森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.07.27
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佐藤健志氏のお話です。

不真面目というのは、広辞苑を引くと、「真面目でないさま、物事に熱心に取り組まないさま」と書いてあります。
他方、「真面目」の定義は「真剣な態度・顔つき、本気」とある。
そこで「真剣」の定義を見ると、「まじめ、本気、真実」とある。
真面目とはつまり真剣なことで、真剣とはつまり真面目なことですから、全くの堂々巡りになる。

これを突破するヒントは、「真剣」をめぐるもう一つの定義にあります。
それは、(木刀・竹刀などに対して)本物の刀剣、本身とある。
本物の刀剣と、木刀・竹刀などの違いは何か。
簡単に言ってしまえば、斬られたときのダメージの大きさです。
「真剣」とは、「物事の結果が、自分にとって切実、ないし痛切な意味合いを持つ」ことと規定できる。「物事に真剣に取り組む」とは、「結果次第で、自分の利益・不利益が大きく左右されるという姿勢で物事に関わる」ということを意味するのです。


私が不真面目さと真面目の違いを取り上げたのは、森田理論の「かくあるべし」の態度との類似性を感知したからである。
真面目な人は、理想主義、完全主義、完璧主義、目標達成主義、コントロール至上主義に陥りやすい。高い理想を追い求め、ストイックになってしまう。努力精進しているだけならよいのですが、どうしても行き過ぎてしまう。自己否定や他人否定、事実や現実否定に陥りやすい。
これは森田理論で、「思想の矛盾」といわれているものですが、これが葛藤や苦悩を作り出し、神経症を作り出す大きな原因となっているのです。
こうなりますと、論理的思考性で突っ走り、純粋な理想主義を観念の世界で確立してしまい、後々大変な問題を背負うことになるのです。
真面目で頭の良い人ほどその罠にはまってしまう。
こうなりますと、葛藤や苦悩を持たない動物のほうがよほど幸せな生き方ができるのではないかと思ってしまいます。

真面目に生きる、「真剣に生きる」の反対は、「不真面目に生きる」ということです。
ちゃらんぽらんな生き方をするということです。反感を買う人が多いと思います。
言葉の響きが悪いので、言い換えましょう。

理想主義、完全主義、完璧主義、目標達成主義、コントロール至上主義を捨てた生き方を選択することです。「かくあるべし」を中心とした考え方を放棄して、事実の世界に自分の立ち位置をしっかりと固めて生きていくことです。
そこを出発点にして、課題、目標、夢や希望を追っていくことです。


日本の防衛は日米安保でアメリカに依存し、経済ではまだまだ発展が見込まれている中国に向いている。政治や経済や外交の基本的目標として、経世済民という視点がすっかり抜け落ちて、支配層が「今だけ、金だけ、自分たちだけ」という日本の進むべき道に問題はないのかと問題提起されています。

このことは日本の進むべき道を探る上で極めて大切な論点となります。
私が主張したいのは、その問題を議論するにあたっては、事実、現実、現状、日本や世界の歴史をきちんと踏まえて、そこを出発点にしなければ何も始まらないのではないかということです。
森田でいう事実の観察、事実に真剣に向き合う態度があいまいであるということは、ますます自分たちを生きづらくさせているのです。





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Last updated  2020.07.27 06:36:48
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