森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2016.04.29
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カテゴリ: 神経症の成り立ち
私は対人恐怖症で苦しんできました。
人から批判される、叱責される、馬鹿にされる、無視される、からかわれるということに我慢できないのです。そういう場面が予想される時はいつも逃げていました。
DSMでいうところの回避性人格障害です。その主な特徴は、

1、批判、否認、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。

2、恥をかかされること、またはばかにされることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す。

3、社会的な状況では、批判されること、または拒絶されることに心がとらわれている。

4、新しい活動にとりかかることに異常なほど引っ込み思案である。

これらは私の生き方にぴったりと当てはまります。
でも嫌な場面から逃げて精神的に楽になるのは、ほんの最初の一瞬だけです。

また仕事に取り組まないので退屈で空虚感に苦しむようになります。
また人に嫌われたくないと思って行動しているのに、いつもノルマが達成できず仕事が滞りみんなに軽蔑されるようになります。
そして自分でもそんな自分を自己嫌悪、自己否定ばかりするようになります。
将来への希望は持てなくなり、不安にさいなまれるようになります。
生きることが八方塞がりになり、迷路に入り込んだようなものです。

私は今で回避性人格障害のマイナス面ばかり見てきました。
でも最近別の角度から自分を見れるようになりました。
もし、訪問営業から逃げてさぼってばかりいる自分を叱咤激励して、無理やり仕事を続けていたら自分はどうなっていただろうか。
胃潰瘍になり、体調が崩れ、ガン、血管障害などの病気にかかっていたのではないか。
あるいは重いうつ病や精神疾患にかかっていたのではないか。
またアルコール依存症、ギャンブル依存症に陥っていたのではないか。

心身ともにボロボロになり、廃人への道をひた走っていたのではないか。

そうならなかったのは、自然にそういう状況を回避するという行動が自分の身体や心を守っていたのではないか。
仕事をさぼり、人から軽蔑されながらも、テニス、スキー、トライアスロン、国家資格取得などに取り組んでいたことが、心の破綻を防いでくれていたのではないか。
回避するというのは危険を感じていち早く心身の破綻を守る行動だったのではないか。
回避するというのは自分を生命と心の安定を保つというプラスの面があったのではないか。

その結果重い病気や精神疾患にもかからなかった。さらに自殺にも追い込まれなかった。

さらに言えば、そのおかげで森田理論の学習を熱心にするようになった。
つまり人生の大きな課題や目標も持つことができたのだ。
いったん回避して自分の将来の人生をしみじみと考えるきっかけとなったのだ。
自分に向いている職業はなにか。対人恐怖を克服するということはどういうことか。
対人恐怖症という特徴を持ちながらそれを活かすことはできないか。
神経質性格者の生きる方向性とは何か。人間が生きるということはどんな意味があるのか。
これらが今では森田理論学習のおかげで明確に見えるようになってきた。

回避性人格障害という際立った特徴がもしなかったとしたら、森田理論には縁がなかった。
また自分人生についてしみじみと考える機会はなかったはずである。
するとその日暮らしで満足して、味わい深い人生を送ることはなかったであろうと思うのである。
だから回避するというのはつらい苦しい体験ではあったが、長い目で見ると自分の人生に大きな役割を果たしていたのである。
だから逃げまくって自分の心身を守っていた自分をほめてあげたいと思うのである。
それが今の充実した人生につながっているのである。100点満点の人生だ。





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Last updated  2016.04.29 17:21:49
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