BONDS~絆~

BONDS~絆~

夏の恋

青春


ヒサシは高校に入ってから初めての彼氏。まだ手も繋いだことないんだ。
友達は皆、中学でキス終ってるのに、私だけ遅れてる。愛の形は人それぞれだから気にしてはいない。
「マヒル、今日ウチに来ないか?」
ヒサシは格好良い。だけど、奥手なんだよね・・・。
そんなヒサシが今、私を自宅へと誘った!ってことは!?
私は快くOKして、帰り道普段から私からなんてしない行動をした。
ヒサシの腕に自分の腕を絡ませたのだ。ヒサシは無言だった。
着いたと言ったヒサシの家は瓦屋根の日本家屋だった。
「今日は珍しく、誰もいないんだ」
そんなこというなんて、期待しちゃうよ!?キスすらまだなのに、いきなり?
早速ヒサシの部屋に案内された。ドアは障子で、物置も襖で、床はやはり畳だった。
「古臭いだろ」
「そんなことないよ!こういうの好き」
「そっか?ならよかった、俺もこの部屋好きなんだ」
わかるよ、常に綺麗にしている風がそれを物語っているもの。
緊張してか、お互い言葉を発することなく、風鈴の音とセミの鳴き声だけが聞こえるだけだった。その静寂を破るように、彼は溜息をついた。
「マヒル、別れてくれないか」
「え?」
唐突な告白をされた。
「俺、いつまで経ってもマヒルに手出してなくて、まぁ、ようするに奥手でつまらないだろう?マヒルにはもっと良い奴いると思うんだ」
開いた口が塞がらなかった。
「・・・私があなたに満足していない、そう思うの?」
彼は首を縦に振った。確かに私はヒサシに対していささかの不満はあったかもしれないけれど、それは恋人の間ではよくあることだろうし、今日自宅に招いてくれたことで全部吹き飛んだのに、普通初めて彼女を家に入れて別れ話する!?
私も思わず溜息をついた。
「そうなんだろう?」
念を押すように彼はグイを首を前に突き出してきた。その様子はかえって別れて欲しい別の理由があるのではないかと思わせた。
「・・・ヒサシ、好きな子できたのならそっちに行っても良いんだよ。そっちに行きたいならそう言って良いんだよ」
そう言い終えてちゃぶ台の上でまわりに水滴をつけている麦茶を口に含んだ。
目の前にいる彼は動揺している様子は無かった。私の目をじっと見ている。思わずそらしてしまいたくなるほど見つめてくる。彼が口を開いた。
「本当にそう思っているの?」
麦茶の入ったコップを口につけたまま、彼の目を見て目を伏せ、YESと返事をした。
「・・・そういうことじゃないんだ。年下ってさ、周りから見ても頼りなく見えるだろ?だから、もしマヒルがそういう目で見られるのが嫌だと思って・・・」
彼は俯いて彼の麦茶を見つめいてた。
そっか。彼は今迄私に気を遣って来たんだ。年上の私に年下の自分は不釣合いなのではないかと周りや私の気持ちが引っ掛かっていたんだね。
そう確信すると、ふっと笑いがこみ上げてきた。
「バカだなあ。私が周りを気にして年下と付き合うように見える?ヒサシだから付き合ってるんだよ。ヒサシが好きなんだよ」
自然といつもより優しい口調で話している自分がいた。ヒサシは満円の笑みでよかったと言った。可愛い奴め。

改めまして、今日が私たちの記念日だね。

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