったなぁ、と思ってました。
女の子たちとは仲良くなれたけど、男の子はシャイだったり無茶だったりクールだったりで
どう話していいのかよくわかんなかった。

船に乗ると、大人たちが一斉にお昼寝してしまったので、
眠くない子どもたちは元気余って駆け回っている。
わたしも眠くなかったので、一緒に遊ぶことにしました。
子ども6人とわたしで輪になってんの。わくわく
指スマしたり、手を重ねてって一番下の人が一番上の人の手を叩くゲームしたり、
高度な指ゲームを教わったり、柱によじ登ったり、ジュース買いにパシリにしたり、お話ししたり。

ルカ太ろうは、ずっと「ハラー・ヘッターの歌」を作ってた。
「ハラー・ヘッターと炎のゴブレット!!」とかぶつぶつ言ってる。

竹さんは、ゲームでわたしと組になると「またこの人と~?」といやがる。照れんな。
手を重ねると真っ黒と真っ白で、自分のマニキュアしてる手が、もはや子どもの手じゃないのがヘンだった。

シャークは、持ってたキャンプの本読ませてくれたり、サッカーの話で盛り上がったり。
「日本で一番上手いのだれだか知ってるー?」「あたしは小野が好きー」
「そう、小野! じゃなんで小野がキャプテンになれないか知ってるー?」といろいろレクチャーされる。

女の子たちとは、お菓子くれたりあげたり、寝てる人の足の裏くすぐりに行ってクスクス笑ったり
外国に行った話したり、小学校の自慢大会になったり(わたしも小学校の自慢を言わなくちゃいけない)、
給食の自慢したり、夏休みにこれからすることを話したり。

はぁ~、こう書いてても幸せだった。
おもしろすぎて胸いっぱい。

+++

★大人タイム

そうは言っても、大人タイム。
三宅島の脇を通過する時には、デッキに出てモモさんとおしゃべり。
わたしがイルカと上手く泳げなくて悔しかった話や、
水に慣れるためにプール通いしたら、とアドバイスされたり
彼女のこれまでのダイビングの話を聞かせてもらったり。
三宅島を眺めてると、硫黄の匂いが漂って来た。

大人は起き出すと、ぞろぞろと食堂へ。お酒タイムです。
わたしは実はスモーカーなので、デッキで煙草すったり。
食堂で、みんなの一人旅の話を聞かせてもらった。
知らない外国が、知らない世界が、まだ沢山あるんだろうなぁ、と思います。

子どもが時々、ちらほら顔を出しにくる。
すごいよ、ルカは、チキン&ポテトを自販機で買おうとしていたわたしにぴったりくっついて
「チキンくれチキンくれ」って言う。
じゃ、あったまったらテーブルまで持ってきて~、と言って
持ってきてくれたので、チキンとポテト半分づつあげた。すぐどっか行った。
可愛すぎる。

夕日が船窓にかかり、千葉の島影が見え始め、もうすぐ旅も終わりです。

竹芝桟橋到着。浜松町のビルの明かり。ガス臭い空気。
戻ってきちゃいましたよ。
お迎えのご両親の顔を見た時の、ほっとしたような、しゅんとしたような、子どもたちの様子。
さっきまで友達だったのに引き離されちゃうような気がした。
さっきまで友達だったのに、いきなりわたしだけ大人になっちゃうような気がした(そうなんだけどさ)。

家族一組一組、去って行く。
今まで見てきた子どもたちの顔が、ご両親の「いいとこどり」ってぐらい二人の顔が混ざってるのを見て
わたしはびっくりした。
血ってすごいね。愛なんだね、愛。

「一か月後に写真を持ってまた集まろうねー」とベッキーが声を掛けている。
ばいばーい。ばいばーい。

さて、残された昭和生まれ軍団。
ヒトミンがいいことを言ってくれた。
「旅の思い出が薄れていったときに、ふと思い出してほしいのは
その瞬間にも、皆さんが見たイルカは御蔵島で泳いでいるってことです」と。
ほんと、旅の記憶が薄れていくのは切なくて、もったいない。
夢だったのかなぁ、って思ってしまうこともある。
でも、たしかにイルカは泳いでいるんだ。
すごくよいなぁ。

さようなら。さようなら。

東京タワーに向かって歩く。
御蔵島には自然のパワーがある。東京には人のパワーがある。

+++

★その後

翌日、御蔵島のイルカの消印がついた葉書が、家に届いた。たぶん一緒の船で来たんだね。
赤く熱を持って日焼けした腕を眺めて、島のことと、出会った人たちを想っていた。
人生ってどう絡み合っているんだろう。
出会っちゃったね、いろんなものに。ことに。人に。

一人旅のときは、ものや人がダイレクトに飛び込んできて、刺激的でよいのだけど
人と一緒に旅をするということは、山の上でまあるい輪になった時に象徴されるけども
あのように、丸くつながっているあたたかさがある。
楽しいことが増幅されて、もっと胸いっぱいになる。

旅はいいなぁ。
人生って大きな旅だなぁ、わたしは今も旅の途中、ってまた思うのでした。


おわり

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