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ruka126053のブログ
第12章
1
セカイは回る。それでも時は止まっている。彼女の時は。壊れた時、僕は死ぬだろうか。暴れるか。
「・・・・・エルフリーデ・・・・」
錯乱している。
「皆、死んだ、私が、私が」
壊れている。
「いいや、お前ではない、われわれだ」
「・・・・それは」
「君にとって、大事なのは本当に、アーディアディトなのかな」
「どういう意味だ」
サファイヤエルの秀麗な顔にかすかな不快感が走る。
「心配なんだよ、彼女の親友と同じくらいに」
はて、と幼げな表情を浮かべる。
「ああ、それならこの前、メアリーおねえちゃんからもらった」
「・・・・」
「・・・・」
カイザーとヴィントは見つめ合った。
何で、こいつ、そう手に入らない類の人物とか、公爵令嬢とか、まあそういうたぐいの子息令嬢が集まる名門校だが。本来ならアルバートあたりが年上キラーなはずだ。
「まあ、いい、それでお前は招待されているのか」
「うん、珍しいお菓子と初版の珍しい本があるんだと、僕を出しにしないで素直にアルバート誘えばいいのに、パヴォール伯爵とか」
多くのかごは、マ―キューリーに慈悲や甘えを許さなかった。水の精霊王と契約して、アリスの敵を倒す。だが、多くの弱い者も民も心底、どうでもいい。だから、彼女や救世主がいつくしむ行為がうらやましかった。
葬式は嫌いだ。フランティスカは赤の女王に惑わされ、死体になって戻ってきた遠縁を悼む気持ちになれない。
「私は強い人が好きなの、ヴォルフリート」
「でも・・・」
何も残さず、絶望するだけなんて。
≪ライト・ハーン≫
アリシアの必殺技が繰り出される。
―すべて、ハートの王のために。
ダンジョン戦では最強を誇り、異界研究においては他のついづいを許さない、しかも彼女は美の女神に過剰に愛された如く、美しく、エミリアのライバルである。
不滅の加護、常勝の加護、アンチナイトメア属性であり。
マギア・ウォーについてはトップである。魔法騎士団においては、すでに数人に指揮する権利を与えられている。
彼女の能力が最大限に発揮するのは、頭脳戦やチーム戦だろう。
「とんだ詐欺師だな、パーフェクト・ウィッチ」
アリシアがゆっくりと降り立つ。
「悪いけど、貴方達を制圧するわ、完膚なきまでに」
「えーっ、だって、魔女絶滅なんて当たり前じゃないですか」
タナトスに所属する少女は甘ったるい声と愛くるしい少女にいら立ちを覚えた。男女と呼ばれる、先輩の頭の上部にシニヨンを作り、強めのオレンジの長い髪をアップテールにするエラと無邪気さと小悪魔、ふざけていながら、その胸に平和への使命に燃えるリリーナ。
「罪もない魔女を殺すのは駄目です」
「存在自体が罪悪なのに意味不明です、頭おかしいのかな―」
「希望など無意味だよ、アウレリア」
「しかし・・・」
「夢の中の妄想と同じさ、人は悲しいものだね」
それでも、つぶれないためには。
忠誠心と盲信。信仰と信念。正義という名の従者。なぜみんな時間を無駄にできるのか、誰かの不幸を無視できるのか、頑固者の優等生は理解できない。
壁はものすごい勢いで破壊され、パンドラたちが入ってくる。爆発音から壁が壊されるまで深夜、明朝。帝国のだれもが想定していない。誰もが其の時までいつも通りだお思っていた。
「品がない」
ハートの騎士、ナイトハルトはクイーンの密命に、フォース・ナイツでの日々に悩んでいた。イグナスの覚醒、ハルトヴィヒの監視に。
友人たちへの裏切りに。
・・・・悩んでも無意味だ。甘い蜜のような、涼やかな声。
ーお前には期待しているわ。
鬼属に恐れられる男、確かに戦闘時、迅速に的確にオルフェウスは敵を討つ。コウモリの隊長はいつでも僕を従士をやめさせられるのだが、オルフェウスか総隊長に脅されているのか、というか暗躍する立場なのに、なぜか堂々と補佐役だ。憧れの先輩らしいが、なぜか従士のままだ。戦闘の間の補佐、み周りの世話、連絡係、年齢や序列無視で実力主義、最後の実力でいうなら、オルフェウス隊では使い勝手が悪い。
「絶対ポジション違うな」
「まあまあ、僕もサポートするし」
「というか、お前セアドアにほぼ任せているだろ」
エースのアルフレートは優等生であり、戦力としてもオルフェウスがいない時のリーダーもできる。僕は正直自分似ていいっぱいだし、簡単な役回りだ。最近までおろせおろせとオルフェウス隊も活動していたが、人望も実力もある先輩や後輩も活動をやめている。
「ああ、手下だから」
何だろう、ハートの騎士のはずだが、多分総隊長の監視役なんだろうが、フォボスのことを勘づいているのか、やたらと懐柔しようとする。
「・・・・そんな、照れるな」
でも、何で男子何ですかね。フェリクス家のテロ事件、なぜか僕の下僕になりたがる。
完全にセアドアのほうが上なの二だ。でも反パンドラが急にパンドラ好きになるってどういう心理なのか。
「首つって死ねばいいのに」
「君の愛は直接的だな、恥ずかしいよ」
当然だがゴットヴァルトはルヴァロア家では嫌われていた。当初は命を狙うものもいたが、その本人はルヴァロアのつわものも精鋭も、公式の場での後継ぎではない発言や無礼な振る舞いも興味も示さない。どんなに尊いか、素晴らしいきずなか、歴史だ、帝国の剣の一つとして偉いか。
なるほど、レッド・レジ―ナのお気に入りだけに一応、それなりに貴族の振る舞いや礼儀作法、特に女性に気に入られる方法を得ているようだ。卑劣なヴァンパイアらしい。
「調子に乗るなよ、人の血がないといけない卑しい生物が」
「ああ、いくら今守られていても、少しでも好きがあれば、その小さいからだ、焼いてやるからな」
「覚悟しろよ、今にお前を魂も残さずなブリ殺してやるよ」
若い連中だ。
「はぁ、覚えておきます、大変ですね」
興味どころか怒りさえ浮かばないらしい。
「こいつ、マジ馬鹿だな、あははは、アテナの剣ってのはよほど気楽なんだな」
「おちびちゃんはいいですね、ママもそんな感じなんですかぁ」
「会ったことないですから、まあもうこの世にいないでしょうけど」
周囲がざわめきだす。貴婦人や令嬢が場の不自然さに気付いたんだろう。
・・・ああ、今日も殺された。何度も何度も彼らは懲りることを知らない。
幻惑の魔女はゴールド・ライブラに、ブルー・メシア。何の感情もなく、殺される。
熱い。痛い。
「仲いいのか」
「誰と?」
「シエラとだ、お前好かれているだろう」
カイザーは変なkとを言う。
「誰が、誰に?」
セシル嬢はぼっちらしい。カイザーはまじめな上、負けず嫌いなので、彼女は嫌いだそうだ、カイザーが。まあ美人な部類だろう。
何で出会う人、やたら美男美女が多いか、僕も不明だが、カイザーの騎士団の友人いわく、少女騎士を兄が誘惑しまくっているだそうだ。
「ゴットヴァルト君はお兄さんみたいに女たらしになるなよ」
「あ、いえ、人間が嫌いだからありえませんが」
兄とセシルのラブコメか、でもあの二人につながりはヴィクトリアかセレナか。カイザーはヴィクトリアに嫌われている、まあうそつきで偉そうで、顔を合わすと怒っている。
「なりませんよね」
振り向くと、甘い柑橘系の香水のにおい、アデレイドさんだ。
「なぜ、こんな非道を行う」
「変なこというな、君たちと大差ないだろう」
「どういう意味だ」
「オルガン弾き」
「ヘルムートか」
「というわけで、ゴットヴァルト、お前が何とかしろ」
カイザーは何とかマリアベルと仲良い兄弟でいたいらしい。
「ええと、バルドォル様だっけ」
「お前はカイザーの奴隷だろう」
・・・すげえな、貴族って。
「バルドォル様、そのような発言は次期当主に失礼です」
「いやいや、なりませんから」
騎士たちは黙り込む。
「何・・・」
「そうですね、そういうところはマリアベル様の兄ですもんね」
「大体さ、わがクラスにあんな奴、必要ないだろ、兄貴がいなければ何もできないんだから」
なんかこっちを見ているな、なんでだろう。
「そういういい方、やめろよ」
「でた、アーク隊のお人よしカノン」
「皆のレベルに合わない、数合わせの予備、だから己のポジションはいつも自覚させないと」
ヴィクターはアレクシスに勝てない。故に閉じ込められた。
自分のコンプレックス、まるで双子のようにアレクシスと似ていて嫌いだった。これでアレクシスがいやな奴なら欠点があるなら救われた。
ー私がお兄様を、あの人がお兄様をフェリクス家後継ぎに縛り付けている。最初からすべて持っていたアレクシスは、幸福か。
自由ではない。だから仮面をつけた。
「まるで、道化ね」
「ヘレネ・・・」
「誰であろうと、ウロボロスの無断の立ち入りは許しません」
ウォーター・ソルシエールの熱心な崇拝者、少女は槍を持つ。
ファ二ア・パロットは突如、帝国を裏から支配する治安のための魔術組織、トトの異界と現実界の秩序と均衡を守るウロボロスの門前に来たエルヴィーラとガブリエ―レに槍の先を向ける。
正直、顔も見たことのない少女に自分の運命を預けるなんて、サファイヤエルはどうでもいい。家は貴族だし、勉強も武術もできた、外見も女性たちに褒められて。けれど、自分の中身をみる人間なんて親も周囲もいない。子供とは言え、女だ。
女は嫌いだ。自分勝手で泣き虫で感情的で、なぜ恋愛なんかにそこまでヒステリーを起こすのか。生涯をささげる異性。
そんなものになんで自分をささげないといけないのか。
「畑だな」
「ああ、掘っているな」
学園の庭に、え、これ、幻?いたずら好きで騒ぎ好きだが基本いいところのお坊ちゃんとかだ。
「しかし、あのブラこん」
「ああ・・・」
べったりしおって。
「弟を縛りつけて、恥ずかしくないのか」
「きもい、マジねえ」
「どうしたんです、僕にごめんなさいと言わすのでは?」
「何だ、貴様は」
「失敗作の弱小モンスターではないのか」
ごちゃごちゃとうるさいな。
「僕程度にてこづるなら、イシュタルに勝てませんよ」
ペルソナを発動させる。
「お前、仲間に・・・・」
「本気か、隊内で魔術戦なんて」
「いいから、そんな演技はやめて、得意な魔法でも出したらどうです、本番では貴方の父も帝国も守りやしないんですから」
まっさかさまになったアリスの目に飛び込んできたのは、ダイヤモンドの輝きにもにた世界。
全身から血がなくなっていくのをエレオノ―ル、その時15歳、魔術師の成人の儀式といえるもので、急襲にあった。
「なんで・・・」
光り輝く、マルス・モア。それはエレオノ―ルの母の体から現れた。大勢の客達は命を失っている。散らばったそれが人というものには見えない。
「アルベルト、僕は君と違うよ」
「そうかな」
「本当の僕なんて誰も必要としてないんだよ」
「副委員長」
出席番号4番、カメリアが振り向く。天文部の副部長でもある。ストレートロングヘアを三つ編みにしている。メガネをかけ。ライムや派手目な女子からは距離を置かれている。
「悪いが、これを二階まで頼む」
「はい」
「お兄様、教室で居眠りなんていけませんわ」
「それはそうだけど、みんながいないから気がゆるのも仕方ないだろ、アリ―シャこそこんな時間までアークナイツ部か」
「まあ、ヴィクトリアさんがまた」
「・・・・ああ、彼女か」
「あまりいせいにご親切なのもよくないですわよ、ただでさえお兄様は誤解されやすいのですから、まだ特定の方は作らない気ですの」
「手のかかる妹もいるし、急がなくてもいいだろ」
「もうお兄様ったら」
「少しは温情というものを見せないのか君は」
第二部隊の指令室で、副隊長はシエラと命令無視した少女二人を見た。
「私は任務を遂行しただけです」
「筋金入りだな」
「ルクス・・・・」
東洋の遊び道具、マリを少女はアルトゥルに投げる。
ルイが笛を吹く。エルフリーデが竪琴を引く。
「ヴィジットさん、彼女は」
「夕方まで付き合ってやれ、お前には例外気を許している」
「・・・・そうね、アーディアディト、フランシーヌ」
ティーアマリアは星空を見る。
「ただ私はこの星がみたかっただけかもしれない」
「マリアさん・・・」
エリク達の墓の前、新しい孤児院を見る。日に日に厳しくなる戦闘訓練、スパイのまねごと、よく考えなくても、エリク達は臣民、それもこんな辺境のいなかで、例えばアンネローゼが暗殺者とか向けるわけない。村の人間も院長の悪行に過剰反応しただけ。教会の中のしたいだって犯人は見つかっている。魔法も陰謀も関係ない浮浪者。
おかしくなっていたらしいが、きっと不幸があった、悪いことに突っ込んだ。
・・・・特別な才能もないし、人付き合いが下手だし、まあ体力も剣術もついたけど。
子供たちが笑う。死んだものまで幸福に、恨むな思いこむな。
僕は探偵でも警察でもない。
なぜかその時、父さん、あの人の最後を思い出した。姉さんたちは守れるようになろう。
―お前、ユーリヒューマンか。
なぜか、その人のことは思い出す気になれない。全ては偶然、かかわりがいちいちあるわけがない。
死の鳥は噂話が好きだ。
けれど、女の子はどんな環境でも恋が好きだ。というのは偏見だろう。女性が秘密主義なのは仕方がないこと。
「ルードヴィッヒ、君はクルーエルエッグを追わせているというのは本当か?」
「まあ、そうだな」
ウォンが大きく目を見開く。
「隠さないのか?」
「ハルトヴィヒ」
身体が起きると、目の前に妖精のような少女がいた。
「君は・・・」
「君はお姫様ではないだろう、アーディアディト」
「私は・・・」
魔女の手下たちはささやく。
「お前は存在を認めさせるため、都合のいい仮面を身につけているにすぎない」
ゴォォォ・・・。どこかで魔女が焼かれている。
ドォン。
携帯から聞きなれた音が聞こえた。とはいえ、ゴットヴァルトはどうでもいいことだ。ズドォン。
「何か口、怪我している」
「ああ、どこかで転んだかな、お前は何してんの」
「宿題だよ、結構ためていたから」
紺がかった、黒髪、覇気のない目、あの少年は笑った。
「あまり夜更かしするなよ」
気遣うような言葉は本心だろう。
「君は優しいな、本当に」
「何だよ急にほめて」
「素直な言葉だよ、僕も庶民として生まれたかったなぁって」
黙り込む。
「アルヴィン?」
「お前を気分悪くさせたいわけじゃないんだ、でも、学校出れよ」
銃弾を取り替えているのだろう。だが震えている。これが初めてじゃないだろうに。
「おっさんか」
「うるせ、お前は少しは社交性と常識を持てよ、大体お前は」
≪オ―バロ・アーチャ≫という自分の聖なる対パンドラ武装を使う時、未熟だった過去の自分を一つ一つ踏み砕いていく。だが、それは仲間や臣民を、ブラン・レジ―ナを守る崇高なものではない。パンドラの脅威から守る剣や盾となる。
トルナドは、五年前の己の醜さ、脆弱さ、そして罪悪感を払しょくするため、己は小さい世界に生きているとそれでいいと思う。
北の大女帝の機械の悪魔達を見て、仲間よりも使命よりも己の生存を第一にした。
低俗だと自負し続けなければ、死霊に狂気に支配されるからだ。それがどんなにおぞましい行為でも、そうしないと生きられなかった。
第10部隊隊長トルナドは副隊長とともに、南方遊撃部隊の基地に来ていた。
「場所はあっているんですよね」
「そのはずだが」
パープル・ハットの虐殺帝と因縁があり、アーデルハイトの熱心な崇拝者であるテラエはもともとの相性もあり、トルナドとは仲が良くない。第11部隊テラエと副隊長トワイライト、戦司祭たちはついているはずだが。
そこは五年前まで戦場だった、イシュタルから救いだした帝国の領地だった。一面に雛菊の花が真紅に色を染めて咲いていた。
だが隣で流血や争いがあっても、帝国臣民の彼らはそれを隣人の、他人に起きたことと思う。
「生き残りか」
少年や若い連中ばかりが目立つ。胸が痛む。マナさえなければ、戦場などむごいものを見なくて済んだのに。
「どうして、何で、考えても仕方ない」
「てめえ」
「そうやってかっとなって、成果はでたか」
「俺は」
ヴィクターは。
「喧嘩する気がないなら、やめろ。敵まで同情して何の意味がある」
人ごみの中でヴィクトリアは冒険者の後ろに友人にそっくりな細面で忠誠的な雰囲気の少年を見た。片目を布で隠している。姿は美しい人間の少年だ。魔物商人から手に入れた、アテナの剣ではない。違う、あれは兵器なのだ。人の姿をした。
異端審問官の前に出された吸血鬼とダレンの前にヴィクトリアはでる。
「間違いよ、こんなの」
二年前、山奥の少数民族の生き残り。だがダレンの妹は人間の敵で。
アルトゥルの上にクロ―ディア、従者の青年が落ちてきた。
「君、大丈夫」
「は、はい」
見事にクロ―ディアに押しつぶされている。
「悪趣味だと言いたげだな、キースリング・・・」
「あんた・・・」
悪魔属が次々と姿を変えている。
当たり前の日常はない。退屈な日常はある日終わった。エドゥアルトとフィ二ス、アルトゥール。近づく足音。まるで中世のようだ。アルトゥールはパンドラだった。元ブレイヴ、今は田舎の賢者アウリオンは、異端審問官の到着に、緊張していた。
「君は錬金術が使えるのか」
彼らが裁く対象は、拷問がメインではない。一度落とされたら、二度と戻れない煉獄。永遠の楽園。トトの異界。オルトロスの迷宮。
「呪いかな、それも」
木と土で弓を作り出した。
「弟は渡さない、人間は人間を使ってはいけない」
「お世話になりました」
くすくすと誰かが笑う。カイザーの後をついていくことしかできない。
「何だ」
「いや、君と彼は似ているなって」
オスカーは、楽しそうだ。
「・・・・・・・そんなことはないと思うが」
不運でヴィントを片づけてしまえば、きっとだれもが罪悪感を持つことはなかった。失われた光景。ありえた未来。何もかもが平和で穏やかで。
「また、いじめられたのかよ、ウルリヒ」
オルフェウスの後を、ヴィントがててと追いかける。今のヴィントはいわば良家の子息で、青の賢者の塔のエース、優しく誰にも優しく大人しい優等生、忠実な弟分の当然の結果だ。
「まだ小さい」
男に言うセリフではないが、可憐、はかなげな世間知らずだった。相手のことを思いやりというよりは、期待にこたえられないからとか真面目で頑固者だった。
アリスもカイザーもハインツもアルバートも頭がいい。
「無理なのだよ、全員を助けるのは」
「ですが」
フィリベルトは、ヴォルフリートとコロシアムで決闘しながら、精霊騎士の言葉を思い出していた。
「必ず、血は流れる、一方的に武力を奪い、その場の戦闘を止める――これほどの悪意があるか」
「やぁ」
「お前は」
いいものをきている。ということはここの子か。
「夜の街なんて見ていて楽しいのか」
「程々かな、君だろう、当主様が送り込んだ子というのは、お互い、初任務だけどベルンホルト様の期待に答えよう」
笑顔とかいけすかないよりわからない。
「・・・平気なのか、命令だけでお前、誰かを殺すんだぞ」
「でもここで混乱を収めれば秩序は戻る、あの方に間違いはないよ」
「お前はあんな機械みたいなやつが好きなのか」
「駄目かな、皆はあの人が怖いというだけでなかなか同意が得られないんだ」
暗闇は視界を遮る。
「オルグか」
「奇遇だな」
オルフェウスは今ゴットヴァルトともに、パンドラを追いこんでいるのだろう。嫌ではあった、礼のことはなくても、ゴットヴァルトは嫌い以上に不気味だ。奴と共闘はやりやすい。普段は自分勝手なくせに、背中を預け、自分に会わせてくれる。まあ普段は我慢していて、ここで暴れているだけだが。恐らく、任務と日常でスイッチが切り変わるのだろう。
「彼の戦いは、あまり美しくないな」
他ではボケというかどじっこというか、そういう風なのに、戦闘となると隙もなく、次々に敵を殺す。
「アリスから離れて」
「騙すつもりはなかったんだけどな」
黒紫の長い髪が揺らめき、目が赤く染まる。
「嘘、リーゼ」
「ごめんね、私ね、人間じゃないの」
「・・・じゃあ、彼女と一緒にいた人はアリス、知らないのか」
「ええ・・・」
五年前のヴォルフリートが赤の女王と。
「でも、あの時何で貴方は噂の一人にあがったのかしら」
「後悔しているの?」
オルグがアリスに尋ねる。
「どうでしょう…、でも卑怯ではいたくないから」
同級生と天魔落ちの女の子。彼女達は正しい。
「やきもち?ヴィントってロリコンなのね」
「単なる親戚だ」
「ぎぎぎ・・・・」
「しかし、まあ、ヴィクトリア、二股はよくねえぞ、俺が魅力的なのはわかるが」
「わかるもなにもお兄様、あいつはペルソナで侯爵様達をだまして」
「考えすぎだよ、ゴットヴァルト様は権威にもご自身の家にも興味がない方だ」
「そんなの、お兄様たちに媚びているだけよ、いつもへらへらして暴力的でふらふらして、私はあんな泥棒何か」
「君と彼は同い年だ、まだそれだけしか彼も生きていない、君は優しい子だ、ならわかるだろう、彼は気を遣いすぎるほどに皆に気を使っている」
「馬鹿な、あんな厚顔無恥な奴が」
「諦めるのは早かったな」
弱い奴は攻撃される。バケツでまた水を浴びせられたらしい。殺すことをためらう。
爆発、銃声、魔法人、敵の罠、援護が遅く味方に被害が出た。
「こんな理不尽を何で帝国が」
誰かを悪とするのは簡単だ。
「帝国だけじゃない、お前はいきなり不幸な立場に勝手におかれたと思っているが、こんなのは当たり前だ」
ここには助けてくれる従者も騎士もいない。
「女たらし・・・」
「??僕がまさか」
テおドールはフレドリカの言葉にとりあえず、そう答えた。
「いいんです、天然馬鹿の鈍感は剣に夢中になっていればいいのです」
「それでどうなったの、そのお姫様は」
「もちろん罰は受けたわ、永遠の牢獄の、美しく傲慢で、だから今日も女神様に嫌われているわ」
「何か方法はないのかな」
「…カイザー」
「だって、ただみんなを魅了しただけじゃないか」
「大丈夫、いつか王子様が助けに来るわ」
「どうかしら、でも待つのはやめたでしょうね、無意味だから」
「・・・・」
心臓が止まるかと思った。
「どうも」
どこにいたかと思えば、ワインが置かれたクラの中だ。
「お前、そんなにあいつらに嫌われてんのか、確かに立場的に楽しめないだろうが」
「でも僕が出る必要ないですよね、大体カイザーの護衛でおかれているだけだし」
「ベルンホルトの実子だろ」
「・・の、予備です、だから僕跡継ぎじゃないから、使用人でもいいんですが」
その頑固さ、面倒くささはオヤジ譲りだろとは言わない。そもそもあの男は子供に関心がない。
「とにかく、降りてこい、ここの奴が困るだろ」
「あの、何で手を広げているんです」
「お前の身長じゃそんな高いところから無理だ、俺のところに落ちてこい、拾ってやる」
「はぁ」
「卑怯者」
そう、アリ―シャは力づくでこの場を支配し、アリ―シャの誇りさえ簡単にねじふせるという男に思いのたけを叫ぶ。
「・・・アリ―シャ」
イリスがいさめるような声を出す。
「さて、どうする気だね、正義の味方のお嬢さん」
くっ、と歯をかむ。
ここで要求をのめば、フェリクス家の威光は地に落ちてしまう。
・・・アリ―シャ。
・・・アリ―シャ。
フェリクス家は穏健派といわれる魔術師で魔術士らしからぬ人らしさを持つ術者の家。だが、同時に実力がなければ、今の立場もない。
「情けない」
アリ―シャは母の傍にいる。
清廉潔白。厳粛で温厚。模範役。フレッドという人間を言うなら、善人、秩序だろう。多くの人間は彼は苦手で、同時に共にしたい、友達思いで仲間思いの優等生だろう。勧善懲悪。でもね、みんながみんな正統派、王道はのヒーローとお友達にとは限らない。アレクシスほど柔らかくなくなく、口うるさく。アルフレートほど厳粛というかナチュラルに俺様というほどでもなく、量産型の主役という感じ。
「イングリッドさん、悪いね」
「・・・・・いや」
背が小さくて小柄でよかった。これでイケメンか、不細工ならさされているところだ。
鎧ドレスのスカートの中から出て、移動する。
「もう行くのですか」
「うん追われてるからね、イングリッドさんがいてよかった、じゃ」
白梟の騎士団がオルフェウスの従士だからと追いかけてくる。
「どう思う、イザべラ、アレスターさん」
「さすがに、それは上流魔法でもする人はいないよ、吸血鬼のように過去から生きている存在でも、そういうことは禁じられている」
「私、魔法のことも家も何も知らなくて」
天魔落ちとしてヴォルフリートは、みんなに距離を置いて。
「・・・クラウド家も魔法使いなの」
「そうだね、でもありえないよ」
アレスターにしては冷たい。
ドーリスは噂好きで、イベント好きであり、見た目もまるで砂糖菓子のごとく可憐な少女だ。そしてヴィクトリアの学園内における友達である。背が高く、どことなくボーイッシュな雰囲気のベアトリスは冷たい印象だ。
「で、ウリエル様と進展しているの?」
周囲の男子生徒がざわめく。絶対、わざとだが、誰も少女のそうした性格に気づかない。
「それは僕も聞きたいな」
勿論ヴィクトリアも恋に恋するお年頃、そういう話は好きである。
別に近づくでも、必要以上におせっかいをするわけでもない、興味を持たれるわけでもない。
「珍しいな、お前が他人に興味持つの」
「そうかしら」
関わるのが彼女だけ以上、仕方ない。そもそもシエラは自分が至高、・・・本物のナルシストというわけではない。そもそも彼女は常に見られる側だ。
女子が彼女を攻撃するのは、怖いからというものもある。そもそもかなりの立場の男でさえこの女は寄せ付けない。
「お前はファザコンなの」
「どうかしら、まあ貴方があのおとうさまから逃げたい気持ちはわかるわ」
「複雑な家庭に仕立てるのやめろ」
「それで貴方の覗き趣味と観察で、どうかしら」
「ともかく、お前は妹に近づくな」
夕闇の中にオルグは去っていく。暗闇の中で一つ、一つ、消えていく。
「あほか」
ようするに簡単な上からの真似じゃねえか。なぜ俺がどうでもいいことまで責任取らないといけないのか。嫌われるのもなめられるのも、すべて俺に起因する。
「シスコンかよ、気持ち悪い」
だが俺が呪いじみた、その薄気味悪く残酷なお題目から逃れる日は来ない。言葉は便利だ。たとえ昨日、その友を、あるいは彼女を呪っても、次の日になれば、そんな自分がいないとして、また相手に同じ呪いをかける。永遠の愛、あるいは友情があるならそれは映るのは自分でしかない。今動かなければ、手に入れられない。だから、今を大事に。だからと言って、お前らが俺の過去を安売りするのは止めろ。神の前で愛を誓う?誰かの許しがいるもの何手愛じゃない。愛の正体はもっと重くて、残酷で呪いだ。人の本質が愛というなら、なぜ俺の祖父はあんなにも否定されたのだ。
なぜ、彼の人生が偽物だというのだ、無駄だった、消費しただけだと。なぜ、俺は大恋愛した彼らの証拠だからと同じものにならないといけない。
「絶対手に入れてやる、賢者の石を」
彼と彼女は分かり合えない。オルグはシエラの気持ちが理解できない。家族だから分かり合えないこともある。不幸な家庭じゃなくても、愛されていても、俺はあの人達のようにならない。
でも、彼らは理解しない。俺だって最初は理解しようと、同じようになろうとした。生意気で仲が悪い妹だって愛していた。魔術師の才能が妹ほどにないにしても嫉妬なんてしていない、自分に納得していた。この見た目だって大好きだ。
――そうか、お前はあのこが嫌いなんだな。
あの時のあの目。自分以外の可哀想な奴を見る目。両親には確かにあまり似ていない。でも疑問もいだいていなかった。
――可哀想な子、私達が苦しめていたのね。
石をける。まあ、僕も16ですし、親離れは必要だろう。そう、俺は複雑でも可哀想でもない。こんなすれ違いは普通なのだ。
あれが真実の恋の果ての目だというなら、俺はやはり役不足だろう。
「・・・何のつもりだ」
だが、オーダーの言葉に暗殺者の女性は少女のようにほほ笑んだ。
「何、デートに行くだけさ」
「どこのお友達?」
2594. 考えを深めぬことがどれだけ恐ろしいことか貴方達は解らないのか
「どうして?君だって他人にランク付けるのに、どうして人間だからと同列にするの」
額から血が流れている。ダノンをモノのように見る。
「それにそんな生ぬるいをいう暇があるなら、相手を手ごまにするくらいは頭を働かせれば」
剣が振り下ろされる。よけたが、そうでなければ斬り殺されていた。
「おまえ、これは・・・訓練だぞ」
「さぼりや何だね、敵が君の事情を把握するわけないだろ」
「退団する気って本当?」
「うんまあ、同じ生活は無理でしょ」
「お姉さんと他国に行くの?」
うーん、と困ったように頭をかいている。
「ふーん、でもさ、一度くらい、あんたの家連れてってよ、みんなでお別れパーティーしないと」
「おお、じゃあ、わしわししていいのかな」
ユディっとは動かない。
「何だよ、殴らないの」
「あんたってごみでちゃらくて、軽薄で最低で中身ないけど、結局私達ってあんたの何?」
「おいらは・・・」
「誰もが貴方にかまってくれると思わないことね」
二コルは首を傾ける。
ダヴィデはあわてて追いかける。
「おい、初対面の奴に」
任務か趣味か知らないが、得体のしれないやつであることに変わりはない。何で、あんな人に・・・。
だけど、その理由を、クラウド家以外に居場所を作る理由を考える必要はない。あんな馬鹿にそんな格好いい理由など、シリアスさなんてあるわけがない。己のためしか考えない自己中心的なチェス兵。変身しているのだって、当主様にもらった今が必要のないものだから。気持ち悪い・・・。
柱時計が鳴り響く。
ライトニング・ヴァリニアに流れ着いた異国の兄弟、オリバーとセバスチャン。
ジ―クヴァルト・バドォールは布製の緋色の椅子にすわり、目の前の客人を迎え入れる。マルスの目はバドォール家の天敵といっていい。先の当主夫婦、帝国の闇を多く背負ってきた、暗殺一家や裏社会とのかかわり、整然とした綺麗な国というのは当然ながら、多くの闇を生むことでもある。タナトスやウロボロスとも当然密につながり、さながらくものすの中にいる気分だ。彼らの故郷は太陽の国、階級は下級貴族で古い部族だった。
「お前は自分のために他人を売るのか」
「・・・」
だが客は答えない。
「フードを脱いでくれないか」
ゆっくりとフードがはずされる。
「あり得ない、パンドラが逆らうなんて」
まるで恐怖をメインにした物語、幼いころ話した母の作り話のようだ。
階段を、三男の義理の息子、サタン種の青年が登ってくる。
「何で・・・」
「ベルンホルトどのが来るまで我らで敵をひきつけるぞ」
ムースはその日、上官の将官を見た。命令と指揮権をもつ。エドワードが攻撃の合図を送る。煙が火が上がる。銃声が一斉に鳴り響く。
