森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2021.10.26
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生活の発見会の山中和己氏のところに、次のような相談が後を絶たないと言われる。

「実践はしているが、いつまで経っても治らない」
「森田療法の本を読んで、自分なりには実践はやっているつもりです。でも不安や恐怖は、強いままです。さっぱり減りません。なぜでしょうか・・・」

これに対して、山中氏は次のようにアドバイスされている。
「実践」と「なおる」ということはべつもの・・・。
そう、とらえたほうが妥当ではないでしょうか。
ただし、これからも、毎日の「仕方なしの生活」はつづけてくださいね。
(そのままのあなたですべてよし 山中和己 生活の発見会 217、218ページ)

これをもとにしてさらに深めてみましょう。


布団上げ、靴磨き、風呂の掃除、部屋の掃除、整理整頓、料理、車の洗車など。
頭で考えることを中断して、行動に主軸を移していくと、症状に関わる時間が少なくなりますので、少し楽になったような錯覚を起こします。
神経症を早く治したいという気持ちが強いと、それが加速して馬車馬のような行動になります。
このような行動・実践を続けていると、精神的にも肉体的にも疲れ果てて、こんなに努力しているのに、症状はよくならないと嘆くようになります。
そして、突然実践課題を放り投げてしまうことにもなります。
すると神経症は益々悪化しているということになります。

この心理は、けがをしてかさぶたができたときに、けがの治り具合を確かめるために、かさぶたを取り除いて傷口を観察するようなものです。
これをすると傷口の修復が遅れて、いつまで経ってもけがが治らないということになります。
別の例でいうと、野菜の苗を植えて、2~3日経った頃、根付いているかどうか心配になって、引っこ抜いて確かめようとするようなものです。
伸びてきた根が切れて、最悪の場合、枯れてしまいます。

ここで言いたいことは、症状を治すことを目的としている行動・実践は、一時的によくなったかのように見えても、長い目で見ると、症状に注意や意識を集中してしまうので、症状の改善には結びつかない。むしろ逆に悪化の一途をたどってしまうということです。


むしろそうすることが大事になってきます。
ところがある程度行動・実践できるようになった人は、症状を治すという目的を意識してはいけないということです。ではどうすればよいのか。

自分の生活を維持し、豊かにするために、必要なことを必要なだけするということです。
こうなると無理はしなくなります。疲れません。
お使い根性の仕事ではなくなります。

このような心掛けを持っていると、次々と日常生活の中で課題が見えてきます。
行動・実践の中に、気づきや発見、興味や関心が生まれてきます。
新たな問題点や課題も見つかってきます。
それらを解決しようとやる気や意欲が高まります。

ここで大切なことは、症状を何とかしようと思って凝り固まっていた感情が、いつの間にかすっと動き出しているということです。
森田理論は、感情を、谷あいを流れる小川のようにさらさらと流すという理論になっています。
決してお堀の水のように、ずっととどめておくという理論にはなっていません。
そうなれば、水が汚く濁り、雑菌や藻や蚊などが発生して、不衛生極まりないということになります。行動・実践によって、神経症を治そうとしていると、感情がさらさらと流れるのではなく、いつまでも症状にこだわるという結果を招いてしまうのです。
少しの違いですが、後々大きな差となって取り返しのつかないことになります。





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Last updated  2021.10.26 06:34:51
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stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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