森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.06.04
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カテゴリ: 森田番外編
以前「男女そろって全国でも稀な長寿村」があった。

その村が戦後30年間で長寿村から短命村に転落した。
どうしてそのようなことになったのか。
今日はそれを説明してみたい。

この町に昭和27年にバスが通れる道路が開通した。
陸の孤島と言われた町からの大きな変革だった。

それを境にして、素晴らしい伝統食が戦後急速に崩れていった。
伝統食、郷土色、自給自足、地産地消、身土不二の破壊である。

その流れで、食の近代化と称する洋風化が吹荒れた。
肉、魚、カレーライス、ハム、ソーセージ、缶詰などである。
これらは集落にできたスーパーが提供した。

その結果、両親と子供夫婦が食べるものがかみ合わなくなった。
両親は伝統食の煮込みうどんや味の濃いい味噌汁を飲んでいた。
子供夫婦は、パン、オムレツ、ベーコンを食べる。
好きなおかずは、ハンバーグ、ミートボール、から揚げ、焼き肉、卵焼き、スパゲティになった。肉やサラダは食べるが、野菜の煮つけなどは食べなくなった。
現在都会の人が食べているメニューと同じである。

それを強力に推進したのは、役所による食生活の改善運動であった。
昭和36年に栄養指導のキッチンカ―「しあわせ号」がこの町にもやってきた。
「6つの基礎食品」を発表して、キッチンカ―では「しあわせ号献立」を配布する。穀類、イモ類偏重の害が説明され、タンパク質が足りないと肉食を勧められた。さらに、「塩分の過剰摂取は血圧を高め、脳卒中などの成人病を誘発させる」ということで減塩が取り上げられた。


そして、伝統食、自給自足、地産地消、身土不二の食生活は姿を消してしまった。
その結果何が起きたか。子どもたちの肥満、生活習慣病、突然死である。
両親よりも子供たちの方が早く亡くなるという現象が起きた。
この町の老人には、いわゆる老人病など皆無、死ぬまで達者で働き、家族に迷惑をかけずに死んでいくのが普通だった。老人用の病院など無用だったのである。
(正食と人体 一倉定 123ページ参照)


森田では変えてよいものと変えてはいけないものがあるという。
現実的な不安はしり込みしないで積極的に行動する必要がある。
しかし、神経症的な不安は欲望の反面として発生しているので、取り除こうとしてはならない。視点を変えて、生の欲望を賦活させることが肝心です。

上野原町棡原地区では、心身ともに健康で長寿を全うする面からすると、昔からの伝統的な食生活は決して変えてはいけないものであった。
その選択を完全に見誤ったとしか言いようがない。

自然循環の伝統的な農法を守り、その土地で生産できるものをその土地の人が食べる。あたりまえのことです。そしてさまざまな加工食品作りに精を出す。
燃料基地としての里山を守り、牛馬を飼育して、田畑を豊かに耕す。
まさに自然循環が貫徹されている。実に無理や無駄がない。
そうした生活は地域の絆を強固にし、自分たちの生きがい作りにつながる。
生活習慣病とは無縁で健康体を維持できる。心の病気に罹る人もいない。

食生活の欧米化を掲げた改善運動は、これらのあたりまえの生活を完全に破壊してしまったことが今になって分かったがもう手遅れだ。
後戻りはできない。何とも罪作りなことをしたものだ。
日本有数の長寿村が今や限界集落の予備軍である。
これはここに限らず、日本全国の田舎で起きている真実である。
限界集落というのは、戸数が減り、さらに動くことが困難な年寄りが多くなり、もはや共同体の維持や修復が困難になっている集落のことである。
夜はイノシシ、鹿、熊、野良犬が我が物顔で公道をうろついている。
イノシシ除けの電気柵などを張り巡らせないと作物は全部食べられてしまう。

北海道では、その荒れた土地を日本のエージェントを使って中国が安値で買い取っているという。
そんなことを全国展開されたら恐ろしいことになる。
耕作放棄地でも農地を持っていると固定資産税は毎年徴収されますから、売れるものなら安くても早く売りたい人が多いのです。
将来は、そこで作られた食料を中国に送り、中国人の食を支えることになる。
何しろ中国は食糧の輸入国ですからね。

日本人がこうした真実に気付くことは並大抵のことではない。
これは大変だと気付いたときは、すでに後の祭りだったというのがオチだろう。
森田理論の「物の性を尽くす」という考え方に立つと、伝統食、自給自足、地産地消、身土不二が基本になると思いますが如何でしょうか。





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Last updated  2022.06.04 06:30:48
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