ruka126053のブログ

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第二章―最悪の再会


量産型、汎用型、すべては勇者といわれ、渡島なく、狂気を拡散するがごとく、作り続けている。そうしないと恐怖、おのれの自信の無さを肯定できないように。人は人を攻撃する。他人と愛し合うこと、それは安らぎをもたらす。
けれど人ゆえに、他者をこれ以上ないくらい恐怖する。孤独を悪のようにいう。

ゆえに、帝国の侵略はある意味、無意識の彼らの恐怖、自意識の誇大化といえよう。
「何が正義だ」
「欺瞞者達め」
皮肉なことに、アヴァルツデュア皇帝は誰よりも恐怖している人物かもしれない。

アヴァルツデュアに、敗者はいない。

スクエアー9、首都。
メインストリートは本国に勝ると劣らぬ繁栄と優雅さ、平和に満ちていた。
総督の趣味らしく、美の都と言われたかつての欧州の過去の姿を映した、所々に彫刻や美術品が置かれた大通りに高層建築群。ヴィクトリア時代の街灯を思わせる古い装いの街灯。カフェでは、恋人や親子連れ、老夫婦の姿もある。
首都の中央には、まるで城塞、中世の城を思わせる政庁。アヴァルツデュア帝国の国旗が風で揺れている。
豪華さとぜいたくを平和と間違えた、恒久的な平和を疑いもしない市民たち。
やっぱり、断ればよかった。
少女らしさと女性の色香を同時に併せ持った少女は、母親似のいかにもアヴァルツデュア貴族の出らしいウェーブかかった赤い髪を今日下ろしたばかりの軍服に身をまといながらうっ屈した思いをごまかすようになでまわした。
「どうしたの、ルチア様」
「ああ、エリー」
栗色のボブカット、両家の令嬢らしいゆっくりした笑み。華やかなルチアに対してエリー、いやエリーザ・レイ・ガ二アンは日の当らない静かな花というべきか。
「大したことないの、気にしないで」

アイルランド付近での奇襲作戦の援護についていたCEUの部隊ヴェルトカッシュのシェリーを待っていたのは、エージェントのリューディアだった。扇を広げて、相変わらず、傲慢な笑みを浮かべている。
「アヴァルツデュアの歌姫の慰安コンサートをぶち壊して欲しいのじゃ」
名前は知っている。アヴァルツデュア帝国では、超有名なアヴァルツデュアの妖精、デーヴァと呼ばれる歌姫の名前だ。
「・・・ディアナ・ノンネ」
アヴァルツデュア軍に圧倒的な支持を持つ17歳で、国際的なチャートであっという間にトップまで上り詰めた新鋭の期待の新人だ。スクエアーの平定というナの軍事力の増大を隠すための華。
それが、ディアナ・ノンねだった。
「それは、上層部の・・・、私の直属の上司であるツァイトハインツ将軍の御意志なのですか?」
「CEUの老人から仕事を貰い受けるはわらわぞ。わらわの仕事では不満か?シェリー・オネット。・・・もう一つの名前で呼んだほうがいいか?」
「リューディア姫、いくらなんでもオネット大尉に無礼ですよ」
くくく、とリューディアは笑う。
「硬いぞ、ヴィート。そんなにお前のお姫様を助けたいのか?」
ヴィート・ビーリーの顔に赤みが差す。
「違いますよ、今は仕事中です。自分をからかうのは後にしてください」
そういいながら、照れくさそうにヴィーとは一度、まじめな表情のシェリーを見た後、視線を下にそらした。
「・・・・了解しました。その仕事、お受けいたしましょう」
シェリーがリューディアの前に出る。
「・・・いいのか」
「私はそのために軍にいるのです、全ての国民が安心して、過ごせるように」
リューディアガ扇を閉じて、ため息をつく。
「若いのに、老人のようだな、そなたのその堅さは。いや、兄譲りか」


「助けに来てくれたことは感謝する」
ヴリルはコランダムに乗り込む。
「待て!!」
「だが僕はテロリストを、国民を守る騎士なんだ!!」

「コランダムゥゥ」
「クロノス、お前はだまされているんだ、不死の魔女に!!」



「一度ならず二度までも!!」
命令無視のレジスタンス、コランダムだけでなく新たな勇者の覚醒。
予測不能の事態ばかりだ。



「協力を有難う」
「いえ、これも俺の仕事なので」
「それでは、加賀恭一、下がりなさい」



学園内でルチアがルードヴィッヒに銃口を向ける。
「だから言ったでしょう、なぜ戻ってきたのかって」

「あなた、神城祐じゃないでしょう?」


ウィぃぃン。
「・・・・駄目ですよ、ルチアさん」
次の瞬間、なんともいえぬ感情が、涙がこぼれる。

「おかりなさい、お兄様」

「・・・・シルヴィア」
涙がぼろぼろと零れた。


友情こそ、至高。彼女は偉大なる皇帝、偉大なる帝国の支配を理解できず、すぐ武力行為に陥る低能なものが理解できない。
帝国の空を守るー・・・。
「しつっこい」
何で武器を持つ、それが大事な人を悲しませることと理解しない。
グリップを握りながら、ズガん、ズガン。
貴方達のせいで臣民は恐怖している。迷惑している。不安で安らげない。

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