森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.08.09
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他人と、容姿、性格、能力、態度、境遇などを比較して、優越感や劣等感を味わうことは誰でも経験があります。
優越感というのは、相手よりも自分の方が優れると思っていて調子に乗っている状態です。
心のどこかで相手のことを軽蔑して、否定しています。
劣等感の場合は、相手よりも自分の方が劣っていると思っていて、自己嫌悪、自己否定している状態です。神経質者の場合はこちらの方が多いのかもしれません。
比較するということは、常に是非善悪の価値判断を行っているのです。
比較することで、否定と肯定が繰り返されているのです。

他人と比較することはよくないが、過去の自分と現在の自分を比較することは構わないという人がいます。過去の自分と現在の自分を比較して、成長していれば自信になる。
自分で自分をほめてあげることができる。
しかしこれは現在の状況が、過去と比べて改善できていれば有効です。

自己破産した。離婚した。認知症になった。寝たきりになった。
人間的に成長していない。精神的に不安定だ。
このような場合、過去はよかったのに、現在は奈落の底だと悲観することになります。
それが自分自身を精神的に追い詰める材料となります。

子育ての中でよくありがちなことですが、親が子供たちを比較して、「お兄ちゃんはきちんとできたのに、あんたはどうしてできないの。ダメね」などと叱咤激励することがあります。
子供を早く親の理想に近づけようとしているのです。
現在の子供の状態が見えていません。
親の「かくあるべし」を子供に押し付けているのです。
子供はそれがトラウマになり、自信が持てなくなり、自己否定するようになります。

比較してどちらが優れているか、どちらがダメなのかと価値判断することは、自分と他人を精神的に苦しめるばかりとなります、メリットは何もありません。
そのようなことになるのなら、比較しないほうがよいという気持ちになるのも無理からぬことになります。


例えば、生活習慣病検診をします。これは自分の血液の状態、血管の状態、糖の状態、内臓の状態などを健康体といわれる基準値と比較しています。
高血圧、高脂血症、尿酸値、白血球の数などが正常範囲にあるかどうかを判定しているのです。比較するものさしがあるからこそ、自分の健康状態が客観的に把握できるのです。
比較して、現在の健康状態が分かり、基準から外れていれば早めに対策を打つことができます。この場合は、検査して比較することで、客観的に自分の健康状態を掴むことができるのです。

比較することが、価値判断に結びついて、他人や自分を裁く道具として使われるとこんなに害になることはありません。
ところが、自分や他人の現在地を把握するために使われるとしたら、こんなに役立つことはない。つまり比較することが、「かくあるべし」と結びついてしまうということが問題なのです。「かくあるべし」を減少させて、事実本位の生活を続けている人は、積極的に比較するで、自分の課題や問題点を抽出しているのです。

比較するというのは現在の自分の状態を客観的につかむために大いに活用したいものです。





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Last updated  2020.08.09 06:34:11
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