森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.03.14
XML
生活の発見会の大先輩に、玉野井幹雄さんという方がおられる。
この方は亡くなられる前に、 「いかにして神経症を克服するか」 「いかにして悩みを解決するか」という2冊の本を自費出版された。そして、希望者には無償で配布された。
遺言のような形で、この本を神経症で悩んでいる人のために残されたのだと思う。

その中に次のように書かれている。
持って生まれた素質に反抗したり、それを変えようとする努力は一切無駄なことであり、早くそういった「はからい」ごとから足を洗って、与えられた素質の長所を生かすべく努力するようになれば、楽に生きられますし、それが人生を楽しくする秘訣でもあります。そういう私は、長い間自分の素質に反抗してきましたので、それまでの人生はあまり楽ではなかったように思います。

私が森田理論を知ったのは23歳の頃です。
その後の病歴としては、胃腸神経症で3年、対人恐怖症で30年、うつ病で10年間苦しみましたので、合計すると47年近く症状と格闘したことになります。
現在では、それらの症状からすっかり開放されて幸せに生きています。
「生きている」と言うよりも、 「生かされている」と言った方がぴったりしますが、だからといって別に社会的な地位や名誉があるわけではありません。

現在の幸福は得られたのは、 「神経症」や「うつ病」のおかげであると思っています。
それらのものに感謝しているのであります。私が「神経症」や「うつ病」にならなかったら、恐らく今の幸せは得られなかったであろうことが確信を持って言えるのであります。
それは、今の幸せが、過去の苦しみや悲しみを埋めて、なおも余りあるものであると思っているからであります。それを教えてくれたのがほかならぬ森田理論であったわけです。
(いかにして悩みを解決するか 玉野井幹雄 自費出版 40頁より要旨引用)

私も対人恐怖症という神経症を発症したのは、中学生の頃です。
中学や高校の頃は友達がいなかった。
大学を卒業して、農業関係の大手出版社に入った。雑誌の記者として、全国を飛び回るような仕事がしたかったが、訪問営業の仕事に回されて、症状のために挫折した。
次に京都に本社がある繊維業界の会社に就職した。ここでは窓口営業の仕事であった。
そのうち中間管理職になり、対人恐怖症がもろに出てきて苦しかった。その頃から生活の発見会に入会し、集談会の人たちに助けられながら、何とか定年近くにまで仕事を続けることができた。

こうしてみると、私の一生は、対人恐怖症で苦しむために生まれてきたようなものだった。
「症状を抱えたままに、なすべきをなす」という教えのもとに、なんとか頑張ってきたが、他人の叱責や批判が怖い。予期不安や予期恐怖が消えることはなかった。

しかしそういう口では言い表せない症状を持っていたおかげで、森田理論に出会うことができたのである。神様は自分で解決できない試練は与えないと言われる。
神様は私に神経症を克服することを人生の課題として与えてくれているのではないかと思うようになった。神経症を克服した後は、神経質性格を活かした生き方を模索するという課題も与えてくださっているように思う。末広がりという言葉があるが、幼少、青年期、成人期は苦しみのどん底であっても、老年期になって、 「まあまあの人生だった」と言えるようになればそれで十分ではないかと思う。
それは30代からずっと森田理論とその学習仲間とかかわってきたおかげである。
図らずも、偉大な大先輩である玉野井幹雄さんと同じ心境に至っているのである。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.04.08 23:52:39
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

森田生涯

森田生涯

Calendar

Comments

X youhei00002 フォローしてください@ Re:愛着障害について(03/12) X youhei00002 フォローしてください
森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
森田生涯 @ Re[1]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ コメントありがとうございま…
stst@ Re:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、こんばんは。 過去に何度かコ…

© Rakuten Group, Inc.

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: