これが人間関係、身体の健康や心の問題の悪化に大きく関わっているのではないでしょうか。
自立して生きる力を骨抜きにされ、いつまでも親の加護の下にある大人になった子供達。
何をするにしても自信が持てなくなり、生きること自体が苦痛になっている若者たち。
問題解決能力が身につかず、すぐに投げやりになり、親に責任をとらせる子供たち。
自己表現ができなくなり、人間関係で振り回されてしまう人たち。
生活習慣病ともいわれるガンをはじめとする様々な身体疾患で苦しんでいる人たち。
自分たちの快楽を求めることが最優先され、子供を産み育てるという目標が希薄になった親たち。
これらは、あらゆるものが不足している社会ではあまり問題にはなりません。
むしろ、恵まれすぎて、すべてのものが過剰に存在する社会で問題になる事ばかりです。
欲望は制御不能になり、暴走を繰り返すのが常ですから、森田理論を学んだ者として、社会に向かって警鐘を鳴らす必要があるのではないでしょうか。
今日は、この中で子どもに対する過剰な母親の干渉について考えてみたいと思います。
子供を産んだ親は、しつけをして、子供たちを自立した人間に育て、社会に送り出していくという大きな役割があります。
社会に送り出して、新しい家族を得て、自立した自分たちの生活を始めた途端、基本的に親子関係は終了します。
しかし現在の日本の社会では、子供たちが大人になっても、親離れできないという問題があります。
経済的にも精神的にも親に依存している。
親もまたいつまでも子供を手元に置いて子供を甘やかせている。
つまり双方がいつまでも共依存関係にあるのです。
この親子関係が続けば、子供はいつまでも自立することはできず、親子とも将来に明るい展望は開けません。
キタキツネの母親はひとりで子供を育てます。餌を与え、少し大きくなれば、エサの取り方を教えます。
ある程度大きくなり、自立して生活できると判断すると、自分たちの巣穴から追い出してしまいます。
子供たちはなかなか巣穴から離れようとしません。それでも牙をむいて追い出してしまうのです。
ここで強制的に親子関係を終了させてしまうのです。
それが自然に生きる動物の宿命なのだと思われます。
本来人間も同じで自然界の動物ですから、その方向が自然なことなのだと思います。
現在の日本人の親子の関係をみると、子供を自立させていくという目的が希薄なのではないでしょうか。
すべての面で過剰な社会に暮らしている私たちは、子供を育てる面においても過剰な関わりを持ちすぎているのではないでしょうか。
小さい頃から過保護で好きなものが好きなだけ与えられています。
だから我慢するということを知りません。
自分を中心にして世界が回っているかのような錯覚に陥ります。
子供が何か行動を起こそうとすると、すぐに親が口を挟み、子供が挑戦する前に親が子供になり代わって解決してしまう。
子供の意志はことごとく押さえつけて、親に従属する素直な子供に育てていく。
このような子供が大人になると、自分では何も決められない。
自分の意志を抑圧して、人の思惑ばかりを気にする大人になってしまいます。
こうなると自分の人生は自分の意志で切り開いていくということができなくなってしまいます。
子供たちの多くは大人になって生きづらさを抱えてしまう。
このことは、すべてのものが過剰な日本の社会では、真綿で首を絞めるように徐々にではあるが、確実に進行して、最後には取り返しがつかない事態に陥る。
このことを森田理論学習をした人は、社会に向かって警告を発信する必要があると考えています。
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