EP82スターレット・サーキット走行最高! 警察は?( ^ ^ ;

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その33 スピード違反裁判



実はその32は前回のアップでおしまいでした。
ということで新シリーズです☆
例の取り締まりの記録はまだアップしませんで、
ちょっと触れておきたいことがあります。
「警察の警察による警察のための交通取り締まり」という本で
和田泰治氏が執筆している部分です。

『 真夏のある土曜日、羽田空港内の日本エアシステムカウンター前で、ある女性弁護士を待っていた。
 私は、約束の午後2時より30分早く、バイクで空港まで駆けつけ、ベンチに腰かけて資料に目を通していた。しばらくして顔を上げると、雑踏の中に、背筋がぴんと伸びた小柄な女性が、私を探して立っている。
「早く来すぎたので、しばらく空港の中を回ってたんですよ」
 あいさつをした私に、今瞭美弁護士(56歳。釧路弁護士会)はそう答えて、さばさばした笑みを見せた。
 彼女は、消費者問題のエキスパートとして、非常によく知られている弁護士である。消費者問題の関連会合でしばらく東京に滞在し、今日、釧路への帰りの飛行機の待ち時間を利用して、私と会う約束をしてくれていたのだ。
 しかし、今日、私が彼女に話を聞いておきたかったのは、消費者問題ではない。彼女がいま関わっている「スピード違反裁判」についてである。10日ほど前、釧路に連絡を入れたとき、電話口の彼女は、この裁判にかける熱意をこう話していた。
「お話するのは構わないですよ。でも、私もこの問題については、本を出そうと考えているんですよ」』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P8より抜粋)

弁護士がスピード違反裁判をする、
どうなるんですかね~?


その33-2

『 事件は95年10月13日の午後、北海道の平野を抜ける国道で起きた。
 オホーツク海に面し、「番外地」で有名な網走。その25kmほど内陸に美幌町という町がある。この美幌町に向かい、太平洋側の釧路から標茶町、弟子屈町、美幌峠を越えて気持ちよく走行していた日産ミストラルのドライバーが、国道243号線で取り締まりにあった。道路の制限速度は60km/h。車載式(停止したパトカーに取り付けてある)レーダーの測定によって印字され、警察官がドライバーに示した紙には「97km/h」と記載されていた。
 この紙を示されたミストラスのドライバー―それが今弁護士だ。彼女はこのスピード取締りの不当性を主張し、“弁護士”にもかかわらず、釧路地方裁判所で“被告人”として裁判を争うことになったのである。
 今弁護士はこの裁判で、一貫してシンプルな主張をしている。
「道路や天候ほかの状態から見て、あの速度なら、私が走っている道路にいつ何が入ってきたとしても、十分に危険なく対処できました。どんなに安全な場合でも同じ法定速度を守れという規制はおかしいんじゃないか」
 つまり彼女は、確かに形式的にはスピード違反は犯した(違反事実についてはほとんど争っていない)が、だからといって危険は全くなく、危険の起きる可能性も皆無だったと言うのである。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P8~P9より抜粋)

97km/hという速度は街中では危険な速度、
高速道路では普通ですね。
では北海道ではどうなのでしょうか。
私も北海道を走ったことはあります。
ストレートで障害物がなかったりと、
危険ではない状態はあり得そうですね。
実際はどうなんでしょう。


その33-3

つづきです。

『“今弁護士”の弁護人を務めるのは東京弁護士会の高山俊吉氏。交通裁判では非常に経験豊かな弁護士として知られている。その高山弁護士が、数日前、私にこの違反裁判をこう説明してくれた。
「『そのスピードで走って何が悪いのか』をこの裁判では一貫して主張しています。“速度規制”と“速度違反の取締りのあり方”を正面から取り上げた、初めての裁判と言ってもいいでしょう」
 今弁護士の取り締まり現場はいったいどんな“道路状況”だったのだろうか。
 釧路地方裁判所で行われた第1審で、取締りを行った巡査部長は、証言台で、当時の現場の交通量を証言している。
「観光シーズンも徐々に下火というか、収まってきたもので(中略)、当時は毎分1~2台程度でした」
 毎分1~2台というと、当時、道路は非常に閑散としていたのだろう。今弁護士自身も、最初の供述調書からこれまで、一貫して「見渡す限り、周囲には前後も対向車線も1台のクルマも走っていませんでした」
と、述べている。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P9より抜粋)

