森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.04.22
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今日は「心機一転」という言葉が何を意味しているのか考えてみたいと思います。

森田先生は、神経質者の経験する「心機一転」は、内向的な心が外向的に一転することでありましょうと言われています。

それはたとえば、「今まで足元ばかり見、また自分の勇気の有無ばかりを考えてどうしても渡ることのできなかった丸木橋を、捨て身になった拍子に、前の方ばかり見つめてスラスラと渡ってしまった時のようなもの」であります。

神経症で苦しんでいるときは、注意や意識が、内向的、自己内省的、自己防衛的に片寄ってっています。それが森田理論の学習と実践により、注意や意識の向かう方向が、外向的、生産的、創造的、物事中心に変化してくることが心機一転ということだと説明されています。
別の言葉でいえば頓悟ということになります。

これはキャッチボールについても言えます。
目線は相手の構えたグローブをしっかりと見据えることが必要です。
つまり目標物を絶えず意識することです。
それを曖昧にして、注意や意識を自分の投球動作やボールのにぎりなどに向けていると、暴投が起きる可能性が高まります。


でもそこに留まっては、絵に描いた餅になってしまいます。
それを生活の中で実践してみることがかかせません。
体験によって裏打ちされ、以後注意や意識の方向性が、外向き、物事本位に切り替わることが大事になります。これは口でいうのは簡単ですが、実行はかなり難しいと思います。

「心機一転」で神経症を克服できるのは、不安神経症や普通神経症の人です。
たとえば新幹線に乗れないという人や胃腸神経症で物が食べられないという人は、生きるか死ぬかの瀬戸際に追い詰められます。これ以上ない苦しい状態に突き落とされた人は、逃げ道がなくなるのです。こういう人は、森田理論学習により、認識や考え方の間違いに気づいたら、乗り越えるのが早い。気づいた瞬間から治る。さらに実行力が伴えば鬼に金棒です。

問題は強迫神経症の場合です。不安に振り回されて、悪循環でのたうち回っている人です。
不安の種をどんどん膨らませて、それを目の敵に祭り上げて、戦いを挑んでいるのですから、負け戦になることは勝負の前から分かっているのです。
強迫神経症の場合は、別に神経症で命を落とすことは考えにくい。
逃げ道がいくらでもあるわけです。逃避すれば一時的にはなんとか回避できる。
葛藤や苦悩で大変ですと言っても、逃げ道がいくつも用意されている。
この差が大きいのです。


一般的には、タマネギの薄皮をはがすような治り方を目指すことです。
時間がかかります。ただし時間をかけて治していくと、再発することは起こりにくい。
「漸次」というのは、段階を踏んで少しずつ治していくということです。

たとえば、次のような目標を設定して、二歩前進一歩後退の繰り返しの生活を続ける。

1、まず不安を抱えたままなすべきことができることを目指す。



3、「かくあるべし」で自分や他人を否定しない。

4、事実を事実のままに素直な気持ちで受け入れる。

5、事実に対して安易に是非善悪の価値批判をしない。

6、生の欲望の発揮に邁進する。

1から6まで基準点を超えるようになれば神経症は克服できます。
おおむね、50点を超えると、その人は大きく成長しているはずです。
これらを1年ごとに自己採点するか、集談会の仲間に採点してもらうのです。
現在神経症の真っただ中にある人は、1にフォーカスしてみることをお勧めします。





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Last updated  2021.04.22 07:58:07
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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