BONDS~絆~

BONDS~絆~

Last Love

ハート(白)


「年上って面倒だよね」
「え?急にどうした?」
「・・・一応年上だから敬語使うじゃん?で、こっちはあっちに好意持ってるとするでしょ?そうしたら、必然的にタメ口にならない?あたし、なるんだよね・・・はぁ」
織は甲斐のことを言っているに違いない。
「わかっているんだ。タメ口はダメだって・・・でも何だか他人っぽくてさ・・・タメ口だと少しでも近くなれた感じがしない?あたし、するんだよね・・・はぁ」
織は自分の意見を言うとき、『あたしはそうなんだ』と付け加えることが多い。
「哲はさ、年上の人と話していたらタメ口になることはない?」
「ないな。年上は年上って割り切ってる」
「ふーん。大人だね」
織は自分より優れている風なことを、どんなに親しい人にでも言われたくない。
「どうしてタメ口じゃダメなんだ?仲良くなれるならそれでも良いじゃん」
哲が逆に問うた。
「だって・・・」
織は言葉を詰まらせた。哲は、織の答えをアイスを片手に持ち、背をストーブに向けながら待っていた。
「嫌じゃん。どうしてタメ口なの?とか聞かれたら嫌じゃん」
「・・・」
哲は、甲斐はそんなことを言わないと知っていたし、また、織も知っていると思っているから何も言わなかった。それに、また優れた風なことを言って織を刺激したくなかったから、何も言わなかった。
「哲はさ、いいよ」
織の悪い癖が出た。悲劇のヒロインを演じる。本当は織に努力や勇気があと少し足りないだけのことなのに。織もそのことを知っているはずなのに。いや、知っているから尚更無意識に演じてしまうのだろうか。
「よくないよ」
さすがに哲も苛々してきた。
「・・・甲斐に言えば良いじゃないか」
「何て?」
「・・・ん・・・」
織は本番に弱い。緊張すると早口になり、人の話を聞けずに自分ばかり話してしまう。そんな性格だから、何度も始まる前に恋をダメにしてきた。そんな織に甲斐と話してこいよなんて哲にいえる台詞じゃなかった。
「なんて?」
織はまだ聞いてくる。本当は織自身が何を言うべきか、何をするべきかわかっているはずだ。ただ、後少しの勇気を出すことと、緊張して早口になる恐怖を抱えているだけ。
「・・・あいつは、人間が好きだよ」
「そんなのわかってるよ!じゃなきゃ、あたしなんかと話すわけないじゃん」
「・・・じゃあ、いけよ」
半分恋の協力を放棄したのと、織が憤怒するのを覚悟して哲はこう言った。しかし、織は憤怒するどころか、涙を流した。
「えっ・・・」
予想していなかったことだけに、哲はうろたえた。
「いや・・・無理にとは言わないけど、話してみなきゃわからないだろうと思って・・・ごめん」
哲は俯いてしまった。織がそこまで甲斐を好きだと、今迄協力してきたのにわからなかった。ただの憧れ程度にしか見ていなかった。
「ううん・・・哲の言う通りだよ。行く、行って来るよ」
「うん・・・」
織は携帯電話を手にとり、甲斐に電話し始めた。
「・・・・・・あっ・・・甲斐さん?織です。はい。元気ですよ!あの、今時間大丈夫ですか?・・・えっ?いや、電話じゃなくて・・・はい」
まだ話の途中であろう織は、携帯電話を耳につけたままチラッと哲のほうを見た。哲は織のほうを見ていなく、溶けかけていたアイスを食べていた。哲は織の視線に気付いていたが、織を見はしなかった。織も哲のその態度を知り、少し淋しさを感じた。
「あっ、もしもし。はい・・・じゃあ1時に中央広場ですね!わかりました。それじゃ、失礼しま~す・・・」
電話を切り、ふぅっと溜息をつくと、アイスの木ベラを持ちながら哲が言った。
「良かったじゃん」
「うん・・・でも会って何話そう?」
「話す内容無いのに呼び出したの?」
「だって!行けって言ったの哲じゃん!」
「また俺のせいにするの?」
「だって・・・」
「話したいことなくても、会いたかったんですって言えば済むだろ?はぁ・・・」
「何?そのどうでも良い的な言い方!ひどい!」
「ひどい!?ひどいのはどっちだよ・・・。もう知らない。織もう一人で考えろよ!」
哲はそう言い、立ち上がりアイスの空をゴミ箱に投げて、自分の部屋へ戻った。
「何さ・・・協力してくれるって言ったじゃん。哲のわからずやっ」
織は一人呟き、甲斐と何を話すか考えることにした。
織は甲斐が好き。それは織の右隣にいる哲もとっくに知っていることだし、協力するよと言ってくれた。だが、本当は協力したくなかった。織を好きだからじゃない。織は哲から見ると妹的な存在でしかない。ただ、哲は中学・高校時代の甲斐を知っている。
甲斐は女に興味がない。女に深く関わるとろくなことがないとしか思っていないのだ。だから、今まで彼女を作ってこなかった。クラスの女子と話すときでも、一人の人間として話していた。そんな甲斐は誰とでも同じ態度だから、誰とでも仲良く出来た。というか、周りが甲斐と自然に関わりあいたいと思うようになっていた。
甲斐が女に深く関わるとろくなことがないと思っているのは、普段の女子の生活を見てだった。友達の悪口を影で平気で言い合い、男にモテたくて、過度な化粧をしたりしていた女しか周りにはいなかった。哲はそれを知っていた。
だから、織に協力したくなかった。だけど、協力すると言ったのは、織の気持ちがただの憧れでしかないと思ったことと、もし本当に好きだとしたら、織なら甲斐を変えられるかもしれないと思ったからだ。
織は特別綺麗であったり、可愛かったり、またそういった格好をすることは決してなかった。夏はジーパンにTシャツ、冬はジーパンにトレーナーといった非常にラフな格好しかしない。もちろん、香水や化粧なんてものは一切しない。たまに寝癖でマツゲにカールがかかっていることはあるが。唯一女らしい行動は、織の肌はかなりスベスベなところだ。化粧はしないが、肌が荒れると痛みを感じるからという理由で化粧水だけは使っている。そんな女の子だから、もしかしたら、可能性は低いが織なら甲斐を変えられるかもしれないと思ったのだ。自然体でいる織なら・・・。
ただ、気になるのは、織が甲斐のことを好きだと甲斐に知られたとき、甲斐がどういう態度を示すのかということだ。今までは、告白されたあとは、その子と話すことを避けていた。もし、織もそうされたら・・・義妹の織がそうされたらきっと哲は自分を責めるだろう。甲斐の性格を知っていて、織に教えなかったのだから。
30分くらいそんなことを考えていたら、左隣からドアを開閉する音が聞こえた。織が螺旋階段からキッチンにいる義母にお願いしていた。

「母さん、お風呂沸かしてください」
「わかったわ」
「ありがとう」
織は甲斐に会うために風呂に入るらしい。哲はたまらずにドアを開けて、織に話し掛けた。
「織、風呂に入るのか?」
「うん。寝癖取れないし、今日寒いから」
「そうか・・・」
風呂の匂いを甲斐がかぎつけたら、どう思うだろう?織の気持ちに気付いてしまうだろうか。または、ただ『風呂に入ってきた』と理解するだけだろうか。哲は当然、後者を望んだ。
「哲も入るの?」
「いや、俺は朝入ったから」
「そう、早起きしたんだ」
「まぁ、織よりは早かったな」
「何着て行こうかな。あんまり普段より変化させたら気持ち悪いよね」
哲は強く頷いた。
「そんなに強く頷かないでよ。傷つくじゃん」
「悪い、悪い。いつも通りが良いと思うよ」
「うん」
今は冬。ジーパンにトレーナーを期待した。哲が部屋に戻り、しばらくすると、階段下から母親が言った。
「織ちゃん、お風呂沸いたわよ」
「はーい!・・・どうして娘に『ちゃん』つけるんだろう?」
織は独り言を呟きながら階段を降りていった。それから1時間後、12時頃に織が哲の部屋に行った。
「変じゃない?」
哲の期待は外れた。
「普通だよ」
「ホント?良かった。じゃあ行ってくるね」
「おう」
織がドアを閉めた後、哲は落胆の溜息をついた。
「・・・言えば良かった・・・」

12:30 広場には多くの人がいた。犬にも服を着せて散歩をしている人。音楽を聴きながらベンチに座り、足でリズムをとって本を読んでいる人。噴水のところで、雑談しているおばさんたち。杖を使って歩いているおじいさん。可愛い服を着た金髪の少女達。営業で一休みしているサラリーマン。あ、今仕事場からか、営業先からか電話がきた様子。携帯を耳にして、ベンチから立ち上がり誰もいないのにペコペコ礼をしている。
「あぁいうのが日本をダメにするんだよなぁ」
織は怒りをこめて呟いた。そして、自分もベンチに座った。甲斐さんが自分を好いてくれている訳がない。というか、彼女がいないというのも人と上手に付き合っていくための嘘だろうと織は思っていた。
織は甲斐に自分の気持ちを伝える気はさらさらなかった。言ってダメになるくらいなら、言わないで今のままの関係を続けていたいと思ったからだ。そう思うと、なぜ自分は今、甲斐に会うのだろう、会って何を話すのだろうと思った。会って話をすることは、織にとって恋を進展させることだと思っていた。それに、哲の言った『あいたかったから』会うのは、何だか甲斐に申し訳ない気がしていた。
よく考えてから行動するべきだったと織は後悔した。
哲は織があんな女らしい格好をしたのを見たのは初めてだった。驚愕でしばらく口が開いたままだった。その後、哲は織の部屋に無断で入った。部屋はいつも・・・といっても以前入ったのはだいぶ前だが、いつもはそこらに服や鼻をかんだゴミや漫画・雑誌が放り出されているのに今日は床に何もない。それどころか、机の上も綺麗に整頓されていた。

「何だこれ」
哲は落胆した。これじゃあ、そこらの女と変わらない。
「変わってしまったのか」
哲はそう呟いたあと、恋は女を変えるという言葉を思い出し、嫌な予感がした。織は確実に振られてしまうと。
ふと、机の横を見ると化粧道具一式置いてあった。
もうだめだ・・・哲はそう思った。

12:50 広場に人は殆どいなくなり、静かになった。雪が降り始めたからだ。息を吐くと白い。手袋をしてこなかったから霜焼になりそうだ。足はセミロングのくしゅくしゅブーツを履いていたから、まだ大丈夫だった。しかし、寒い。
織は甲斐の会社の方角を向き、早く来てと強く念じた。

13:05 甲斐はまだ来ない。甲斐が遅刻する人であることを、織はこの時新たに発見した。
13:20 寒い。
13:30 早く。
13:40 こんなにルーズな人なの?
13:50 やっぱ、あたしのこと嫌いなんだ・・・?
14:00 帰ろう。どうせ話すこともないんだ。ずずっと鼻水をすすり、頭に積もった雪をほろい、帰ろうとした。

「織!」
後ろから叫ばれた。振り向くと、口元が真っ白な息でいっぱいの甲斐がいた。織の怒りや哀しみはどこかへいった。
「甲斐さ・・・・」
震える唇でかろうじて名前を呼んだ。
「済まない。会議が急に入ってしまって・・・あぁ・・・唇が真っ青だ。どこかに入ろう。本当に済まない」
織は微笑するのがやっとだった。顔の筋肉が総て凍りついてしまったような感覚になり、頬の筋肉を上げられないのだ。甲斐も微笑した。織は甲斐のその笑顔だけでも幸せになれた。来てくれただけでも幸せに思えた。話すことなんてないのだけれど、織は会えたことが嬉しかった。電話やメールをしても甲斐という人物が実在していたか、わからなかった。自分が甲斐さんだと思っている人は、妄想の人なんだとしばしば思っていた。その思いを完全に消せた。織はそれだけで幸せだった。
喫茶店に入ると、織は冷凍庫の中からストーブが焚いてある常温に出されたように、体が解凍されていくようだった。ウェイトレスに席へ案内され、暖かいタオルを手にした瞬間ふっと眠気が織の目の前を横切った。

「あっ・・・」
眠気に襲われた織は声を漏らした。
「織?」
甲斐の低い声に織はさっと我に返り、眠気も去っていった。
「あっ、すみません。暖かくてつい・・・」
「なんもいいよ。むしろ、俺が悪いからさ。で、今日はどうしたの?」
「・・・」
織は困った。
「ごめんなさい・・・」
「えっ?何が?」
「会いたかっただけなんです・・・」
「あ、そうなんだ?」
「ごめんなさい!忙しいのに・・・」
「良いよ、気にしないで。そういえば、哲は元気?」
「はい!もぅ、元気すぎですよ。毎日喧嘩が絶えません」
「喧嘩するんだ?どんな喧嘩するの?」
喧嘩の内容はいつも、織が甲斐のことで悩み、哲に助けを求め言い合いになることである。そんなこと甲斐には死んでも織の口から吐き出せなかった。
「食べ物の取り合いですねっ」
「あはは!アイツ、がっついてるもんな」
織は甲斐とこんなに普通に話が出来て、とても幸せだった。しかし、甲斐が忙しいということを織は思い出した。
「はい!甲斐さん、仕事何時に戻るんですか?」
「決めてないよ」
「そうなんですか?でも、仕事があるんじゃ・・・それにあたし・・・」
「良いの、良いの。話すことなんか無くても。織といると落ち着くしね」
織の鼓動が速くなった。
「きっと哲もそうだと思う」
織は何故そこで哲が出てくるのか分からなかった。
「そうでしょうか?」
「うん。妹みたいで・・・まぁ哲と織は義理であれ兄妹だもんな」
「はぁ・・・」
妹・・・か。その後30分くらいしてから、甲斐の携帯電話が鳴った。
「・・・会社からだ。ちょっとゴメン」
席を立ち、トイレの方へ向かった。
真っ白な雪が真っ直ぐに降り落ちている。恋人たちが傘をさし、腕を組み合い、笑い合っている。恋人同士にしか出来ない笑顔で。

「悪い!会社に戻らなきゃならなくなった。部下が問題起こしちまってすぐ戻らなきゃ・・・本当に済まない。今度埋め合わせするよ。あ、ココ気に入った?」
織は、甲斐の顔を見ずに頷いた。
「そんな顔するなよ、じゃあ金払っておくから好きなだけここにいて良いから、な?」
織はさっきと同じように頷いた。甲斐は織の頭をポンと叩き、行ってしまった。
織は叩かれた頭を撫でながら呟いた。

「妹・・・・か」
この場所が気に入ったのは甲斐がいたから。甲斐がいなかったら何も気に入らない。何も綺麗に見えない。感情を持たない。織の胸中はそんなことで一杯だった。甲斐が行ってしまって少ししてから、織も席を立ち、帰宅した。
家に着くと、哲は出掛けていて、居なかった。

「母さん、あたし今日夕食いらないから」
「誰かと食べにいくの?」
「行く相手なんか居ないよ」
織はそう呟きながら階段を静かに登っていった。
「え?今なんて言ったの?」
義母には織の言葉は聞こえなかった。織は、義母の話している言葉なんて耳に出切る状態ではなかった。フラれるより悪いよ。妹なんて・・・。織はそればかり考えていた。
その日の夜、哲は帰宅しなかった。翌朝早くに玄関のドアが開く音がした。哲が帰宅した。その音で目覚めた織はベッドの中で哲が自分の部屋に入るのを確認していた。きっと彼女のところに行っていたのだろうと予測した。怒り、空しさ、淋しさから織は眠れなくなった。起き上がり、とりあえずトイレに行くことにした。
部屋を出ると、哲と甲斐が廊下にいた。哲の部屋に出入りはしたものの、ドアが開けっ放しだった。哲も甲斐も驚いた様子だった。

「悪い、起こした?」
哲が申し訳なさそうに小声で言った。
「ううん、トイレに行くの」
「そっか。お休み」
そう言い、哲は部屋のドアを閉めた。
もし、甲斐がいなくて、哲だけだったら素直に言えた。甲斐に言われたことをその場で言って、泣き崩れることが出来た。しかし、甲斐がいたことで、織の涙腺は締まった。
織は予告通りトイレに行き、自分の部屋に戻り、再びベッドで横になり、眠ろうとした。しかし、眠れなかった。早く哲に昨日のことを話したかったからだ。いつもは甲斐に会いたがる織だが、今は会いたくなかった。昨日の今日で織の心の中はズタボロなのだ。再び、隣の部屋のドアが開く音がした。きっと甲斐が帰ったのだろう。
しかし、織には一抹の不安があった。もしかしたら、哲がトイレに向かっただけかもしれないと。結局織はベッドから起き上がることなく、目を瞑ったままでいた。気が付き、時計を見ると午後1時だった。隣の部屋で物音はしなかった。織は起き上がり、階段を降りた。ダイニングのソファーには哲が寝そべってTVを見ていた。

「あ、起きた」
哲は母親に言った。義母は織に話し掛けた。
「おはよう、ご飯食べるでしょう?」
「うん」
「良かった・・・」
『良かった』といった義母の気持ちが織にはわからなかった。織は首をかしげながら洗面所へ向かった。洗面所のドアを閉めると、すぐにドアが開けられた。織は驚いた。
「何?」
「昨日、お袋と何かあったのか?」
「何も?」
昨日は階段でしか話していない。何があったかなんて、何も無かったのに答えられる会話は無かった。
「じゃあどうして、お袋あんなに織に気を遣っているんだ」
「そんなの、あたしが聞きたいよ」
織は歯磨きをする準備をしながら言った。
「じゃあ本当に何もないんだな?」
「うん・・・」
「わかった」
哲はそう言い、洗面所を出て行った。寝起きのせいもあったが、織は不機嫌になった。
「・・・義妹よりは母親だよね」
昨日、甲斐とのことを何も聞かない哲に対し、織は恨めしく思った。洗面所を使い終わり、キッチンへ向かった。
「母さん、昨日あたしムシャクシャしてたんだ。もし傷つけるようなこと言っていたらゴメンネ」
「ううん、良いのよ。さっ食べて」
「頂きます。あ、哲」
ソファーでごろついている哲に話し掛けた。
「んあ?」
「甲斐さん帰ったの?」
「うん。4時くらいに・・・ふぁ」
「ふーん」
「・・・部屋でもっかい寝るわ。あー織。あとで俺の部屋こいよ」
「わかった」
そう言い、哲はソファーから起き上がり、ダイニングを出て行き静かに階段を登っていった。
「母さん、父さんは?」
「接待ゴルフですって」
「ふーん。日曜なのに大変だね」
「そうね」
「母さん、今日は何する予定?」
「うーん、掃除全般かな。織は?」
「来週から期末テストだから、勉強しようかなって思ってるよ」
「じゃあ、自分たちの部屋は自分でやってね。哲にも言っておいて?」
「うん、わかった。ごちそうさま」
食器を片付け、階段を登り、部屋へ向かった。期末テストなんて嘘。

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