これはもうガラガラ状態ですね。
首都高を97km/hで車間距離を
十分に取れないで走るより、
よっぽど安全かもしれません。

つづく


その33-4

『 また、現場の国道243号線(アスファルト舗装されている)はひたすら直線だった。
「まっすぐな道路がずうっと続いている。道幅もずうっと同じです」(今弁護士)
 天気は快晴。周囲は畑ばかりで見晴らしは良く、歩行者もひとりもいなかった。農道などは時おり見られるが、視界を遮るものはまず何もない。わずかに点在する農家も、どれも道路から離れたところにある。
 つまりこの現場を一口で言えば、北海道の、どこまでも続く見通しのよい直線道路のイメージをそのまま形にしたような、快適な道路だったのである。
 ところが、取締り警察官は、捜査報告書で今弁護士の運転の「具体的危険性」を次のように記載していた。
「土地柄、農繁期には農家のトラクター、作業用トラックの国道への出入りが頻繁であり、又付近は動物の飛び出しも多く昼夜間共に本件のような高速で走行した場合には、路外逸脱や正面衝突事故、動物を避けるため対向車線に飛び出す等、一旦事故が発生した場合には、重大事故の発生につながる危険性が極めて高いと認められる」
 同じ状況でこうも解釈が違うというのも不思議なことだが、これを額面通り受け取れるかどうかは、疑問が残る。
「もしも動物にしろ人間にしろ、何かが道路上に来るとか横切ることがあった場合は、100mも200mも先からわかるような道路状況ですからね。十分安全に止まれるとおもいます」
 と今弁護士は語る。直線道路だから、スピードの出し過ぎでカーブを曲がりきれず、ガードレールに激突=自損事故などという可能性もない。捜査報告書は“一般的な可能性”は言っていても、今弁護士の当時の状況について述べたものとはおよそ思えないのだ。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P9~P10より抜粋)

報告書の主張と今弁護士の主張を比べると、
今弁護士の主張がまっとうであると言えますね。
報告書の主張は後から無理に危険だと
言っているように思えます。
これは警察が安全に関係なく取り締まりを
行っていることを感じさせられますね。

つづく


その33-5

『 人身事故のない道路

 弁護人の高山弁護士は、北海道交通部が監修した「交通安全マップ」という一般向けの資料を証拠として提出した。
 北海道は、交通事故の都道府県別死亡者数でワースト1位を争う常連である。それだけに、この「交通安全マップ」で、近隣の留辺蕊町から北見市に至る国道39号線沿い21.8kmの部分を見ると、90~95年の6年間で17件の死亡事故が発生している。
 それではと、同様に、今弁護士の走行していた国道243号線(美幌峠―美幌町)26.2kmの間を見てみた。すると、同じ6年間で死亡事故はなんと1件も起きていないのである。後者の安全度は歴然としている。
 また、「交通安全マップ」では、無理な追い越し、そしてスピードの出し過ぎを注意する場所が、具体的な道路情報としていろいろな路線に盛り込まれている。ところが、243号線(美幌峠―美幌町)の間にある注意書きはあっさり、こう触れているだけなのである。
「美幌峠付近は霧が発生しやすいので、走行注意」
 ちなみに、95年1年間に今回の現場付近の古梅地区で起きた事故は、物損事故8件。人身事故はケガも含めて1件もない。これらを見れば、この区間が北海道でも指折りの、非常に安全な道路のひとつといってもよさそうなことがわかるのである。
「一旦事故が発生した場合には、重大事故の発生につながる」と捜査報告書は言うが、“一旦”もなにも、事故が起こるどんな具体的危険性があったのか、読んでいる私には理解できない。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P10~P11より抜粋)

私も北海道を車で走ったことがあります。
直線のところはずっと直線で見晴らしがいいです。
この本の11ページに国道243号線の現場周辺の写真が載っています。
ストレートの道路と見晴らしのよさ、ここを取り締まり?
疑問を感じざるを得ないですね。


