森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2020.09.15
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生活の発見誌に次のような体験発表があった。

私の誤った認識は、現在ある生活や仕事をおろそかにして、不安や症状を取ることに執着することにより、かえって精神交互作用によって不安を大きくしていたということです。
不安を相手にすることにより、「何々が不安なジブン」や「症状のあるジブン」というのは肥大化していくように思えます。
それによって実際に社会生活から逸脱して、観念の世界に入り込み、ますます症状を悪化させました。

また、学生時代から「かくあるべし」で自分を守っていた結果、実際にあるちっぽけで弱い自分を見ないようにしていたため、自分の成長や他者への配慮よりも、自分本位で、自分を守るために頭の中でやりくりすることに必死で、周囲への批判や自己保身を自分の脳内で一人チャットのように繰り返していたことで自分を窮屈にしていました。
(生活の発見誌 2020年8月号 36ページより引用)

神経症に陥るということについて、2つの側面がある事を指摘されています。
このことが分かること自体大変なことなのですが、よく学習されていると思います。

神経症に陥った人は誰でも、生の欲望の発揮という人間本来の生き方を無視して不安や恐怖と格闘してきた。

生の欲望に焦点を当てて、人間本来の生き方に戻すことが、神経症克服の道となります。
これはその気になれば誰でも取り組むことができます。
神経症を治したい人はぜひ取り組んでみてください。
そのやり方は先輩会員やこのブログで説明しています。

神経症完治に向けてはもう一つの側面があります。
「かくあるべし」という観念中心の態度で自分や他人を裁いて、コントロールしようとすることです。この態度が精神的な葛藤や苦しみを生み出しているのです。
こういう人は、事実を無視し受け入れないという態度を持ち続けている人です。

イソップ物語に狐とブドウの話があります。
狐がたわわに実ったブドウが欲しくてたまらない。
ところが背が低くて何度ジャンプしてブドウを獲ることができない。
そこで狐はどう考えたか。あのブドウはすっばっくてまずいブドウに違いない。

こんな自分を生んだ親が悪いと考えた。
つまりこの狐は何としてもブドウが欲しいという気持ちを認めることをしなかった。
ブドウを手にすることができない自分を受け入れることもできなかった。

ここでその二つの事実をそのまま認めることができたとしたら、その後の展開はどうなっていたか。ブドウが欲しいという気持ちと今の自分の状態ではブドウを獲ることはできないという二つの事実です。「かくあるべし」という態度を「事実本位」に切り替えたならば、事態は打開できます。つまり、どうすればブドウを手にすることができるかを考え始めるだろうと思います。
手っ取り早いところでは、踏み台や脚立のようなものを探してくる。

自分一人では手に負えないと思えば、仲間を呼んでくる。
仲間に相談して知恵を出してもらう。力を貸してもらう。

これらは2つの事実を認めることで初めて可能になることです。
事実を認めない。受け入れない。事実を隠す。捻じ曲げる。ごまかす。
などと言う態度では、いつまで経っても神経症の完治には至らないということです。
対応方法は森田理論学習によって身に着けることができます。
森田理論以外の精神療法でここまで踏み込んでいるものはありません。





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Last updated  2020.09.15 06:34:00
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