あかずきんのバスケット

2007/03/31
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カテゴリ: ディナー♪
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お昼から映画を見に行きました DAS LEBEN DER ANDEREN

邦題は、「 善き人のためのソナタ


1984年、東西冷戦下のドイツ、国家保安省のヴィースラーは、劇作家の
ドライマンと舞台女優クリスタが、反体制的であるという証拠を掴むように命じられる。
24時間体制の諜報活動の中で、ヴィースラーはやがて、二人を守ろうと、動き出す。

「善き人のためのソナタ」このタイトルと予告編から、わたしは、盗聴をしている
ヴィースラーが何度もソナタを聴いて、それで、少しずつ心を動かされるのだと
思っていました。

それは、亡き、演出家イェルスカのために弾いた「善き人のためのソナタ」という曲
イェルスカを偲んで、弾いたこの曲がレクイエムの響きをもって伝わる

この曲を聞き激しく心を揺すぶられるヴィースラーは、やがて、彼らの愛や
生活に影響を受けていく。

冷酷、冷徹なほど、彼はその職に徹していた。
中年で無口なヴィースラーは、しかし、体制に取り入ろうとするようなタイプ
ではなかった。むしろ、忠実な、国家に自らを捧げようという人物だった。

彼の部屋は整然として、冷たい。
テーブルには花もなく、生活感がない。

一人暮らしで、諜報活動から帰ってきての食事は、なにかを茹でたものに
チューブからだした、赤いものをかけてまぜるだけのシンプルというか


彼の部屋を訪れるのは、ぶよぶよに膨れた娼婦であった。
巨木に、キリギリスがつかまっているような体勢、ソファでの短時間の快楽。
快楽とまではいかないかもしれない。それは、単に、生理的行動とでも
いうような寒々としたものであった。
ドライマンとクリスタのような愛のあるベッドではない



そんな、ぬくもりのない中にいながら、彼はふたりの愛を守ろうとする。
寡黙なヴィースラーがひとりで体勢に抵抗していく姿は、みていて、こちらの
心も絞られるくらい切ないものを感じる。

DAS LEBEN DER ANDEREN

直訳すれば、「違うものの愛」
思想の違い、立場の違うものの愛、である
二人を守ろうというヴィースラーの思いは、愛なのか。
自分が持っていないものだからこそ、守ろうというのだろうか。
物語は、運命の糸を手繰るように、守ろうとして、守れない、
守れなかった展開をみせる

ベルリンの壁が崩壊し、郵便配達をするヴィースラーが書店でドライマンの
ポスターを目にする。
「善き人のためのソナタ」ドライマンの著であった
そこには、HGW XX/7への謝辞が書かれていた。

書店の店員に贈り物かどうか尋ねられるヴィースラー

「自分用です」、というくだり、 

「わたしの物語だ。」とぽつり、言ったように聞こえた

寡黙な男は最後まで静かで、慎ましかった。




反体制などという環境までいかずとも、今現在でも、時代、環境のしがらみ
はあると思う。その中で、犠牲を強いられること、已むを得ないことなど
たくさんあると思う。運命として、それを受け入れるべきなのか
抵抗するべきなのか。
様々な思いが交錯する映画でした。


ヴィースラーが食べていた、質素なお料理ですが、ショートパスタとトマトソース
で再現してみました。そのままではあまりに悲しいので、ドライトマト、トマト
を入れました。


これでは、淋しいので、今朝の桜ケーキ♪

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Last updated  2007/04/01 02:03:19 AM
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