その33-6

『 もっとも、スピード違反は、「抽象的危険犯」と呼ばれ、制限速度をオーバーしただけで(具体的な危険の有無にかかわらず)、抽象的危険があるものとする見方が一般的である。しかしそれでもなお、このように明らかに(抽象的にも)危険性に乏しい一件について、機械的に有罪判決を出すことが相当とは思われない―今弁護士側の主張はおおむねこうしたところに立脚していた。
第一、スピード違反が抽象的危険犯だという理論をすべてに適用したら、1km/hでも制限を超えたら、即、突然に“危険扱い”されるということになる。これは「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資する」という道交法の目的に照らせば、ほとんど無意味な解釈であることは明らかである。そのような取り締まり方が交通安全のためになるとは誰も思わないだろう。

検事総長でさえ否定するスピード規制

高山弁護士は次の証拠も提出した。
『時の法令』(86年9月15日号)という雑誌に掲載された、伊藤栄樹・最高検察庁検事総長(当時)の執筆記事。86年の夏休み、北海道の稚内でレンタカーを借りた伊藤検事総長は、妻と一緒に観光地を回りながら、旭川まで500km以上のロングドライブを楽しんだという。
「制限速度は、市街地や集落の周辺で四〇キロ・毎時になるほかは、おおむね法廷の五〇キロ・毎時(筆者注:60km/hの誤り)である。
ところが、およそ制限速度以下で走っている車は全くない。警察のパトカーも例外でない。かく申す私もまた、制限速度を守れなかった一人であると白状しなければならない。七〇キロから八〇キロで走っていると、前後はるかに他の車影を認めることができるが、六〇キロで走る車があると、たちまちそれを頭に数珠つなぎができ、反対車線へはみだしての追い越しが始まる。そこが追越し禁止区間であっても同様である。後続車を対向車との衝突の危険から守るためには、制限速度を無視してスピードを上げるほかはなさそうである。車道と歩道の分離をはじめとする道路環境の整備、それに自動車の性能の向上を考え合わせると、制限速度などは、状況に応じてもう少しきめ細かく定めてもよいのであるまいかと感じさせられた次第」―。
日ごろクルマを運転する者なら、現実ばなれしたスピード制限の問題点は常々感じている。伊藤検事総長の話にはうなずける点も多いだろう。ところが、この雑誌の出た2ヵ月後、朝日新聞に1通の投書が届いた。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P11~P12より抜粋)

北海道の市街地からはずれてところでは法定最高速度が
60km/hというのはもはや非現実的なのはよくわかります。
今回の部分は素直にその通りだと思うわけですが、
みなさんはどう思いましたか?


その33-7

『「検事総長自身がスピード違反をしていることが書かれているが、(中略)法の番人が法違反の事実を公認するのはどうかと思います。罰金刑に該当するかと思います」
 この投書に伊藤検事総長は、
「論旨展開の上とはいえ、書かでものことを書いて法の権威を貶めたことは申し訳なく、恥ずかしく思っています。立場上軽はずみでした」
 と当時、弁明せざるをえなかった。しかしこの弁明も、事実を公にしたことの反省であって、法律違反自体の反省ではなかった。
 検事総長といえば、法秩序を守り、法の下に犯罪捜査や公訴を執行する国家機関の頂点の存在だ。その検事総長でさえ守れない、また「守らない方が安全なこともある」とまで言われていまう「道路交通法」とは、「スピード規制」とは一体何なのだろうか?
 交通規制に対する同様の発言は、伊藤検事総長のほかの、公的な立場にある法曹関係者によってもなされている(肩書きは当時のもの)。
「刑事司法の関係者という立場を離れ、一ドライバーの目から眺めると、現在の交通事犯に対する公的対応には、常識的にみて納得し難い点が目につきすぎます。
 何でこんな見通しのいい空いたところでスピード取り締まりをやらなくっちゃいけないんだ、もっと危険な場所、危険な状況でめちゃくちゃなスピードだしている奴がたくさんいるじゃないか」(亀山継夫・前橋地方検察庁検事正。『罪と罰』89年7月号)
「刑罰は本来社会的・倫理的非難に値する行為について科されるものであって、刑罰を科すべき行為は、それを犯したことを理由に人に犯罪者として前科のらく印を押すのももっともだといえるものでなければならないということである」(井嶋一友・法務省刑事局長。『罪と罰』91年7月号)
 これらもみな弁護士側の証拠書類として提出されている。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P12~P13より抜粋)


