まっすぐなマワリミチ

まっすぐなマワリミチ

海のばぁば



海のばぁばはとっても働き者で、早朝から夜中まで
家事と仕事に追われていました。

家には車が無く、自転車にも乗れないばぁば。
バスは本数が少ないので、5~7kmくらいなら
トコトコ トコトコ 歩きます。

ですから、うちの母も、その姉も
なかなかのグラマ~ちゃんなのですが
(チクらないでぇ)
ばぁばはガリガリでした。
骨と皮だけでした。

年をとって、仕事に行かなくなっても
買い物には歩いて行きます。
トコトコ トコトコ・・・

そんなある日、トコトコ ドテッ★

転んでしまったのです。 そして骨折。

《年寄りが転んで骨折》から連想することは???
そう、ボケの始まりです。

あんなにシャキッとして、背筋もピィンと
立ってたばぁばが、目の焦点は合わず
髪は 見る見るうちに 真っ白に・・・

家の人のことも、たまにしか分からない。

私が遊びに行くと、必ず言われるのが
「坊やは元気かな?」
これは私がまだ独身だった頃から
必ず言われる言葉で、最初は、私に男の子が
授かると言う暗示なのでは??と
心トキメかせたものの・・・
男の子が出来たのは 姉のほうでした T_T;

ばぁばは寝たきりではないけれど
ほとんど寝ている事が多いみたいです。
トイレも便器まで連れて行ってあげれば
一人で出来ます。
お風呂は、いつも同居の伯母さんと一緒に
入っていました。
ご飯はこぼしながらも なんとか一人で
食べています。
じぃじが死んだ事は、未だに分かっていません。

ところが、じぃじの葬式からパタパタしていて
伯母さんも すっかり体調を崩し
検査したところ【軽い脳梗塞】との診断が出たのです。

老人が老人を介護する・・・
病人が老人を介護する・・・

ムリをした結果に起きた 悲しい事件も
少なくはありません。

伯母さんにはもう限界でした。

今、ばぁばは特養老人ホームにいます。
先週、遊びに行ってきました。
特養老人ホームも色々で、入った時の雰囲気で
良い所か悪い所かがわかります。

ここは・・・そこそこかな。

友達のおじいちゃんなんかは、ケンカして
老人ホームを転々としているみたいです。

ここには女の入居者しかいないけど
文句を言ってくる人がいたりします。
怒鳴られました!!
あのぅ、私~新人ですぅ。
きっと、この人は転々ちゃんだなぁ
とか、失礼な事を考えてしまいました。

きっとばぁばはここで生涯を閉じるのでしょう。
寂しい事なのでしょう。
でも、きっとそれは、私達が老人になった頃には
ごく 当たり前の事なのかもしれないね・・・

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