EF22-55mmF4-5.6USM
(Canon EOS IXE EF22-55mmF4-5.6USM)
このレンズは、1998年3月に、APS一眼レフEOS IXEの廉価版として発売された「IX 50」と同時に発表された。望遠ズームのEF55-200mmUSMと並び、APSのフォーマットを意識して作られた、最初で最後のレンズである。
今でこそ、デジタル専用設計で超広角に寄ったズームレンズが次々にリリースされているが、当時の状況では、このような試みのレンズは極めて希であったし、事実二番手が登場する暇もなく、APS時代は終わってしまった。いわば、バブルが終わった後に産み落とされた「過去の遺産」である。
発売された当時は、一風変わった焦点距離であることと、見かけがキヤノンのレンズヒエラルキーにおいて最も安いグレードである「普及タイプ」であることから、その写りに全く期待してもらえず、IX50とセットで購入したユーザー以外には、一部のマニアを除き、ほとんど見向きもされなかった。
ところが発売から6年も経って、APS-Cサイズの撮像素子を積んだデジタル一眼レフが急速に普及するに至り、廉価でよく写り、素子のサイズにもぴったりのレンズとして、にわかに注目を集めた。このムーブメントによって、とっくに製造ラインから外れていたこのレンズは中古市場が高騰し、もともとの流通数が少なかった事もあり、なかなか手に入らない「プチ・レアレンズ」になってしまった。カメラ人類の評価なんていい加減なものだ。
さて、実際に上がってきたポジを見ると、噂に違わずなかなか侮れない写りである。開放F値が4-5.6と、はっきり言ってむちゃくちゃ暗いレンズではあるが、そのせいか(?)開放から安心して使える画質になっている。
さすがに、超広角であることとレンズのサイズが影響して、ディストーションはかなり目立つ。特に22mm域は建物撮影厳禁である。これはもう、軽量小型で普及タイプのレンズなので仕方がないというか(^_^;、歪みが目立たないような被写体を選んで撮るか、あるいは歪みの少ない焦点距離を覚えておくしかない。
それにしてもこの写りを見ていると、 「APS専用に開発されたレンズは、中心付近の解像力を普通より少し厳しい基準で作ったのではないか」
というエンゾーのいい加減な仮説が真実味を帯びてくる。いや、もちろん思い込みであるが。
USM仕様である事、スナップに魅力的なズーム域である事、画質が良好である事など、このレンズ、キヤノンEOSユーザーにはかなりお勧めできる。ただし、何度も言うが直線の多い構造物や風景をメインに撮られる方においては、その限りではない。
EOS系デジタル一眼使いにだけ使わせておくのはもったいない!そんな良いレンズである。
作例
長所
○22-55mmという、一見半端なズーム域がシビレる。小型軽量なことと相まって、
まさにスナップのためのレンズ。
○普及タイプの外観にだまされてはいけない。写りは常用タイプにも引けを取らない。
短所
●サイズと開発コストのせいで?、ディストーションはかなりキツイ。広角寄りと言うこともあり、
これは仕方がない。
●スカスカ回るズームリングの感触は、さすが普及タイプである(笑)。ピントリングに至っては
単なるオマケ。
スナッパーへのオススメ度
(10点満点)
☆☆☆☆☆ ☆☆☆☆
風景派へのオススメ度
(10点満点)
☆
*ディストーションがキツイので、建築物の撮影には全く向かない。また、画質云々に関しては
あくまでもスナップユースでの話。三脚を用いた本格的な風景撮影には向きません。