その33-8

『 スピード規制やスピード違反取り締まりは、民間人だけでなく、公的な立場の法曹関係者からもこうまで批判されてしまうほどか、と改めて思い知らされる。
 しかし、そうした現状を無視するかのように、97年2月24日の今弁護士裁判の結審の日、検察官は論告要旨のなかで次のように断定した。
「九七キロメートル毎時という法外な高速運転行為それ自体が、道路状況にいかんにかかわらず、きわめて危険であって、交通の安全を阻害することは多言を要しないばかりか、本件のごとき、恣意的な高速運転によって、交通の円滑が阻害されることも明白」
 妙に大げさな表現だが、しかし、これでは「どんなに安全な道路でも、とにかく速度違反はメチャクチャ危険なんだ」と言い張っているだけで、一般のドライバーの目からは、幼稚な考え方としか言いようがない。率直に言うが、とても私には、この検察官が頭をまともに使って書いたとは思えない。具体的危険性を指摘できないので、こう書き飛ばすしかなかったのかもしれないが。
 また、「交通の円滑が阻害される」の記述に至っては、理不尽に円滑を阻害されたのは今弁護士で、阻害したのは取り締まり警官では?と、問い返したくなる。他車両がいるときは今弁護士はきちんとスピードダウンするとすれば、いったい地球上の誰が円滑を阻害されるおそれがあったというのだろうか。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P13~P14より抜粋)


その33-9

『 論告要旨は続けて、
「極めて無謀かつ危険な常軌を逸する犯行」「被告人には、反省の態度が希薄であり、厳重処罰の必要がある」「厳罰に処し、社会的な責任を思い知らせるとともに、いかにその犯行が重大なものであったかを自覚せしめ、規範意識を涵養することが不可欠である」
 などと言葉を継いだ上で「罰金6万円」を求刑した。
 一方、弁護側は公訴棄却または無罪を主張。今弁護士は最終陳述で次のように訴えた。
「規制が、科学的・合理的であって、車を運転する者の大多数が、『納得』できるものであり、かつ、『遵守』できるものでなければなりません。
 自動車を運転する者の大半を犯罪者とする法律は、憲法上保障されている国民の幸福追求の権利を踏みにじるものであると言っても過言ではないと思います。
 私は、どのように考えても、あの直線道路で、快晴という天候状態で、道路に隣接した家屋もなく、道路上になんの障害もない状況において、私が走行していた速度が危険であったとは思えません」
 スピード規制と取り締まりの意義を真っ向から争った裁判審理は、以上で終了した。あとは3月24日の判決を待つばかりであった。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P14より抜粋)

検察側と弁護側の言い分、どちらを支持しますか?
私は弁護側です。
弁護側は現実に即しています。
検察側のは・・・
もはやこう言うしかないから そう言っている、
そんな印象です。

スクーターで50km/hで走る(幹線道路で流れはそれ以上)、
スクーターで30キロで走る。
どっちが安全か・・・
50km/hですよ!
道交法上犯罪者になろうと、安全のために50km/hで走りたいし、
走らざるを得ないところがあるんです。
それを捕まえることがいいわけありません。

これって憲法判断されないですかね~。
現在のスクーターの法定最高速度が30キロって、
憲法違反だと思うんですけど。

交通取り締まりで点数稼ぎは盛んなわけで、
そのお金は最終的には安全協会系の警察の天下り組織へいくのです。
道路用の看板代とかの合法的な名目でね。
天下り組織がウハウハということは警察にとってもウハウハ。
取り締まれば取り締まるほど警察はウハウハ。
あーやだやだ。


その33-10

『 いまのスピード規制が現実の道路に合わないことに、私たちはすでに気づいている。
「こんな広々した道路で、どうして40km/h制限?」
 と思うような道路は、たくさんある。だから、いったん道路に出れば、交通の流れが制限速度よりも例えば10km/hぐらい上回っているのはあたりまえだ。
 ところで、いまのように制限速度が実態からかけ離れている以上、「制限スピードを守っていれば、事故にあう確率は減る」という理屈はどうも成り立たないのではないか。
 日本自動車研究所を経て、現在まで膨大な数の交通事故工学鑑定を手がけ、『自動車事故の科学』(大河出版)の著書もある林洋氏に話を聞いた。林氏は言う。
「制限速度で走るより、法的には違反でも、交通の“流れ速度”に同調して走る方が、事故にあう確率は確実に低いと言えます。規制速度50km/hの道路でも、“流れ速度”がたまたま65km/hだったら、65km/hで走る。道交法上は違法だとしても、これが論理的にはもっとも安全な走行ですよ」
 高速道路走行についても、こう指摘する。
「高速道路事故でだんぜん多いのは、追い越し、追い抜き、車線変更、合流のときや緊急停止車への衝突など、前車の後尾への『追突』。つまり“速度差”ゆえの衝突です。
 これを避けるには、平凡ですが、他のクルマとの接近をできる限り避けること。しかし、速度はできるだけ“流れ速度”に同調する。つまり一言でいえば、『和して同ぜず』ですね」
 実際の道路には、決して遅くもなく早くもなく、みんなが走りやすいと思うような常識的な速度の流れが存在する。車両群がみな、その流れに乗って速度差がないのが、道路交通の安定した状態だ。
 逆に、そこに1台だけ速すぎるクルマや遅すぎるクルマが現れると、道路交通は瞬時に乱れて事故の確率は増大する。例えば、速度規制を1km/hもオーバーしない自称・安全運転ドライバーがいても、逆に追突の危険性が増える。あるいはイライラした後続車の不規則な追い越しを誘発し、道路全体の危険性は増すのである。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P14~P16より抜粋)


その33-12

『 制限速度が過剰に低すぎるという問題は、道路工学研究者の間ではかなり以前から語られていた。85年にまとめられた『第5次交通安全施設等整備事業5箇年計画への提言』(財団法人国際交通安全学会)は、「運転者を困惑させるのは、規制速度が一般に低すぎることである。多くの運転者は、規制速度がどういう基準、根拠で決められているのかという疑問を持っている。(中略)
 規制速度が道路の客観的諸条件に基づいたものであり、実勢速度や道路・交通状況との整合性があるならば、多くの運転者は違和感を抱かず、納得してそれに従うであろう」
 と、指摘している。
 この提言を踏まえて、いま、むやみやたらに厳しすぎる規制速度を10km/h程度、引き上げる見直しが少しずつ行われている。とはいえ、まだまだ非現実的な速度規制の方が圧倒的に多いのは変わりない。
 それに、こうした引き上げの動きも、一般道路の法定速度60km/h自体が緩和されない限り、限界がある。多くの人の納得のいく、合理的な速度設定かどうかについてはまだ疑問が残るのである。
 都内の環状7号線は、片側3車線の重要な幹線道路にもかかわらず40km/h制限。この旧態依然とした設定は、当然ながらドライバーには評判が悪い。これは交通行政(警察)の怠慢としか言えないのである。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P16~P17より抜粋)

まさに怠慢ですね。
警察もそうですが、公安委員会も。
公安委員会は警察を監理する組織ですから。
そして国会も。
私は現在民主党支持者ですが、もし自民党が
50ccバイクの法定最高速度30km/hを改定して
50km/h制限にしてくれるなら、自民党に投票しますよ~♪

