BONDS~絆~

BONDS~絆~

11章

ハート(白)


妙と鈴ば佐々君のバイトしている喫茶店に行って、まだ30分しか経っていない。
まだ喫茶店にすら着いていないのかもしれないのに、私は不安と期待で胸が詰まりそうだった。妙から後に何を教えて貰えるのか、あるいは何を聞かされるのか、そんな緊張感が私の体にまとわりついて離れなかった。
帰宅して私は茶の間でTVを見ることにした。茶の間なら玄関や電話も近い。
いつ妙が来ても出迎えられる。妙が来るかどうかは解らないけれど、そうしていたかったのだ。
TVの前にある大きなソファに座りながら、私は何分まともにスクリーンを見ていただろうか。後ろの玄関に通じるドアへ飛び出す準備はいつでも出来ていた。妙は何を聞いてきたのだろうか。良いことかな。悪いことかな。めっちゃ緊張する。
そうして、どのくらい経ったのか私は目を開けた。
いつの間にか眠っていたらしい。いつもの癖で携帯の小さな画面で時間を確かめる。メール着信の文字と、受信した時刻が表示されていた。
【メール受信完了 18:08】現在時刻20時。寝たねた。
画面を開き、メールの相手を見てみると妙だった。妙だとわかった瞬間一気に緊張が過ぎった。心臓の音が聞こえる。文章は意外と短かった。
【だいぶ待ったかな?予定通り佐々君がバイトしていて、鈴は彼女のことボロクソ言っていたよ(^^;)多分、鈴のことだから彼女が目の前にいてもボロクソ言ってただろうけど。あ、そうそう。喫茶店に着いた時佐々君本読んでたよ。あれ、貸したやつじゃない?(^^)今の所そんな感じだよ~】
私は読み終わってすぐに返事を送った。今はそんな感じだよと言ってから2時間経過してしまった今はどうなのか気になったからだ。
【遅くなってゴメンね(汗)今はどう?】
返事はすぐ来た。
【今は蜜さんと佐々君の彼女さんがいらしてて、鈴は凄い剣幕で莢さんを睨んでいるわ・・・。佐々君は蜜さん達の席にいるから尚更怒っているのよね・・・。】
彼女さん、か。胸に小さな針が刺さったような感じだった。
【鈴は本当に佐々君が好きなんだね。莢さんと佐々君はラブラブ?】
【鈴は実の兄弟だろうが、本当に佐々君が好きだって言ってたわ。彼女さんと佐々君はラブラブね・・・彼女さん椅子に座っていて、佐々君その隣に立っているんだけど、手繋いでいるもの】
小さな針が大きな針に変わった。鈴はともかく私の入る隙間もないのだ。
【そう・・・】
このあとの文章が浮ばなかった。今メールで悔しさをアピールしたところで何も変わらない。私は本を貸しただけの客なんだから、それ以上望んじゃいけないよの。そう思い、さっき作りかけていたメールに解った、アリガトウと付け加え、送った。妙からはその後また何かあったら連絡するねと言われ、私は返さなかったので、メールはそこで終了した。

翌日、学校に行くと妙が私の席に来て耳元で囁いた。昨日の話を詳しく話してくれるらしい。いつもの階段近くに行き、1番下の段に並んで座った。足音や視線が無いのを確かめてから妙が小声で話し始めた。

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昨日、あのあと1時間近く喫茶店にいたの。あれから鈴の形相は変わっていったわ。佐々君が鈴を紹介したのか、莢さんが私達の席に来たの。莢さんね、鈴の手を取って宜しくねと言ったの。そのあとすぐよ、すぐに音を立てて鈴が莢さんを叩いたの。
「泥棒猫!!!」って叫びながらね。私は絶句したし、莢さんは目に涙を浮かべて、佐々君もいつもの温和な表情とは違って鈴と莢さんの手を離して鈴を怒鳴り散らしていたわ。その様子を見ていて二人は本当に愛し合っているんだなぁっていうのがわかったわ。
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ゆっくりとそう話した妙の表情は恐怖に似ていた。
妙の表情で昨日の喫茶店の様子がリアルに浮んだ。
私は妙の手を取って有難うと心を込めて言った。

続く(編集中)


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