森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.10.13
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10月号の生活の発見誌に次のような記事がありました。

40日の入院療法の最も大事な条件は、このとらわれから離れることである。
このとらわれから離れるには、どうすればよいのかといえば、一方には、 常に目的物から目を離さぬことであるが、一方には、自分の心がとらわれから離れない時には、そのとらわれのままにとらわれていること も、同時にとらわれから離れるところの一つの方法であります。

この部分だけを読んでいると何のことだかよく分かりませんね。

この部分は森田全集の第5巻の244ページで森田先生が説明されています。
前後の話を読んでみると、その内容がとてもよく分かります。

まず、とらわれから離れない時には、とらわれのままにとらわれていることが大切だといわれています。
この点については、船酔いの話で説明されています。

これに反して、 船のことは思わないようにとか、眼をそらしして、ほかの事を考えて、ことさらに気を紛らわせようとしたりすると、かえって船の事を忘れられないで、船に酔うようなものである。

つまりとらわれている状態は不快で気分が悪いので、なんとか気を紛らせ、取り去ってすっきりしたいと考えると、精神交互作用でどんどんとらわれが強くなっていくといわれている。
とらわれに対して反抗的な態度はとらないで、不快な気分をそのまま味わい尽くすという態度になるとよい。不快な感情と一体になるということです。

次に目的物から目を離さないことが大切になるといわれています。
これについては川にかかる丸木橋を渡る時、向こう岸に渡りたいという強い意志を持つことが大切になるといわれている。
そのうえで先方の目標物をしっかりと見定めて、目標に向かって行動を起こすことが肝心であると説明されています。
これは生の欲望の発揮のことです。

神経症のとらわれから解放されるためには、不安はあるがままに受け入れて、目の前のなすべき課題や目標に向かって行動していくことが大事になります。

森田理論では、神経症の不安は欲望の裏返しであるという考え方です。
ですから不安を目の敵にして、不安を無きものにしようとすると、目的は達成できないばかりか、益々泥沼にはまってしまうということになります。
森田理論の「不安と欲望」という単元を学ぶと、不安を抱えたまま、生の欲望の方にエネルギーを投入することが肝心であるということが分かります。


いつまで経っても目的地に向かうことは出来ません。
アクセルは生の欲望の発揮のことです。
大事なことは、まずはアクセルを踏み込むということです。

でも下り坂でアクセルを踏み込むようなことをすれば、スピードが出過ぎて大事故になる可能性が高まります。
一旦車が動き出したら、適宜ブレーキを作動させなければなりません。


神経症で苦しんでいる人は、ひたすら不安と格闘している人です。
生活が停滞し、不安はどんどん強まり、神経症として固着してしまいます。
原則として、不安には手を付けないで、生の欲望の発揮にエネルギーを投入することが大切になります。

森田理論が教えてくれているのは、欲望と不安はあざなえる縄のようなもので、どちらも必要なものです。
生の欲望を前面に押し出しながら、適宜不安活用して、欲望と不安のバランスを上手に取りながら、生活を前に進めていくことがあなたの腕の見せ所ということになります。





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