環状7号線はたまに走りますが、40km/h制限って低すぎ。
なんでも地域へのトラックの騒音を考えて低めに設定してあるそうですが。


その33-13

『 こうした規制自体の問題を棚に上げて、国民の納得のいかないスピード違反取り締まりを進めることはとうてい許されるべきではない。しかし現実派、今弁護士や、本書でも触れる多くの人々が、納得いかない取り締まりに異議を唱えざるをえないのが実情だ。
 元法務大臣の秦野章氏がかつて、その著書『何が権力か』(講談社)でこんなことを書いている。
「ねずみ撮りは、捕まえやすいからやっているのであって、交通事故の防止とはあまり関係ない。『この場所は一番飛ばしてくるから、ここに網を張って捕まえてやる』というだけで、必ずしも事故を減らすというのではない。
『事故はスピード違反によって起こる』という抽象論がある。スピード違反が交通事故の原因だというわけだ。それならスピード違反を一件でも多く捕まえればよい、というわけで現場では、『じゃ、どこか稼ぎやすいところをめっけるか』となる。
 しかし、本当はスピード違反一般が即交通事故の原因ではない。あのスピード違反、このスピード違反が、なるべくして事故の原因となるのであり、そういう違反者は、捕まった時、なぜ自分が捕まったか納得するものだ」
 秦野氏はかつて警視総監でもあった人物である。その彼が書くだけに、ここには重要な真実が含まれているようだ。少し補足しよう。
 スピード違反取り締まりは、現場での安全に目をつぶった摘発が多すぎる。例えば、他のクルマも同じスピードで安全に走っているのに、たまたま先頭で捕まえやすい車両が捕まえられる。どう見ても危険な猛スピードで走るクルマに絞るべきものを、逆に交通の流れに乗っているクルマが、捕まえられる。そんな取り締まりが国民の反感を買い続けて、いまも改まらない点に、交通事故の問題の責任の一端がある。
 まず、スピード違反が原因で起こる事故にはどういうものがあるかを考えてみよう。前出の林氏はこう解説する。
「やはりカーブが問題です。それから路面が急に変わるところ、例えば急に路面が濡れてハイドロ・プレーニング現象が起きるというケースですね」
 そういうところでは確かに、スピードが原因の事故が起こりやすいという。しかし、スピード違反取り締まりがその危険なカーブで行われることはない。測定方法にもよるが、カーブでは誤差が出やすくなるし、そういう場所では、検挙した車両を一時止めておくスペースも確保できないところがほとんどだからという理由もある。第一、本当に危険なカーブや路面なら、そのカーブの手前で警告すべきであって、そんな危険な場所でスピード取り締まりなどをのんきにやっている場合ではない。
 しがたって、取り締まりはたいてい、道幅のゆったりした、安全な直線道路になる。そういうところは(安全だけに“流れ速度”も上がり)、速めのクルマも多く、取り締まる側にとっては効率もいい。しかし、そういう道路での取り締まりは、よほど危ない高速走行を除いて、危険性のおよそない形式的な違反が中心になる。こんな取り締まりのどこが道交法の目的に合うというのだろうか。
 警察が国民の不評を買うだけなら良いが、交通安全にもっと効果的な活動(カーブでの危険や、起こりやすい事故への事故判断力を身につけさせること等々)をおろそかにすることにつながり、問題の根は深いのである。よほどの危険性のあるスピードを除き、スピード違反を杓子定規に適用するのは、まったくのムダな行為である。警察が本気で交通安全を考えているなら、危険なカーブや路面の手前で、注意を促すことに力を注いだ方がずっとよい。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P17~P18より抜粋)

「どう見ても危険な猛スピードで走るクルマに絞るべきものを、逆に交通の流れに乗っているクルマが、捕まえられる」
という取り締まりは現実ですね。
約1年半前の3月8日に私がスクーターで、
45km/hで捕まったあの警察シリーズがまさにそれです。

40km/h制限の道路で流れが45km/h。
前に車が数台、すぐ後ろにバイクが1台、
その後ろに車が数台いました。
ちょっと渋滞気味でした。
道幅も狭めでした。
私が30km/hでスクーターを走らせると、
間違いなく私を抜いていく車は反対車線に出ます。
対向車線を走る車も多いから、追い越しは無理なものへとなります。
当然私の横をスレスレに通っていく車もあり、危ないです。

ということで普通に流れに乗って前の車との車間距離を空け、
まさに安全運転をしていたのでした。
それを捕まえてますからね。
最低です。
そして警官に抗議すると「違反は違反だから」と言われました。
なんじゃそりゃ!!

その後ですが、サイン拒否でした。
裁判も望むところだ、そんな態度でした。
すでにそのシリーズを読んだ方はご存知でしょう。
そして1年半以上経過した今、
警察からも検察庁からも呼び出しはありません。

実は警察は検察庁に送らなかったのではないか、と思っています。
検察庁に送っても不起訴処分になることが目に見えていて、
不起訴処分の記録を残ることを避けたのでしょう。
もしくは実際に不起訴処分になったのでしょうね~。


その33-14

『 ちなみに、違反別交通事故件数を『交通統計』(96年版)で見ると、スピード違反による事故はわずか1%台。死亡事故に限っても20%以下だ。圧倒的に多いのは、脇見運転や漫然運転などの「安全運転義務違反」なのである。日本の交通取り締まり(罰則を伴う違反)の総件数867万件のうち、最高速度違反は250万件。245万件の駐停車違反を抑えて第1位だ。しかし、現在のような、“安全”を本来の目的にしていないような取り締まりがいくら行われても、その効果は非常に疑問だ。反則金徴収の仮納付書を渡して仕事をした気になっていられては迷惑なわけである。
 92年4月15日の衆議院交通安全対策特別委員会で、当時の警察庁・関根謙一交通局長が答弁している。
「悪質、危険、迷惑性の高い違反、こういうものに重点を置いて取り締まる。これが基本でございまして、流れを乱すような危険な走行、無謀な走り、そういうものを取り締まっておるわけでございます。したがいまして、軽微な違反については警告にとどめるようにしております」』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P18~P19より抜粋)

はぁ?
ふざけんな!!

