April 9, 2006
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カテゴリ: 未来社会の構造
前回の簡単な復習から始めて、より詳しい解説に入ります。

●確かに、お金の無い世の中が良いのかもしれない。しかし、お金が無い社会がどのような仕組みによって機能するかの具体的姿が提示されていない。お金が無いことによる問題もありそうだ。
●お金には、価値尺度、交換手段、蓄積手段があるとのことであるとのことであるが、物々交換社会からみたら、こういった機能を持つものがあることは非常に便利なことであるに違いない。
●翻って、お金そのものが罪なのではなく、お金を運用する経済システムが非人間的な仕組みになっているのではなかろうか?

●現代世界にも、より人間的なお金として「地域通貨」のようなものもあるが、これを「法定通貨」に置き換えたら資本主義経済システムそのものが成立しなくなる。やはり、経済システムの方に問題があるのだと思います。

●「お金のある社会=私有財産制度」ではないと思います。社会主義国家にもお金があるが、国家による共同所有制度である。ところで、中国は共産党独裁国家ではあるが、既に社会主義国家ではなくなっています。

●繰り返しになりますが、私が考える未来社会は世界が単一化し、国が無くなっていることが条件になっています。グローバル化した現代世界を新たな経済システムに置き換えるのは、国単位では無理があると思うからです。それと、「境界の無い世界」(以前の記事)で述べてきたように、「境界の存在=利害の存在」であるからです。

●法律や道徳で社会を人間的なものにしようとしても、社会の仕組みが利害打算で動いているかぎり無理があります。このような場合、人の頭を改造するために「思想や主義」の教育や押し付けが必要になります。
●それよりも、システムそのものを人間的なものに造り変え、足らざるところを法律や道徳で補完するという考えの方が良いのではないでしょうか?



(1)相続制度の廃止
●相続制度は、生まれながらの差別システムであり、機会均等ではないので廃止します。
●相続制度の廃止は、人生でお金を溜め込むことの意味を無くし、自身の人生を心身とも豊かに過ごすことや人や社会への奉仕を活動動機に転換する大きな要因になると思います。
●進学や就職の動機、働くことの意味、芸術品の価値(資産価値から感動価値へ)などを変えることになると思います。資産価値以上に使用価値の方が重要な関心事にもなります。

(2)お金の流れを変える
基本配当
●お金は「稼がなければ手に入らない」ものではなく、生活に支障の無いお金は予め配分されているようにします。赤子にも、認知症の老人にもこのようなお金が配分されることになりますが、保護者がこのお金を管理することになります。

投資配当
●これとは別に、自分のためではなく、社会のために役立てるお金が別途配分されるようにます。これは、自分自身のためには使用することができないように性格づけられたお金です。
●「稼がなければならないお金」から「自身の生活のためのお金(基本配当)、社会のためのお金(投資配当)」へと、お金の性格が根本的に変化します。
●「稼がなければならない」世界では、人のためになることや地球環境の保全よりも、自身、自社、自国の利害が優先しますが、これらの配当によって、人の意識が「稼ぐことや利潤追求動機」から「人のために活動する動機」に転換します。

授権配当
●人へのサービス(奉仕、モノの販売)の結果としての収入は授権配当になります。投資先からの返礼も授権配当になります。これはどちらも、人や社会の役にたったことの結果なので、この授権配当は「徳」の指標にもなります。この授権配当を多く手に入れた人は、より豊かな人生を送ることができるようになる点は現代社会と変りません。
●従って、未来社会では、現代社会のように「お金が神様(お客はカモ)」なのではなく、「より良いモノやサービスを提供する人や組織が神様」になります。
●お金の要らない世界では怠け者がやたらに増えるのではないか、強欲な人が野放図にモノを欲しがる場合はどうなるのかといったことは取り越し苦労かもしれません。しかし、社会のシステムとしては、このような人が登場してきても機能するようにしておく必要があると思います。…ということで、この授権配当は、これらの危惧への担保になります。
●人間に競争は不要なのかもしれませんが、お金ではなくとも、努力の結果が評価されないというのは、寂しいことのように思います。積極的な奉仕が「得」や「徳」になることが望ましいのではないでしょうか?

Gバンク

●基本配当や投資配当を世界中の人々に提供するのは世界銀行のような機関(Gバンクと呼んでおきます)です。
●基本配当はともかくとして、投資配当のようなものは人々に配分せずに、Gバンクが全ての投資行動を行うようにしても良いのではないかという考えもあると思いますが。官僚主義や賢人政治のようなことになり、破綻した社会主義の二の舞になる恐れもあります。投資に関しても民主主義を貫く方が良いと思います。

減価するお金
●基本配当や投資配当を世の中に提供し続ければ、当然インフレになります。したがって、古い配当は回収する必要があります。ということで、未来社会のお金は、「地域通貨」のような「補完通貨」と同様に時間と共に減価することになります。
●未来社会のお金は溜め込むためのものではなく、役立てて初めて価値のあるものになるわけです。

(3)借金の廃止
●借金は数多の罪作り、悲劇の元になってきました。世界大戦の原因になった信用恐慌は借金経済であることに原因があると思います。


(4)市場経済
●官僚(選ばれた人達と言ってもよい)の手による社会主義計画経済はものの見事に破綻しました。
●今でも「価格の決定は、市場の偶然ではなく、経済連合体の中から選ばれた価格決定の専門家が、行うべきである」 と言っているような人もいます。私にはこの「べき」はとても信じられません。「市場の偶然」というのも気にかかる表現で、基本的には受給の均衡点だと思うのですが…。多種多様な物財やサービスが溢れ、その質も量も微妙に異なる現代世界で、市場を介すことなく、こんなことができるものでしょうか?
●それ以上に、これは価格統制そのものであるので、市場から民主主義が無くなることになって、賢人による独裁政治みたいなことになりはしないであろうかと心配になります。
●中谷巌さんは「分業による資源配分を可能にしたマーケットこそ人類最大の発明」と言っています。しかし、資本主義の市場は、利潤追求動機で機能しているので、大きな問題が発生することがあります。儲からなければ、貧困に喘ぐ人々がいる中で、収穫物が廃棄されたりします。このため、市場の機能は活用するけれども、経済の動機は変更する必要がある訳です。
●お金が無ければ、経済合理性を計る手段である市場も無くなります。ということは、資源を無駄使いして作ったモノとより少ない労力や資源でより良いモノを作ったとしても、その差が分からなくなります。より良いものを造った人が評価されることも組織が発展することもなくなります。

(5)価格
●価格は市場経済である以上、基本的に市場が決めることになりますが、人も組織も利潤追求動機で動いている訳ではなく、「感謝されることを目的」に動いており、そのことが結果として「収入」になるということなので、生産者側は(大道芸の場合のように)価格を提示せずに購入者の満足度に委ねたり、価格を幅で表示するといったことも出てくるのではないかと思います。

●以上のように「思想や道徳」によって経済システムを人間的なものにしようとするのではなく、システムの構造によって人や組織が人間的に行動するように仕向けていこうということです。もっとも、このような考えも思想と言えば思想なのですが…





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最終更新日  April 10, 2006 02:04:27 AM
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