森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.03.15
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2018年9月24日の投稿で「完全欲」は貪欲に追及していくことが大切ですが、「完全主義」はすぐに捨てる必要があることを説明しました。
神経質者の場合はこれが逆になっている場合があります。
つまり「完全欲」が放置されて、「完全主義」を追い求めている。

「完全欲」は、たとえば銀行では3時に閉店した時に残高を調べます。
その時例え1円でも合わなければ徹底的に調べます。
1円ならポケットマネーでつじつまを合わせてOKというわけにはいきません。
それを見逃せば、いつか大きな不祥事に発展する可能性があります。

時々会社の経理担当者が公金を横領して刑事事件になることがあります。
これは会社の内部統制、コンプライアンスの順守ができていなかったからです。

金銭を扱う従業員に対するマニュアルの順守と第3者によるチェック体制を日々実行していれば不祥事は防ぐことができたはずです。

我々神経質者が目指すべき「完全欲」は何でしょうか。
私が真っ先に挙げたいのは日々の日常茶飯事です。
食事の準備、掃除、洗濯、整理整頓、隣近所との付き合いなどがあります。
これらはできるだけ完成欲を発揮していく必要があります。
神経症に陥ると、この部分が全部あるいはその一部が手抜きになります。
余ったエネルギーは、神経症との葛藤や苦しみに向けられます。
困ったことになります。

その時に出てくるのが観念的な「完全主義」「理想主義」です。
それが現実や事実の否定に向かいます。
神経症で苦しんでいる自分を認めることができない。

観念の世界で、神経症の悩みや苦しみのない状態を妄想している。
その段階に自分を持って行こうとしている。

ここで問題になるのは、自分の立ち位置だと思います。
目標が明確な人は、地上にしっかりと足固めをしている。
そこから、下から上目線で目標や夢を眺めている。

グットタイミングを図っている。協力者や相談相手を持っている。
資金を集めている。ノウハウを蓄積している。
いくつものスモールゴールを持って挑戦している。
そして小さな成功体験を積み重ねて自信をつけている。

一方「完全主義」「理想主義」「目標達成至上主義」の人は、雲の上のようなところに自分の立ち位置をとっている。
上から下目線で、事実、現実、現状に対して常にクレームばかりつけている。
これは自分で自分をいじめているということです。
理想や完全からは程遠い現実に我慢がならない状態でいつもイライラしている。
現実と理想の間には大きな乖離があり、そこに葛藤や苦悩が生まれているという状況を把握できていません。
自分の中にいる二人の自分が消耗戦を強いられているようなものです。
どうしようもない現実を否定しているだけではなく、ともすると無理やり理想の状態に引き上げようとしている。
そしていつも失敗に終わり、心身ともに衰弱している。
そのうち人生に対して投げやりな態度を見せるようになっている。

森田理論では雲の上にいる自分が、現実世界でもがき苦しんでいる自分に寄り添う態度が何よりも大切だと言っているのです。
相対立していた二人の自分が手を携えて、目の前の課題に向き合うことを目指している理論です。そうなると心身ともに健康体となります。
自分で自分を否定することほど罪作りなことはないと思います。





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Last updated  2024.06.01 23:36:54
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