45km/hで街中を流れに乗ったスクーター走行が
「流れを乱すような危険な走行、無謀な走り」なわけねぇだろうが!
周りの流れが60km/hとか70km/hの幹線道路で、
流れに乗ろうと51km/hでスクーターで走るのが、
「流れを乱すような危険な走行、無謀な走り」になるか!!

「軽微な違反については警告にとどめるようにしておりま」せんっっ!!!
警告はまずない、いきなり切符切る、そして
「違反は違反だから」と言う。

あぁ~、なんか久しぶりにムカッと来ちゃいました(汗


その33-15

『 これが実行されているなら、不幸な事故は減り、道路交通は非常に円滑になっているはずだが、現実はまったくそんなことはない。その原因は、これらを実行する警察の有言不実行、または二枚舌的な体質にある。何しろ、警察は30年も昔の1967年から、警察次長(長官に次ぐポスト)通達で、
「交通指導取り締まりにあたっては、いわゆる点数主義に堕した検挙のための検挙、あるいは取り締まりやすいものだけを取り締まる安易な取締りに陥ることを避けるとともに、危険性の少ない軽微な違反に対しては、警告による指導を積極的に行うこととし、ことさら身を隠して取り締まりを行ったり、予防または静止すべきにもかかわらず、これを黙認してのち検挙したりすることのないよう留意すること」
 と指示を出しているのである。
 それでも問題が一向によくならない理由のひとつは、やはり独善的な警察の体質と思われる。元中国管区警察局長の保良光彦氏の著した『交通指導取締りのすすめ方』(立花書房)には、図らずもこうした二枚舌体質が露わになっている。保良氏は、
「スピード違反取締活動をやったから、それはスピード違反抑止の効果だけをもつというものではないのです。それは同時に、飲酒運転の抑止効果、無免許運転の抑止効果をはじめ、交通違反全体の抑止効果と注意力喚起の効果をもちます。関心と能力さえもてば一般犯罪の検挙も可能ですし、少年補導活動の場でもあります。しばしば重要犯人の検挙もやっています。そして何よりも、一般防犯の効果が大きいのです」
 と、取り締まりの拡大解釈を広言し、
「『交通事故に直結する違反を、事故多発場所と多発時間帯に重点的に取り締まる』と言えば、総論としては、誰にでも納得してもらえますので、しばしば、そのような言い方が広く行われてもいます」(傍点は原文)
 と、本音と点前があることを述べているのだ。
 警察がこのように交通安全に真剣に取り組まない現状では、今のところ、私たち一人ひとりが、納得のいかない交通取り締まりには毅然として異議を唱え、自分を守っていくしかないだろう―。

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P19~P20より抜粋)

スピード違反取締が無免許運転の抑止効果になる・・・??
意味わからん!!
無免許の人がわざわざ捕まるような速度を出すのか?

まぁ、他の抑止効果になるのはいいとしよう。
だからって取り締まりのための取締りがいいことにはならんがね。


その33-16

『 羽田空港の食堂で、私は、裁判に持ち込んでまで争っている今弁護士の真意を尋ねた。
「私なりに、この裁判を受けることについては悩んだんですよ。『略式裁判』で簡単に終わらせた方がよいのでは、とも考えました」
 ちなみに私たちが普通イメージする、裁判官をはさんで一方に検察官、一方に弁護人という法廷風景は「正式裁判」のことである。「略式裁判」ではこうした法廷を開かない。裁判官は個室で、証拠書類だけを見て流れ作業的に、“罰金を払え”との「略式命令」を出す。違反を認め、争いのないドライバーの場合、強いて正式に裁判を開く意味はない。「略式裁判」は、そういう違反をスピーディーに裁くために機能しているわけだ。これは争いのない被疑者にとっては負担が少ないが、そのかわり、不服がないことが前提だから、被疑者は100%“有罪”になる。
 しかし、違反に不服があって争うドライバーは、略式裁判を拒否することができる。略式で罰金を払ってオワリにしてしまうか、手間や時間やカネがかかっても正式でとことん争うのか。今弁護士は迷った末に後者の道を選んだ(この道を選んだ結果、今弁護士のように正式裁判まで進む確率は、実は低い。そのことは次項で述べる)。
「クルマが多く走行していたとか、人通りが多かったとか、見通しが悪かったとか、何か、自分が反省する条件があれば、あえて正式裁判を求めはしなかったと思いますよ」
 今弁護士はどうしても納得できない思いを覆うことができなかったようだった。そういえば彼女は、最終陳述でもこうも語っていた。
「私は、私の真意が検察官に理解していただけなかったこと、いかに検事が口を極めて糾弾されても、私が真摯に反省することができなかったことを残念に思います」

