森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2018.10.20
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カテゴリ: 神経症の成り立ち


今やがんは2人に1人がかかる病気である。
1年に1回のがん検診では、見落とすことがあると言われている。
特に膵臓癌などは発見された時はもう手遅れという場合がある。

そのために、自分ががんでないことを確認するため人間ドックに行って、血液検査、バリウム検査、胃カメラ検査など、 1年に2回3回と繰り返す人がいる。
健康体であることを確認しようと、人間ドックで検診を繰り返しているうちに、異常がたまたま発見される、といったことがよくあります。
精密検査に回され、最終的には特に手当てをする必要はないなどといわれます。
また半年後に検査に来て下さいなどと言われ、ひとまず安堵するといったことを繰り返しているうちに、検診癖にはまり込んで、そこから抜けだすことのできなくなった人が数多くおられるようです。
それが、ある段階までくると、愚行とは知りつつも、検査を繰り返さないと、どうにも安心できないという心理が固着してしまうのです。
こうなると、もう強迫神経症です。不安が不安を招き、精神交互作用によってどんどん増悪して、ガンの不安・恐怖で振り回されるようになるのです。
「健康さえ手に入れば、命なんかほしくない」と言うような、本末転倒状態に陥っているのです。

このようながん検診を繰り返しているとどうなるのか。まず検査による被曝が問題になります。
イギリスで行われた実験によると、全てのがんのうち、 0.6%から1.8%が、レントゲン検査の被曝によってひき起こされているという。
胃のバリウム検査の被曝量は、 単純エックス線撮影の場合の6倍以上です。
CTスキャンは、レントゲン線の細いビームを照射し、身体を通過する線量を測定して、コンピューターで映像化するものですが、この線量による被曝は一段と大きいということです。
日本のCTスキャンの保有台数は世界最高です。
普通日本人は年に1回はこれらの検査を受けています。
これを毎年受けることだけでも被曝量は相当なものです。
がん検診強迫神経症の人は、これらの検査を年に何回も受けるわけですから、健康な細胞が数多く傷つけられる事は明白です。

次に、がん検診強迫神経症の人は、がんに対して神経が過敏になります。
サプリメントや民間療法などにも手を出すようになります。
あるいは宗教にすがるような人も出てきます。
寝ても覚めてもがんに振り回されるようになると、精神的に追い詰められてしまいます。
また、実生活のほうに目が向かなくなり、生活が後退していきます。
これは私たちが神経症で苦しんでた過程と同じことです。

がんにならないように、心配する事はとても大事なことです。
しかし、それが高じてがん検診強迫神経症になることは避けなければありません。
そのためには、年に1回の検診は必ず受ける。それで大きな問題がなければ、疑心暗鬼に陥っても、日常生活や仕事、趣味などのほうに目を向けて生活を充実させるほうに目を向けていく。
気が付いたらがん恐怖のことは忘れていたという方向に向かうことが大切です。
森田療法理論が勧めているとおりだと思います。

(死生観の時代 渡辺利夫 海竜社参照)






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Last updated  2018.10.20 06:30:16
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