ruka126053のブログ

ruka126053のブログ

第一話―接触


それは空気もなにもない漆黒の闇だった。
カオス。闇から全てが始まり、同時に世界は終焉を迎える。
妖魔王が誕生したのも、星の終焉からだった。
《コング≫
男とも女ともとれるような声だ。若いのか、年老いているのか。
「はい、妖魔王様」

宇宙に浮かぶ神殿のようなものが二つ見える。
「始まりますね」
「ああ」

凶悪魔との戦いが終わり、戦使として戦った星天使タケルは星騎使タケルとなり、タケルの親友アズールは冥王アズールとなり、聖魔和合界は平和となりました。めでたし、めでたし。


常春のゾーンであるソフィアでは光に満ち溢れ、花が咲き乱れ、天使や悪魔も笑顔で暮しており、新設された天城京のすぐ近くに浮かんでいた。聖魔和合界での観光地の一つとして数えられていた。ウェイクアップガールズの長女ミル、次女フィー、三女ユウは聖魔和合界のスーパーヘッドとして聖魔和合界を納めていた。


それはそれとして、物語は無間冥王獄から始める。
光も少ない、暗闇と静けさが漂うこの世界の外にある、中間の場所に悪魔の女王パルージアが血まみれの子供が入るくらいの布切れを投げつけた。
「・・・・ごめんなさい、許してくださいね」
慈悲深い悪魔、パルージアの瞳から涙がぽろぽろと流れる。彼女のもとに聖守である剛昇プロフェードが訪れる。
「パルージア様、早くこちらへ」
「ええ・・・・」
静かに声を出して、パルージアはその場を去っていった。


ゴォォォ・・・・
バシャァァァァ・・・・・・・・・・ン!!
激しく流れる川の中に布切れは沈み、その姿が見えなくなった。




ザバァァ・・・ン。白い砂浜の上を頭に百合の花をつけた黄金色の長い髪を持つ、黄金色の瞳の少女が挑戦的に挑むように歩く。
ヒュウウン・・。
金属で出来ている黄金の蝶が海のほうから少女に向かって、飛んでくる。
「―-」
一匹の蝶が、少女の手に降り立ち、ある情報を伝える。
「そう、トラインが動いたの」
その時、同じように砂浜に打上げられた旅行カバンのベルトが外され、中から様々な色のコードが生き物のように出てきた。
「アルト」
赤いコードが天使属の少女の体に巻きつく。
「大丈夫よ、お前が心配する事ではないわ。紅の宝石をお食べ、後二日でお前の体が完成するわ」
コードの先がパクパクと動く。
「私がお前を守ってあげる、ホラ、あると、お休み」
頬にキスするように、少女はコードの先にキスをした。

アスランは屈辱の敗北を去っていく不埒な偽善者を忘れない。愛したものたちは全て。
「殺してやる・・・」
柱の陰でアレクホシュアが見ている。
「何百年過ぎようと貴様ら一族を皆殺しにしてやる」
サポーターの少女は怯えたように見る。
                  2
バァァンッ。
カッカッ。
「ルシフェア、今日こそはその首もらうぞ!!」
剣と剣がぶつかり合う。漆黒の衣に骨の仮面をつけた悪魔属の男達が、闇の中に飛んでいる飛行船の上で、背が低い顔に包帯を巻きつけた鋭い目つきの少年と戦闘に明け暮れていた。
ギィィン・・・!!
鋭い刃がはじかれ、ぶつかる音が鳴り響く。男の一人が少年の持っていた鎖鎌を剣ではじいて、手元を奪うと、にやりと笑う。
「しまった!」
「覚悟!!」


「待ちな!」

「何奴!?」
男達がいっせいに空に顔を向ける。まるでオレンジ色に輝き、真っ赤に燃える輝く髪が揺れて、2つの赤い剣を持った最強の戦使、紅月妃アフロディーテが特撮の戦うヒロインのような衣装で惜しげもなく胸元やおへそを戦闘スーツで身を包みながら、オレンジ色の羽のデザインを左右両方つけて、赤い宝石がついた大きな金属製の物体を両手につけて、オレンジ色の夕焼けを思わせる羽を広げて、突如として現れる!
「・・・・!」
ズサァァァ・・ン!!
「そいつは倒すのは私の役目だ!」
力強い手つきで剣先を少年に向ける。
緊張感、殺意、警戒心が少年の鋭い釣りあがった瞳に浮かぶ。それに触発されたように、アフロディーテは挑戦的な笑みを浮かべる。
「なぁ!」
びりリ、と少年の顔に囲まれた包帯と漆黒の衣装をアフロディーテが剥ぎ取る!
「そうだろう?」
ザァァァァ・・・・・。


「スーパーヘッドの3姉妹を守る銀の戦使であり、既にフィーの騎士の側付きである、昴天使スバル!」
ギィィン・・・・!

「―確かにそうだけど、いたいけな子供にいきなり暴力行為は止めて欲しいなぁ」
!!
一度、見たら忘れられない強い意思と穏やかさを漂わせた深い緑色の瞳にアメジストを感じさせる赤紫のオッドアイの瞳の凛としながら優しい顔立ちの少年が赤いバンダナをつけて、輝かんばかりの白金の鎧を身に纏い、アフロディーテの前に現れた。
「最年少の戦使として、随分期待されてるらしいな、昂天使スバル、私と勝負しな!!」
ドォォン!!