 97年3月24日、釧路地方裁判所の3号法廷で、第1審判決が下された。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P20~P21より抜粋)

なるほどね~、今弁護士、反省できなかったんですね~。
それはそうですね。
反省する条件が見当たらないんですから。
むしろ反省すべきは警察と検察と裁判官ですなー。

90km/hが危険?
条件によっては90km/hで走っても危険はなく、
むしろ60km/hのほうが危険だというのもわかります。

さぁ~、どんな判決が出たのか?
お楽しみに~♪


その33-17

では判決です。

『「主文。被告人を罰金6万円に処する」
 有罪である。判決理由で注目されたのは、危険性の問題だったが、「この規定の処罰根拠となる抽象的な危険がない場合を想定することはできない(中略)抽象的な危険を有していたことは明らか」』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P21より抜粋)

「抽象的な危険を有していたことは明らか」ではなく、
危険がないことが明らかだと思うのですが。
この判決意味わかんねー!

『 これは、「違反すれば、何を言おうが危険だ」というのと同じである。
 被告側証人としてこの法廷に立った松宮孝明・立命館大学法学部教授は言う。
「裁判所がこういう風に形式的に事案を処理すると、一般市民はこんな印象を抱くでしょう。『裁判所は一般とは外れた感覚で、おかしな有罪判決を出す。こんな取り締まりも追認してしまうのか』と。刑罰というものの重みを低下させてしまわないか心配です」

 しかし、羽田空港での今弁護士自身は、私の見たところ意気軒昂のようだった。彼女はその後、控訴して、いまは札幌高等裁判所で裁判を続行中なのである。
「道交法だけの問題じゃない。大半の人が被るような無意味な法律があっては、本当に必要な法律に対する、人々の規範意識まで薄れます」
 法律家らしい言葉を残し、今弁護士は一路、釧路に帰っていった。
 なお、後日、スピード規制とスピード取り締まりについて警察庁に正式に取材を申し込んだ。しかし警察庁は「(本書が)どんな内容になるかわかりませんから、今回は・・・・・・」と取材を全面的に拒否した。』

(「警察の警察による警察のための交通取り締まり」発行人:石川順恵、発行所:株式会社メディアワークス、発売元:株式会社主婦の友社、P21より抜粋)

「どんな内容になるかわかりませんから」って・・・。
警察の勇姿を誉める内容ばっかり放送する「警察24時」系の
取材は内容がわかるから取材拒否しないんでしょうね~。
確かに犯罪捜査や人命救助の活動はいいですけど、
その前に口が汚いのなんとかならんのかね。
取り締まりやってる警官よ、あなたが偉いわけではないのだよ。

さて、今回ので判決が出ましたが、
やっぱり有罪でした。
残念です。
本当に残念です。

民間人が裁判に参加することになっていますが、
民間人が判断すればもっとよい結果になりますかね~?
新しい制度がうまく機能するといいと思ってます。

あれって重要な犯罪とかだけでしたっけ?
そうするとこういった、犯罪性の薄い事件は
今まで通り?





今までご愛読ありがとうございました。
その33シリーズ終了です。
その34シリーズにつづく。

あ~、この前のガソスタ事件の音声記録でも
掘り起こして活字化しようかな~。
それとその33シリーズの続きにしようかな~。
迷います。
みなさんはどっちがいいですか?

つづく

※この話は以前のつづきです(※今回のシリーズを最初からご覧になりたい方は こちら へお進み下さい。フリーページへ進みます)。

GTの別HP では、参考書籍について紹介しています。役に立つものばかりなので、是非読んで見てください。

結構傑作だと思うその26シリーズをご覧になりたい方は こちら へお進み下さい。

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