皮肉か、ここにいるのはどれも帝国軍人では問題児、あるいは武力主義といわれた、栄光から外れたものたちだ。非道、と一部の貴族たちはいう。確かにここで分刻みに死に、あるいは抵抗、射撃、おとり作戦、あらゆる考えの元流れるように死んでいく兵士は一般市民だ。
嫌がる民に無理やり銃を持たせていると。
だが、ここにいるものたちこそ純粋な意味での帝国臣民である。傲慢で冷酷なあの男を自分達は今も嫌いだ。
中には革命家やテロリストの関係者だからと忠義のため、大事なものを殺すことを強要された者もいる。
「ひるむな、撃て」
だが命令する女性士官は迷わない。
青年軍人や少し上の軍人は自分達の上官を待つ。約束をたがえない、一度口にしたことはどんなことをしても形にする。他者に自分の獲物を渡し、自分達という駒を無駄に扱うわけがない。逃げ出す臆病ものなら自分達はついていかなかった。
使いつぶすまでは、エドワードはベルンホルトの駒だ。
ライオン種、か弱きライオンとタナトスに馬鹿にされた彼らはレーヴェ家の領地の中に自分達の村をつくり、ユニコーン種と対立していた。
森の中でネフィリアは、両親と生まれついて引き離されて、神殿の中でグリムに仕える巫女の多くの中にいた。
ユニコーンは古くから王侯貴族の紋章につかわれてきた。だがネフィリアは変身する姿を見たことがない。
「ねえ、ユリウス」
風車が周り、崖や山に囲まれ、それこそ異国とはつながりがない。
「何だ」
代々、青の女王を守護し、騎士達を支える。国王やその一族を守る。それゆえにネフィリアはパンドラとして珍しく、戦士や騎士に崇拝を集める。
「私は死んだら女神アギオ・マリア様のところに行くのかしら」
生まれた時点で世俗と切り離され、巫女たちは神の子となる。一生だ。
「馬鹿」
ユリウスはいずれ族長か役目を与えられる。
鳥を眺め、山の先を考える。
ドラゴンやユニコーン、ハイエルフは気高く優しい魂をあがめる傾向がある。
王とは、どんな存在か。太陽のように全て包むのか。破壊の権化か。
聖女と呼ばれる人間もよく来る。信仰の集まる場所。
「パンドラなどいくらでもわいてくる」
男爵であり魔術師の男はそういった。ジュリエットが倒れている。
「そうだろう、お前も悪魔だ平気だと今さらこの国に義理を立てる必要もあるまい」
「この世界は腐っている」
ケースの中にはホムンクルスがおさめられている。
白ウサギは、金髪の少年に言う。
「貴方は変なこと言うのね、どうして、たかが一個体にそこまで貴方がショックを受けるの」
「だって、クロノは真実を教えようと」
「ヒルトルート少尉・・・」
「何、君はわたくしが守るわ」
「いや、僕じゃなくて、総隊長を護衛してほしいんだが」
吸血鬼狩りの名家の魔法騎士が吸血鬼を守るという。
ダノンとの騒ぎの後、他国の少女軍人が手を握り、そういった。
吸血鬼は人を酔わせる魔性のもの、妹が純血の吸血鬼の手にかかり、吸血鬼化した時もそうだ。
悪魔は老若男女、人生を理性を狂わせ、人を下僕にしてしまう。優しく、動物や小鳥が好きで病弱な妹。アルベルティーナ。ラフォール隊で戦闘員として保護され、自分の剣となった少女も。預言の力を生まれてきたことが運のつきだった。
「本当とか、本物とか、どうでもいいのに」
シャーロットがカイザーの元に来る。
「ああ、君の別の」
秘密は知るべきではない。
「待ってよ、姉さん」
目の前の角からダークブラウンの髪の少年が出てきた。大きなオッドアイの瞳。
オルフェウスは目を大きくさせた。
どんっ。
「あー、何してんの」
美しい少女が反対側から戻ってくる。
「いてて」
「おい、大丈夫か」
少年は額を押さえながら、顔を上げる。
平凡すぎる顔だ。多少かわいらしくもみえるが。オルフェウスは少年の体を起こす。
「前見て走れよ」
「えへへ」
すぐに気付いた。・・・・生きていた。
勿論なの赤子という証拠はない。だがあいつだ。
少年は去っていく。
身体から緊張が抜けていく。そうか、生きていたのか。口元がゆるむ。止められない。
「ゴットヴァルト・・・・」
帰ってきたんだ。
「何か言いたげだな」
フォルクマ―は、数百の軍人や隊員を連れて、イフリート隊の制服を身にまとう。
「自分はおいしいところどりかよ」
ディーターは尻もちをついている。
「ノア、行くぞ」
「ああ」
フォルクマ―は使命に私情を持ち込まない男だ。
「優しい人ですね」
フィネはダレンに手を握りながらそういった。
「僕は」
また、人を救えなかった。
「教えられない」
クロウにアガットはダン、と叩いた。
「何でだよ」
東洋人の少年は細めでアガットを見る。
「機密事項だ」
「お前は困っている人が目の前にいるのに放っておく気かよ」
「規則は規則だ」
アードルフはおろおろしている。
「隊長、」
ラフォールはオルフェウス達と話している。
偉い奴が庶民の命より優先されるのか。
「くそっ」
ダレンとその妹が驚いたようにアガットを見ている。
「ふむ、どうしても罰を受けたいと、ミリアム、君もか」
「はい、しないとみんなに示しがつかないので」
「十代の子はまっすぐだね、よし、ああ、アルフレート、ちょうどいい」
「・・・何か」
「そんな嫌そうな表情しなくていいだろう、オルフェウスはちょうど遠方に行く予定だったよね、オルフェウス隊は君が今管理している、つまりは手足が必要なわけだ」
「いえ、先輩方や上からも応援は来ていますから問題はないと」
「じゃあ、一つ交流イベントでも起こさないかい」
「イベントもなにも少尉はいつもこちらにきてるでしょう」
「うん、だね、だから、隊全体の士気を上げるためにも僕らは仲良くしないといけない」
「隊全体に今問題はないと思いますが」
「では、君の仲間の誕生日や家族構成は知っているのかい」
「・・・うちは、実力主義で結果主義であり仲良しクラブではありません」
「じゃあ、ダレンとミリアムを君に三日間貸そう、好きに使いたまえ」
「候補生を?」
「たまには違う風を受けることも必要だ、だから君と同じ従士のパシリに使いたまえ」
「ええっ、それはちょっと」
「アルフレート君もじぶんの隊長が特殊な趣味で過保護だといわれるのは厭だろう」
「アルフレート様、それはどういう」
「―それはどうでもいいが、少尉、あれが他人を受け入れると思いますか」
「愛され系なんだろう、三日後には二人ともメロメロになっているさ」
「ええと、アルフレート様、おれに貴族というか吸血鬼の世話なんて無理ですよね?」
「・・・・あれが人間らしい人間になれるよう、頑張ってくれ、健闘を祈る」
2
いつまでこんなことを続けるのか。いら立ちがアルフレートを包む。
カイザーもゴットヴァルトも、だが、過去ばかり、他人を責めるのは現実逃避だ。
「・・・・お前の仲間だったのか」
「え、うん」
ワイバァン隊でとらえたパンドラをゴットヴァルトが詰問するらしい。
それが終われば、罪が決まれば、処刑か牢屋入り。
「・・・いいのか」
さすがに、それはやりにくいし、つまりはこいつによってそいつは事実上。
「何」
あどけない、感情が見えない幼い表情。
「お前がそいつを殺すことだろう」
「そうだけど、何か問題でも」
「間違っていることだ、お前は拒むべきじゃ」
「法は守るべきでしょうよ、破れば罰を受ける、それだけだよ」
世界に人間なんて実は重要じゃない。だから王子と生まれたからと、ラッキーだとオズワルドは思ったことはない。けれど、こうして怠惰な時間をしている時も兄達は生きることに必死だ。
「ああ、嘆かわしい」
異母姉の一人が、自分に対してそういった。帝国やライトニング、それ以外の大国から攻め入れられ、自分達は被害者だと思っている。
「何がですか」
「あの雑種のことよ」
すげえな、この姉、半分は同じ血が流れているというのに。けれど無能で外見詐欺といわれる僕は自分の立場が分かるので口に出さない。いや、毎日権力だの貴族だの、華やかな宮廷絵巻(笑)という、上から下まで貴族で名門魔術師だの見せられて、本当の天才だの見せられてどうしてやる気なんて起きよう。あ、ちなみにライバル指定はないですが、パパになぜか気に入られてるのでいじめはないです。
「二千年の歴史のイシュタルの名がどれだけ」
歴史だけは長いが、ありがちだが軍事は完全に下にストップです。改革しようにも上が君主制支持派であり、共和制だが中身は人間もパンドラも皇帝のこという詐欺な国です。
青春とはアデレイドには闘争と欺瞞でしかない。理想や大義が語れるのは、優しい世界で生きられた連中だけ。つねに勝利者であれ。マギア・ウォーの勝者となるために、育てたブレイヴがそういった。アテナの剣に頼らないために天才の魔術師や戦士、軍人を育てる。多くのブレイヴは悲惨な過去をパンドラに誰かを奪われて。ソールのタナトスやウロボロス、銀の十字架がマナを持つ孤児をチャッシュ猫の盾と呼んで、アデレイドは親の顔を知らず育つが、寂しくはない。
「さすが最高傑作だ」
珍しくもない。自分達は帝国に選ばれた存在だ。サタンと組まされ、アデレイドは育つ。実にイヤらしいが、踏みつける存在、帝国内にあいつらを置く理由として兄弟という擬似的なものを作る。パンドラと組まされる、優しい両親を手に入れた子もいた。
「お兄様は悪くありません」
「でも距離とられてるから」
「もしかして、劣等感を感じているのではないでしょうか」
ヴィクトリアがは、という。
「まさか、神経がふとそうなあいつが」
「だって、お小さいころから貧しく生きて、両親もおられなかったのでしょう、それに加えて、優秀なお兄様がたを見てきたわけで、たぶんヴィンセントに強い劣等感を抱いているんですわ」
「あいつがそんなのこだわらないと思うわ」
「あら言い切れますの、パンドラは戦士ですが、矛盾くらいはあると思いますわ」
「ともかく、お兄様が危険じゃないと知らせるべきよね、仲良くするべきだわ」
臆病者、後継者の地位だけの男。ウルリヒはジュラルドの特訓の中、必死についてきた。
「お前は増留守に愛されながら、その本性は子ウサギのようだな」
「すいません・・・」
≪シューティング・スター・エクストリーム≫
ずばばばばとダレンが敵に向かって最大の熱光派の剣を放つ。
「ぎゃああああああ」
セレストの親友はルヴァロア家の落第せいだった。エルヴィーラのドレスのひもを整えながら、メイドのような立場。ユーリヒューマン、昔から不吉を呼ぶと、魔法の才能を見せた途端、魔術師の塔に放り込まれた。
「貴方達、何しているの」
認められたかった、本当は喧嘩も運動も得意じゃないのに強いふりをした。
「はぁ、何だ、お前」
「ひどいもんよ、戦闘員に派あらかじめ魔術的な意識操作の上改造、パンドラは最初から」
「なんてことを」
「いいから行け」
「ライアーさんの意地悪」
崖に落ちていく少女がそういった。
「シエラ、君はだれかに理想を求めすぎる、だれもが君のように強くないんだ」
第二部隊隊長は、作戦を完遂させようとする、成績は優秀なブレイヴの少女にいう。
「努力すればいいだけです」
「…君は意外と熱血だからな」
「俺はイヤだね、こんな負け犬同士で慰め合って、自分で納得して、今の運命を受け入れてご機嫌取りして」
「わぁ、思春期」
「青春・・・」
ばかにしてんのか。
「ともかく俺は、呪い月だからってお前と同じになる気ないから」
「や、俺らもならないけど」
「何、お前総隊長の伝達係なの?」
「ぷーっ、くすくす」
光の騎士団本部にクロウの姿があった。
「よさないか」
「ディヴィドか」
「行こうぜ」
「ヴィネッサ」
「ルーティ、なんかよう」
「今回のことは・・・・」
「なんだ」
「リュンウォン」
ディアナがアレッシオとともにヴァルベルグラオ家に向かう最中、ダリルと話す自分の臣下に話しかける。リュンウォン。帝国には、さまざまな民族、異国民がいる。アレッシオはオナシス家と懇意の家柄だ。
「オスカーのあの野郎・・・」
くすり、とディアナが笑う。
「なんだよ」
「ヴォルフリートの次にその名前が出てくるわね」
「なっ」
アレッシオの顔がいかったような、驚いたような顔になる。
アレッシオ・フォン・ファザ―ン。王宮騎士を兄に持ち、ベルクウェイン家とも演繹関係の伯爵家の三男である。
「・・・・アレッシオ」
驚いたように、アンジュが自分を見ているのが奇妙に思えた。
「行くぞ」
・・・・レッド・レジ―ナ。
弱いものに手をかける悪党が。憎悪と嫌悪の炎が上がる。
「まあ運動不足だし、ミリアムさんだっけ」
「はい」
「夕飯前に、軽く殺し合いしようか」
「え?」
「何変な顔して、さ、行くよ、練兵場」
「…手加減してんの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・えええ」
秩序―タクスィと呼ばれる第七位のクラスを持つロンギン・スパロウは時計塔の下で謎の襲撃者に襲われていた。
得意技ティモリア・キングを発動させる。いばらの蔦を土精霊に操らせ、標的を捕縛した後、まるで魔女を火あぶりするように雷を当てる技である。
「馬鹿な、破れただと?」
青の賢者の魔術師はくっくっと笑う。
「まさか僕が何の準備なしに勝負を挑んだと?そのおごり、罪にあたる」
「お前、青の賢者ではないな、あいつらは鼻持ちならないがこんなだまし打ちのようなまねはしない」
「久しぶりね、ゴットヴァルト」
「・・・・なぜ、貴方がここにおられるんです」
「おい?」
「ここは貴方の居場所ではないはずです」
「おや、また会ったね」
「知らないわ、あなたなんか」
「違うね、アリス、君は見ない振りしているだけさ」
軽薄そうなちゃらい少年は歪んだ笑みを浮かべる。にひひひと。
「・・・・エドワード」
ズガぁァァァン。だぁァァァン。もう一度、異端と認められれば死しかない。
撃つか、自分が処分か、ただそれだけだ。世界が醜く歪む。
ーこれが聖なる乙女の十槍の力。
「いくぞ」
「はい」
時臣はダンジョンの中をヴァイオレットともに走っていく。
「不思議かい?」
迎えにきたヴァガット達にほほ笑む好青年風の若い男。彼はもう二度と魔法騎士として空を飛ぶことはできない。飼いならされて、甘やかされてただ死ぬまで生きることを放棄した。翼を嫉妬により奪われ、おられ、あまつさえ足の自由ばかりか、青年自身の誇りさえ奪う祖国。
「いいや、僕は同じ夢を求めるものに区別などない」
だが、それでも少女にとって他者から与えられたはじめてのぬくもりだった。実験室は地下にあり、彼らは処分寸前だった。ベッドに横たわり呼吸器をつけて、体を刻みつけられて、そして捨てられ、死ぬ。
「気味が悪い」
無論客人の貴族の子供たちは真実を知らない。金髪と黒髪の子はカボチャでもみるように異形の自分達を見下ろす。
アリスだけが慰め、だがそれが何だ。
≪セイント・リジェネレイション≫
白魔法を発動し、イングリッドは漆黒の剣の魔術師たちの前でソウルをマナをあげる。
「行きます」
雨が降っている。ブラウンローズが戦っている。
「―大丈夫、おねえ」
「ああ」
何と傲慢で幼稚でクレイジーな。誰が生き返らせろ、生きたいとお前に頼んだ。
「あの人を悪魔達から助ける」
狂っている、手遅れだ。お前のようなものに。
「あんな場所で死なせるものか」
赤の女王の部屋で笑う頭のおかしい小悪魔。吸血鬼の誰かがいう。
本当に笑っていたのか?
魔女達に切り刻まれた化け物。手がつけられない壊れた殺人兵器。
包帯を巻き、ペルソナを与えて、そのあと別れた。
だが誰も来てくれなかった。皆がいうおかしい狂った失敗作以外。この世の誰が化け物を助けに来るのだ。誰が触れてくれる。誰が諦めないで、踏み込んでくれた。
あの人以外、誰が。
3
「捕まえた何割かは、偽物だろうな」
「そうか・・・」
「お前のところにも調べは来るな、まあ気にするな」
その優しさをアウグストは自分の家族や恋人以外に向けない。彼自体誤解されることは多いが悪人ではない。こう見えてオルフェウスが昇り詰めていくことを心配している。
「君が彼女の兄たちと距離があるのは」
ジェードやウルリヒが来る。
「・・・仲間の女性がパンドラに殺されたそうだ」
耳元でそういうと、去っていく。
「・・・・大事な人を彼らに」
詩人でも哲学でもなく、クルーエルエッグは死を考える。レッド・レジ―ナさえ。魔女に近い、負の存在。ルーティだか、エミリアが五日言った。
天魔落ちや自分は世界を壊すと。周囲を壊し、見方も敵も、やがて自我さえ魔王の遺伝子に飲み込まれる。神様や魔王に近い存在までてをだして、悪魔属を、自分を作って、フォルクマーは、自分を計略に使う男はいう。
神様に罰を下ると。
「俺と行こう」
ルードヴィッヒやあいつはいう。
「いいよ、俺は世界とかどうでもいい」
「本当は、アリ―シャ様、アレクシス様を兄として見ていないのではないですか」
デボラがアリ―シャの腕をつかみながら、つつしみやカニ淑女らしく微笑む。心臓が脈を打った。早鐘のように早く。
「な、なにを」
「華やかな夜会だな」
テレジアが驚いたように、吸血鬼ハンターとなっている、遊び人の自分の顔を見上げる。
「これは失礼を」
「ああ、細かい挨拶はいい、知っているよ」
彼女の隣に座る東武なのか、体が強張る。
「・・・もしかして、男が苦手?」
「そのようなことはありません」
「意外そうですね、ヴィッター、ルードヴィッヒ」
タナトス本部をミヒャエルが。
「これをお前が?」
「僕はキングではありませんよ」
「多分、過去に裏切られたから余計に法とか仲間とか、周りに厳しくなるんだと思うよ」
「わかってんなら、お前、少しは間に入れよ、不良になるぞ」
「うーん、でも、僕はあまり好かれてないから」
「あー、だりー」
ジョルジュは、世界の真理を究めようとする魔術師の塔の教師にふさわしからぬ発言をした。年は21当たり。活気、生命力がありふれているのが普通だがオズボーン伯爵家に呼ばれれば、厄介事だ。
「しゃきとしなさい」
辺境ほど精神が緩いのか、冒険者崩れや帝国軍の中に略奪があふれている。
「ほわああああ」
「お前、飛び込むなよ」
ブレアを泉から助けながら、ダヴィデは言う。それにしてもブレアがダンジョンに行くと思わなかった。
「だって、私が支えないと」
「イヤ、マジの任務じゃないし」
どうにも休日に誰かと、それも人気者の女子二人と過ごすというのは落ち着かない。
「でも負けていられないし」
しかしそれはそれとしてうちは本当に園芸部なのか、いやブレイヴの学園通っておいてなんだけど。
「まあトラップとかアイテムは任せろ」
「うん、ダヴィデ目ざといもんね」
「ああ、こそこそするのは得意だぞ」
サ―ニャは周囲を見回しながら、アリエル学園の裏庭にそーっとした足並みで歩いていく。
「奇遇ですね」
思わず肩を大きく震えさせてしまったのは、彼女の罪ではないだろう。恐る恐る振り向くと、そこにはフォルトゥナ騎士団のエース魔法騎士の上級生がいた。
「そんなに怖がらなくても私は怒っていませんよ、ええ、怒っていませんとも」
「あはは・・・」
魔獣園の中に迷い込んだ。アルフレートの記憶にはもう残っていない。発動したマナ。その中央にアルフレートは座り込んでいた。
「にいさま・・・・」
霧が深い一日だった。
「久しぶりだな、ラフォール」
「ドーレス卿も」
「ここは何も変わらないな」
ウロボロスにドーレス卿は所属している。
「そうか・・・」
「鬼に孤児院を」
ダレンはワイバァン隊の書庫でミリアムとともにその記録を見る。
「荒野で人里からも離れていたらしいよ、それ以来だれも住んでいないとか」
ここでは悲劇に巻き込まれた人が多い。ダノンも家族を奪われている。
「でも、もう、オルフェウス隊に喧嘩売るなよ、ダノン」
「ええ、ああ、・・・でもよ、鬼族は帝国の仲間だろ、何で帝国に喧嘩売る真似を?」
ダノンは鬼族と人間の仲を取り持つ立場の生まれらしい。親はなく、兄弟代わりの孤児や近所の悪ガキとともに生きていたらしい。
「君は顔が悪くて、短気なくせにそういうところは賢いな」
「アードルフ、お前は・・・いや、いいけどよ」
「ナイチンゲール家はクラウド家ほどでないにしろ、ハンターとして色々していますから」
「何で仲良くできないかな」
「ダノン」
「えっ、俺はもうしねえよ、ゴットヴァルトに喧嘩なんか」
「おおお、力が満ちる・・・・」
全て、クロイゼノン、エレメントが凶皇に吸い取られる。
「ご満足ですか」
「よいよい」
「俺は行かねえが、生きろよ」
「がんばれ」
「不安が残るけど、ああ頑張るよ」
「却下」
バタン、ガチャガチャ。
「・・・・」
「・・・・」
「ごめんね、ゴットヴァルトは照れ屋なんだ」
4
グンターは、精霊たちを飛ばし、多くの旅芸人やギルド、町のみんなを守るため、今日もワイバァン隊の制服、銃を手に取る。
「あんたは冷静ね」
「意外かな」
「だって、他人にかかわるの大好きじゃない、ひどうだと言って、すぐに悪党なところに」
行動は、劇場かだが、ルーティは逆にこういうわけがわからない時、アルトゥルより冷静になる時がある。母と弟、荒野で育ち、けれど父親に顧みられることはない。ブレイヴはいかなる時も冷静で物事に冷静でなければならない。逆をいえばエルフリーデやルーティは人間らしいのだろう。
「褒められたいだけだよ」
「?」
なぜ、渋るんだ、オルフェウス中尉」
「味方を無駄に死なせる必要がある、あいつらは大事な情報源だぞ」
「では、7年前の君の友達のような人間を生むだけだが」
「君は私たちの命令を聞けばいい」
畜生たちが・・。
「何、いつも通り、君のかわいい後輩や仲間には一人も被害は出ない」
鎮圧すること、銀の十字架もワイバァン隊も対象はパンドラ。悪い仲間を止める。刃を向ける。
「アードルフ、悪いね、買い物に付き合わせて」
「まあ、うちの隊の女の子は気が強いから」
悪魔属は呪いを振りまく。
「解放しろといわれても」
突然現れ、突然マリエルを拘束しているといわれた。
「・・・ティファは純粋なんだ、だますようなまねはやめてくれ」
「とりあえず、ティファってマリエルのことだよね、僕は別に何もしてないよ」
「ティファはティファだ」
うーん、らちが明かない。
「彼女がノルンの血を持つから利用する気なんだろ」
「え、そんな重要な存在だったんだ」
火に油を注いだようだ。
でも、女神って神話の登場人物じゃ。いや、まあ吸血鬼だけはがちだ・・・まあ、超人類とか幻の大陸とかの子孫もいるのかも。
「でも、マリエル、結構ドジっ子だよ、皿も割るし、エリクサーも壊すし」
「侮辱する気か、彼女は神に選ばれた運命をつかさどる時代の神子なんだぞ」
まあ、アールヴのむらってすごい田舎らしいし、そういう文化が残るのかも。
「男として、なんの罪もないティファを利用する真似して恥ずかしくないのか」
「マリエル、それが嫌だったんじゃない?それと、彼女の方から僕に仕えたいと言ってきたんだよ、僕のいるところがマリエルの天国だって言ってたし、巫女とかアールヴよりメイドの方が好きなんでしょ」
まあ、彼女の名誉のために、騎士になりたい宣言は言わない方がいいだろう。