強い効果音が鳴り響き、アフロディーテに指を刺して、勝負を申し込まれる。


「無理、今は労働時間じゃないから。足も痛いし、さっきまで運動をずっとしてたし、明日、また予約とって下さい」
ばっさりと切られた。
「何ぃぃ!?」
「今時、熱血もないでしょ、というか、うざいですよ、お姉さん」
蕩けそうな笑顔でスバルは黄金に輝く髪を風で揺らしながら、申し出を断った。
「お前、男だろう、恥ずかしくないのか!」
「うん、ああ、でも、その前に」


カッ
「!!」
スバルは気を解放した。ゴォォ・・・・ン!
スバルの瞳が金色に光り輝く!

ズサァァァァァ・・・・・・・・・・・・ン!!ドン!
「うわああああああああああああああああああああああああああああ」
刺客たちが気のエネルギーに巻き込まれ、地上へと一気に落されていく!!
「ふぅ・・・・、悪くない運動だったな、それじゃあ、お姉さん、俺、帰るから」
「帰るって、どこに!?」
「六手の里」
スバルは子供らしく微笑んだ。



                 3
六手の里で臨時的に教師をしている天助ポーチはイライラの局地にいた。多くの天使や悪魔の子供達は冷静であり、特に問題を起こすわけではない。
「サボり魔のスバルと遅刻魔のタカトはどこなの!?」
「知りません」
「以下同じ」
にっこり微笑んで、生徒たちは教科書に視線を向ける。


たたたっ
小高い丘を越えて、赤い服を着て、擦り切れたズボンをはいて、ボリュームのあるこげ茶の髪を金色の冠で多いながら、サンダルで駆け上がりながら、大きな楠の下でスケッチブックを持って、誰もいない穏やかな陽だまりに包まれた草原の中で筆を滑らせるスバルに駆け寄った。
「スバル、スバル!!」
「何、タカト」
穏やかで優しい口調だ。
「聞けよ、俺、母さんに戦使の試験を受けていいって!!凄いだろ!」
「えぇ!?お前が?」
スバルはものすごく驚いた。
「そうだ、これでお前と同じだ、嬉しいだろ!!」
「・・・まあ」
熱いな、とスバルは若干、恥ずかしがりながら、引いていた。そんな時に、草原の間をタカトの近所の叔母さんが子供をつれて、歩いてきた。鷹とは明るい表情で視線をそちらに向けた。
「あら、タカト君、また武術の修行?」
「お母さん・・・」
「はいはい、大丈夫よ」
「イエッ、友達を呼びに着たんです、これから学校ですから!」
タカトは元気良くはきはきと答えた。
「そうなの、よかったわね」
「はい!」
ちらり、と隣にいるスバルに、タカトに気付かれないようにおばさんが、視線を送る。

・・・ギィィン。
氷のような、いや、激しい憎しみがこもった眼差しが、スバルだけに注がれる。スバルも思わず身震いして、自分の両腕を掴んだ。
「おばさん?」
おばさんはにっこりと微笑んで、
「それじゃ、私行くから」
「はい!」
タカトも手を振りながら、笑顔で見送る。



「・・・・・霊力レベルは最低ですね、剣のレベルはそこそこ、勉強やスポーツは平凡」
年に一度の戦使の試験に参加する為の選考会の為の審査で測定器にタカトはそう判断された。
「やっぱりね・・・」
「うちの里で一番成績危ないモンナ」
クラスメイトは大きくため息をついた。冷たい視線に、タカトは激しくショックを受ける。
ガァァ・・・ン・・・!
テレビの映像では、模試試合の光景が流れていた。


                    4
三か月前―。
「そうなのよね、タケルのところには息子がいないし、娘さんは海外留学中だし」
はぁ、とカンジ―の前でポーチはため息をついた。
「…それにレイの外れ者の件もありますし」
「フィー!!」
カンジ―が怒りの声をあげる。
「冗談よ、あら、ミル、どこに行くの」
「いえ、今日は空がおかしいなって」
フィーは首を傾けた。
「空が?」
姉に言われて、窓辺に向かうと確かに憂鬱な曇り空だ。だがおかしいところはない。
「・・・・」
その様子を、煌天使フシールは同僚のスバルに連絡をとりながら無表情で見ていた。


「何でおれが無人島で戦士なんかの修行しなくちゃいけないんだよ」
タカトは母のジャンヌに連れられて、無理やり砂浜に投げられた。
「俺は船のリになるっていっただろう」
「力馬鹿のお前にはちょうどいいだろう」
ふんと鼻で笑う。
「それも嫌われ者のネクラといっしょに」
タカトは視界の隅のスバルをにらむと、スバルが視線に気づくと、さわやかな笑顔を向けられる。
「うっ」
「それでは師匠役、頼むぞ」
バカラ棟梁が頭を下げる。
「それで早野郎ども、ついてこい」
「うっ、苦手な乗り」
「行くぞ~」


二か月前―。
「スバルを馬鹿にする奴は親友の俺が許せねェ」
「止めなさい、タカト!!」
「喧嘩だ、喧嘩だ」
幼馴染の少女はため息をついた。
「俺が言えた義理じゃないが、お前変わり身早すぎるだろう」
「タカトと修行にいったんでしょう、あの馬鹿に何下の?」
「いや、何も」




                  5

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: