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BONDS~絆~
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「エリ、私ね好きな人が出来たの」
日差しが強くなりかけた、春と夏の間の季節に、半そでで箸を持ったままチカは言った。私はというと、弁当の米粒を箸で摘み口へと運ぶのに夢中になっていた。それを遮られた。遮られたことはどうでも良いのだけど、暑さでチカがおかしくなったかと思った。思わず私は箸を落とした。
誰に告白されてもふってきたチカから男に興味を持ったなんて元同じ中学の子達が昼食時に聞いたら今の私と同じ反応をするに違いない。
「・・・本当?」
「うん。エリにだけ言ってるんだから・・・元同中の子には言わないでね」
「勿論だよ。で、誰なの?」
「うん・・・あのね、タツ」
タツというのは、私たちが通っていた学校の教師だ。
「タツ!?」
チカはコクンと卵焼きを挟んだ箸を口に入れ頷いた。
確かに、タツは中学時代生徒に凄くモテていた。1年生でもタツのことを好きな人は大勢いたが、大抵は3年生がタツを独占していた。皆がタツに話し掛ける時の言葉は同じだった。名前の呼び方も一緒だった。
「ねぇタツ」とか「タっちゃん」とか様々だ。人気のある人が好きじゃないとチカは前言ってたような気がしたけど・・・。
「いつから?」
「気付いたのは最近なの。でも、中1の頃からタツのことは良い先生だなーって思ってたよ」
いつもいつも教室で本を読んで、タツが教室にいる時なんて見向きもしていなかったように見えていたチカが中1の頃からタツが気になっていたと話した。
勝手な憶測を言うと、チカは照れ隠しで本を読んでいたのかな。誰かがタツと話しているのを同じページを開いたまま聞いていたのかな・・・ふと、そう思った。私が何かコメントを返す前にチカが話し始めた。
「私、タツのメアドを卒業式の前日に聞いたの。皆聞くのって大抵卒業式だろうなって予測ついてたから、その前に聞いちゃおうと思ってね。拒まれると思ってたけど、案外すぐに教えてくれたの。嬉しかったなぁ・・・。皆より先に独占できたっていう感じがしてね。嬉しかったの」
「嬉しかったなぁ・・・」と言ったチカの顔は恋してる顔だった。いつもはあまり自分のことを自分から話したりしないチカが、長年付き合ってきた私に話してくれている。人の話を聞くのが大好きな私はいつもチカの本音を聞いていいのかわからないでいたから、今回チカから話してくれたのは凄く嬉しかった。メアドを聞いたと言っていたから、今もメールはしてるのかを聞いた。
「たまにね。思い出した時だけよ。半年に1,2回くらいしかしてなかったわ。でも、この前私市内大会あったじゃない。その時ね、中学生もその試合に出られるようになっていて、タツが顧問になっていたの。サッカー部の顧問だったのに。タツを見かけた途端、体が勝手に動いてね。中学の頃はちゃんと止めていたのよ。どうして今の方が子供なのかしら?あ、そうそう。それでね、タツが後姿で私思わず抱きついちゃったの。無心だったわ。タツって叫んでた。今思えば、同じ中学だった子が部内にいなくて良かったってことね」
タツとの再会を回想しているチカの表情は興奮しているのか、少し赤らめていた。そんなチカを見るのは付き合ってきて4年経った今、初めて見る表情だった。新たな発見で、私はさらにチカが好きになった。
「タツね、卒業式で泣きそうだったって言ってた。あ、その時ね、友達途中で帰っちゃって、私顧問の車で帰宅する予定だったから顧問がくるまでタツの側にいたの。中学の頃皆がしていたように『ねぇ、タツ』って何度も話し掛けていたわ。中学の時にしたかったけど、そんなことしたって皆と一緒っていう風に見られて終りじゃない?それを中学の時はわかっていたの。だけど、あの市内大会の時は理性も何も無かったわ。無心で興奮して・・・タツにベッタリだった。恥ずかしいな」
「恥ずかしいな」と俯きながら言ったチカの表情は今、このクラスにいる男子が見ていたら誰もが惚れていたと思う。元元チカはモテル方なのだけれど。私ですら胸をときめかせたほどだ。タツだっていちころだと思った。
「タツね・・・彼女いないんだって」
なぜ暗い顔でそう言うのかわからなかった。普通、好きな人に彼女がいなかったら喜ぶべきなんじゃないの?
「タツね・・・良い先生だとは思う。好きよ、好き。だけど、私タツに好きだとはいえないじゃない・・・。言ったとしても、流されるとかされて真面目に受け止められても断られるのわかってるもの。先生だしって理由もつけられそうだし・・・今の関係が壊れるの怖いもの・・・今が1番楽しいのに。でも進展もしたいの!」
「進展したい」好きな人がいれば誰でもそう思うんじゃないかな。時が経つにつれて好きな気持ちは膨らんでいくばかりだ。チカは4年タツが好きなんだ。「好きよ、好き」そこら辺からチカの声は涙声だった。
『先生』と『元生徒』この壁が厚いのはよく解る。チカはそれを4年、いや卒業してからの1年経った今も思ってきたのか。
どうして私に話してくれなかったのかというイジラシサと、そんなにも長い間壁を見上げながら何度俯いたのかわからないチカの心を尊敬する気持ちが私の心の中に出来た。
「好きって言いたくても言えないの。怖い・・・もう少しでお祭があるって言っても、タツは見回りでしょう?一緒に歩くなんて不可能だし、タツが嫌がると思うの・・・。見回りだからゴメンって。ゴメンなんて言葉欲しいわけじゃないのに・・・・なんで?なんで?なんで私はこんなにダメな女なの?」
もう涙声なんてモンじゃなかった。お弁当を食べている状況でなんかいられなくなった。泣き出したチカを廊下へ連れ出し、人目のつかないところへ連れて行った。此処なら泣いても大丈夫。滅多に人は通らない影となっている場所だから。
「有難う・・・ゴメンね」
「私もゴメンって言葉欲しかったわけじゃないよ」
「そっか、有難う」
「ううん・・・」
しばらくの間チカのすすり泣く声だけが響いていた。
今まで我慢していたのがわかるほど、長い間チカは泣いていた。
チカ、お疲れ様。とりあえず今は休憩しよう。心にも休みを与えてあげないと、いつしか自分が何をしたいのか、誰を好きなのか、何で・・・?色々なこと考えちゃうから・・・今は休もう。
タツに対する気持ちはいつでも整理出来るよ、ね?
涙を零すチカを横に私はそう思っていた。
「私・・・タツが好きよ、それは変えられない」
うん。
「でもタツに想いは告げられない」
うん・・・。
「・・・タツに会いたい・・・」
「・・・チカ、中学校いこう、今日の放課後」
「え・・・でも・・・嫌・・・」
「会いたいんでしょ?それがチカの本音ならいつまで経ってもこのままだよ?いいの?」
「会いにいったって・・・何も変わらないよ、きっと」
「確信が無いなら行こうよ。タツと話しようよ、私がいるよ」
私がいるよ、は要らなかった。別に私がいてもいなくても決断するのはチカだ。私がいようがいまいが関係ない。偽善じゃないけど、自分を守った言葉だ。チカに必要とされていたい、そんな願いが口から零れた。後悔した。そんなこと言いたかったわけじゃない。語尾につけるなんて、強調してるみたいで嫌だな。・・・チカなんていうだろう。
「・・・有難う。会いたい・・・うん、行く」
やっぱり『有難う』か。チカのその優しさはたまに私を傷つける。私が悪いのに、チカは有難うとかゴメンとかいう。いたたまれない気持ちになって凄く嫌だ。チカは悪くないのに・・・なんでこんな嫌な気持ちになるんだろう。
放課後、私たちは歩いて中学校まで行った。チカの気持ちを落ち着かせるためだ。
歩いている間口数は少なかった。緊張してるから当り前か。そう思うと、何だかチカがいつもより可愛く感じた。
「緊張してお腹痛い・・・」
可愛い~~~。抱き締めたいっ。
「リラックスして、いつも通りにしてれば大丈夫だよ」
「いつも私こうよ。誰かと話すときは絶対に緊張するの。唯一エリだけには、そんなに緊張しないで話せるのよ。あぁ、でもタツの話をしたときは胃が口から出てきそうなほど緊張したけどね」
そう言い私と目を合わせて微笑するチカには絶対タツと上手くいって欲しいと心から願った。
「チカは、大学地方に出るんでしょ?」
「うん。でも、きっとタツのことはずっと好きだと思う。高校入ってもこれだけすきなんだもの」
高校は地元だから中学に行けばいつでもタツに会うことが出来るけど、大学で地方に行ったらあえなくなるよ。そう思ったけど今が大切だと思ったから何も言わずに頷いておいた。
中学へ繋がっている坂の途中、懐かしいジャージや、制服に身を包ませる中学生を見て昔の自分たちを投影した。
ふと、可愛らしい中学生を見て、彼、彼女らは好きな時にタツに会い、好きな時にタツと話せるんだと思った。私だけだろうか?ふとチカの方を見た。チカは緊張した面持ちで俯いていた。
職員玄関から入り、靴を揃え、白い字で学校名が書かれたスリッパをはき、ペタペタと職員室へ繋がる階段を上っていった。階段の途中でチカは何度か立ち止まった。私は何も言わずにチカと一緒に立ち止まった。30秒あれば余裕で上がれる階段を私たちは5分かけて上った。
職員室のドアは曇ガラスで中にいる教師達は影があるとしか思わないし、しばらくの間それが動かなければ誰も気にとめないだろう。今の私たちはそんな感じだった。まるで、世界の時間が止まったようにしばらくの間そのままでいた。
すると、チカがドアに人差し指をかけた。あけるのか?いや、まだだ。順番に指をかけていっている。そして、ついに・・・音を立ててドアが開いた。チカが開けたわけじゃない。中の人が開けたのだ。真っ直ぐの視線しか入らなかった私はその人のお腹の部分の服装のみを目に入れた。黒生地のジャージで真ん中にはシルバーのチャック、チャックに対照に左右には赤と白の線が斜めにチャックに向かって入っていた。その時、チカが声を上げた。
「タツ!!」
チカの声は涙声でも感情がないわけでもなく、叫んでいた。驚き・・・という感じだろうか。確かにそこにいたのはタツだった。それ以上チカは抱きつくことも、声をかけることもしなかったので、私がタツと話すことにした。
「タツ、久しぶり!」
「おぉ~!久しぶり~元気?」
あータツだ。大好きなタツ。私たちのタツ。チカの大好きなタツ・・・。
「元気だよ!タツそのジャージずーっと着てるね」
「うるせぃよ!これは気に入ってるんだ」
「そうなんだ!」
私はタツと話しつつ、チカが隣で泣いていないことを祈った。その祈りは通じた。
「タ、タツ」
祈りが通じたのは最初だけらしい。泣き出した。
「どうした??まぁ、中に入れよ。んーと、そうだな、相談室行こうか」
タツの優しさが身に染みる。優しすぎる・・・。タツを好きな女は大抵コレにやられる。チカもおそらくそうだろう。
「んで?どうしたんだ?今日は相談に来たのか?」
「そういうわけじゃないんだよ、ただタツに会いに来たの」
私は語尾にハートをつけたように言った。タツはやめてくれよ~と笑顔で拒んだ。こういう先生が私たちの通う高校にいればいいのに。
「あ、ね、サエちゃんまだいる?」
「うん、いるよ。今会議中だわ」
「そっかぁ。私サエちゃんに用事あるからアッチにいるね。ね、タツ。チカの話聞いてあげてね」
「おう?おう。」
その後、チカとタツが話したか私は知らない。ただサエちゃんと他愛のない話をし、色んな先生の所へ歩き回り、しまいには新しく来た先生にまで話し掛けた。それほど長い間、チカとタツは話し合っていたんだ。話していたのかは知らないけど、長時間一緒にいたら話さないわけないじゃん。
しばらくすると、チカとタツが出てきた。相談室の近くに私はいたからチカが出てきたのがすぐにわかった。笑顔だった。すぐにでも笑顔の理由を聞きたかったけど、やめておいた。タツという本人がいるからだ。私はそう思って聞かなかったのだが、チカが私にそっと耳打ちしてきた。
「お祭一緒に行くの」
マジですかー!?良かったジャン!!!!本当に良かった!タツいい奴じゃん♪物分りがいい先生って好きよ。タツ。
「タツ、アリガト」
「ん?・・・うん。まあな」
タツはそのまま喫煙室へと消えた。
帰り道にチカがタツと話したことを教えてくれた。
最初は二人とも無言だったらしい、タツはチカが話すまで待っていたらしい。
チカが最初に発した言葉でタツは全てを理解したらしい。
「何度も聞いてるけど・・・しつこくてゴメンね。彼女いるの?」
とチカが聞いた。タツは首を横に振り、本当だよと言った。チカはタツが自分をどう思っているかを聞いた。(凄い勇気だ)タツは可愛い生徒だったよと言ったらしい。チカはそうとだけ頷いてまた沈黙になったらしい。可愛い生徒・・・そういわれたチカの心はさぞ傷ついたんじゃないかな。好きな人に可愛いとは言われ、生徒という壁を取り払えて貰えていない。当り前といえば当り前のことなんだけど、やっぱり淋しい。チカは涙涙でタツに訴えた。もう自分を好きになってくれないことはわかっているけど、燃焼不良じゃすきりしないと判断して想いを全て告げたという。
「私、タツのこと好き、凄く好き。タツが私のこと好きになってくれなくても良いよ、仕方ないもの・・・。でも私の想いは聞いて?タツは言われ慣れてて飽きる言葉かもしれないけど、私ははじめてだから。私ね、中学の頃正直最初はタツのこと好きじゃなかったの。タツがっていうより、人気のある人が好きじゃなかったの。そういう人って私が1番なんだって思い込む人多いじゃない?だから・・・だけどね、ずっとタツを見てるとこの人は違うんだって。私たちを同等に扱ってくれてて、友達のような距離でいてくれて・・・段々惹かれたの。卒業する頃にはもう『気になる』から『好き』になっていてね・・・ゴメンね。皆から独占したくて前日にメアド聞いたの・・・。ゴメンなさい。ゴメンね・・・。ずっと好きなの。今も、昔も・・・タツ、タツ・・・」
タツは時々頷いて、黙って聞いていてくれたらしい。チカが泣き始めたら側にあったティッシュを出してくれて、チカがタツの顔を見ると微笑んでくれたとチカは言った。チカは一生懸命タツに抱きつきたい気持ちを抑えたと言う。そうして、話し終わった後、タツが言葉をくれたらしい。
「有難う。柏木の気持ち嬉しいよ。柏木は授業中も集中してたし、良い生徒だった。俺はそんな柏木を密かに尊敬していたんだよ。だから柏木が俺に好きだよって言ってくれて嬉しかった。だから、有難う」
チカは涙と笑顔でタツに有難うと言い、お祭に一緒に行ってくれないかとお願いをしたらしい。すると、タツは快くOKしてくれたそうだ。良かったね。想いが通じて・・・。
チカはまた可愛くなった。
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