ネイキッド・ライフ
ズガァァァン。
「次」
「いまいちだな」
「はい」
ズダァァァン。
「みんな、そうだからよ」
「え・・・・」
時臣とシャ―リぃはお互いの顔を見る。
「信じていたいから、見たくないことは見ないの」
革命組織は、絶滅と消え伏せた。正義の市民による通報が原因となった。
どこかで誰かが啼いている。
悲鳴をあげている。
その炎はすべて焼きつくそうとしていた。
この情報にウソはない、と貴族のあの男はいった。帝国の横暴を暴き、国民に自由をと。
「・・・・殺す、殺すぞ、ヴィルフリートォォ」
北条時宗が、瞳を閉じた亜麻色の髪の女性を抱きかかえながら、倉庫でコウモリたちに、中央のヴィルフリートに確かにそう言った。
「自由という名で臣民を殺すテロリストの分際で何を言うか、憎むならなんの力もない自分自身を恨むのだな」
ゴォォォォ。
時宗は、ヴィルフリートの持つ魔法銃、死神の紋章を忘れない。クロの魔女を連れ、暴力を振りまく悪に憎悪のまなざしを向ける。
「貴様にいつか、正義の牙がかかるぞ、覚えておけ」
「だってよ」
くすくすと青い肌の魔女が笑う。
「下らん」
ヴィルフリートはそう言い切った。
「正義など殺すための道具にすぎん」
一つの汚れも軍服を着た少年にはない。たださえさえした目で、血に触れさせた時臣を見るだけだ。
「こいつをどうします?」
「ああ」
うっとおしげにヴィルフリートは見た。
「・・・殺すのか、おれを」
ふん、と鼻で笑う。
「まさか、君は貴重な情報源、ワイバァン隊で手厚く扱うさ」
ぐい、と銃の底で顔を上げる。
「せいぜい、豚みたいにひいひい声をあげてくれよ、東洋人」
ぞっとなった。優雅でそして冷えた笑みだ。
「―ここは任せるぞ、いいな」
「はい」
「後始末をしてくる」
「・・・・・お前・・・・」
ヴィルフリートは死神の集団を連れて、吸血鬼たちを串刺しにして、影から姿を現した。
「風使い、偶然だな」
5
0
アンジュは、幼いころより四つのエレメントを操り、はるかかなたの南国でその生を受けた。家族は魔術とは無関係であり、8歳までは自分はできそこないだと思っていた。
「また付きまとってんのか」
「うフフフ、大好きですもの」
「消えろ、いかれ女」
「私は貴方の事なら何でも知っていましてよ」
「マジかよ、クロ―ディア」
「アーロン、今さらです」
ローザリンデの生家、ラフォールの姿もある。
「ああ、本当についてきた」
コウモリたちの後にダレンの姿がある。
「お前、オルフェウスがいたら従士くびだぞ」
「お前ら、さっさとあるケ」
「本当に作るなよ」
トラウマになる、絶対。
「大丈夫、おとりは用意してある」
「悪魔か」
「言え吸血鬼ですが何か」
「地面から人が生えてきた」
「・・・・助かった」
巨大な神獣、は会心の息子がアーロンの前に現れる。
「これがオルフェウスのやり方か」
時臣は口を開いた。
「・・・・・しゃべるな」
6
教会の扉が開く、その眼光の鋭さにヴォルフリートはぎくりとなる。
「マルスの目の副官、ラードンだな、国王陛下の命令により御身を捕縛しに来た」
剣を抜き、同時にヴィンセントの動きに兵士たちも攻撃態勢となる。
「サラマンダ―の剣神か、相手にして不足がない」
男も魔法陣、実戦用の攻撃魔法を数弾、虚空に放つ。
「武器を捨て、メシアを離せば、生かしてあげるよ、陛下は君の生死にかかわらず連行しろということだから」
「では、差し出された弟はどうなる」
「諦めろ」
クレイン家は、男の望みに叶うことができない。
「戻ってきたのは、役立たずだけか」
―いいな、これは殺人ではない、セラフぃ。
手元には、魔法薬、それも致死量を超えている。命令には逆らえない。本当の依頼人も成功すると思っていない。
「へえ、はやりの」
口元から牙が見える。心臓の音が脈を打つ。
「ええ、ゴットヴァルト様は甘いものが好きだと聞いたので」
「ふん」
巨大な大地の女神の像に押しつぶされた男は裏切りものだった。それは一種の歪んだ芸術品のようにさえ見えた。
「クロ―ディア・・・」
「早く行くのです」
少女は表情を変えない。
「ひぇぇぇぇ」
妖精兵が次々と、アサルトライフルを持つ黒い傘の魔術師見習い、アルヴぁに数十の使い魔をよこしてくる。
東欧で、エルネスト達魔女部隊が起こした大失敗。だが、エルネストの命を救ったのは結局、帰国するのが遅れたことが幸いしたからかもしれない。
悪魔は野に放たれた。
ズダァァァン。
ブッシュノウム家の異界への扉が開く。
「行くぞ、ヴォルフリート」
「・・・ああ」
暗い闇が広がっていた。
だが、ドキドキする。目が追いかけてしまう。あれから気になる。
「アーディアディト!」
アリスのボディガードという形で、 ダンサーの黒髪が腰まで伸びたソフィアと短髪のボーイッシュなローラ、騒がし屋のローザリンデ。アリスの友達は他にもいるが大体、このメンバーで固まっていた。
「わぁっ、ソフィア?」
そうだよ、知り合いにこんなにかわいい女の子がいるのに。
「相変わらず、可愛いわね」
「もう、ソフィアったら」
うりうり、と頬を自分の頬でなでまわす。
「まーた、さぼってる」
「…告げ口しに来たのか」
目が赤くなっている。
「まさか、私も休憩しに来たのよ」
「馬鹿にしに来たんだろう」
ルイ―ザはヴィントの隣に座る。
「ねえ、オルフェウスは参加してくれるわよね?」
彼女の生きが買った様々な階級や主だった人間たち。アテナの剣の重要人物も列の中にいた。
「お前・・・」
にっこりと愛らしくほほ笑んで。
「大好きよ、オルフェウス」
「オーウェン家の、お前がなんで」
「歌が」
丘の上に行くと、金髪の少年がうたっている。アレクシスだ。
周りには子供たち。
「なんだね、君は」
「…あんた、なんでこんなところに」
片目がねの少年は困ったように見る。
アルフレートは駆け付けたバーバラすとともに、こと切れた着飾った夫人に会場で氷づけされた上流階級の客人たちを見た。
「オスカー、これは」
「ウロボロスと魔女部隊の依頼で調査に来たのだが、怪人はいないらしい」
ドロテアは、戦場で身を躍らせながら、怠惰の魔女との戦闘に明け暮れる。傲慢でお嬢様気質。その一方で彼女は帝国の純粋な戦士でもある。
民衆は自分に従うもの。
「・・・・・噂通りか」
「あ、あんたね、早く来なさいよ、パンタシア」
カイは深く深くため息をつき。
「行くぞ」
「もう」
「なっな・・・」
「君、その格好は一体・・・」
潜入捜査です、とスイ―ツを運びながら黒井宇佐耳の宇井とレスの少女はそういった。隣のエルフの少女とセットらしい。
「ヴォルフリートっ」
元カイザーは思わず叫んでいた。
「よし、マリエル、準備いいね」
「お・ま・え・・・」
「エルフリーデを悪党から助ける、君は飛び込んで助ける、シンプルかつ正当な攻略法でしょ」
「それじゃ、マリエル、ステージを開幕するよ、スタート」
勢い良く、エドゥあるとはアルバート、ハルトヴィヒの背中をたたく。
「断られたくらいで落ち込むな」
「大事なものを取り戻すんだろ」
「それじゃ、カイザー、私は行くから」
彼と自分は自信家でプライドが高く、似ていると思う。
答えは目の前にある。魔術師の子ではよくあること。
――シエラがほしいのは弟子?それとも・・・。
――君は冷たいよ。
「・・・・少し、話がある、いいか」
「おい、アルフレート」
「平気だ、喧嘩はするつもりもない」
クレイは太っちょだ。それゆえに油断される。のんびりな口調。だが、碧の帽子の精鋭の魔法騎士でもある。
「誇りなんて食べるのに何の必要があるの?」
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