森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.12.01
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林成之氏のお話です。

われわれ日本人は、幼いころから100点は満点だという教育を受けてきました。
仮に、あるテストで80点を取れば、「あと20点も足りない。もっと努力しなさい」と言われて育ってきています。
それゆえ日本人には、いつも満点から自分の現状の「点数」を引いて、あと○○が足りない」という判断をする「引き算思考」でものを考える習慣が根付いています。
そのせいで、失敗すると過剰に落ち込んだり、前向き思考が弱いために他人の欠点を批判するものの、その解決策を考えられない、などの弱点を持っているように思えます。

ですから、私は「足し算思考」を持ってほしいと思います。
最初の出来が30点でも、次は50点、その後は70点となるようにレベルアップして欲しいものです。仮に100点が取れたとしても、そこは単なる通過点で、さらに目標を引き上げて挑戦し続けてほしいものです。
(勝負強さの脳科学 林成之 朝日新聞出版)

林氏の指摘は、森田理論で学習した内容と似ています。

普通は80点を取った人は、成績優秀な人だとみなされると思います。
それなのに本人は、間違えたことが許せないのです。
私はこういう考え方をする人のことを、「減点主義」と呼んでいます。
減点主義は、換言すれば、現実否定主義のことです。
自分を完全・完璧の考え方で塗り固めて、上から下目線で現実の自分を見下ろすと、欠点だらけに見えてしまいます。
不足部分や問題点に焦点を当てて、非難、否定、軽蔑することは辛いものがあります。自分の不快な感情を払拭して、雲一つない日本晴れの青空を求めているようなものではないでしょうか。
少し考えてみるとすぐわかることですが、生まれてこの方、親や学校や社会で教えた貰った教育が、観念優先の「かくあるべし」教育だったために、その考え方に芯から染まってしまっているのではないでしょうか。
森田では、このことを思想の矛盾といって、神経症に陥る原因とみています。
また葛藤や苦悩を抱えて辛い人生を生きていくことになるとみています。

森田でお勧めしているのは、「減点主義」ではなく「加点主義」です。
今現在は30点でも、50点でもよいのです。

そこを出発点と心得えて、目線を上に向けて、行動を起こしていけばよいのです。
現在の問題点を見つめていると、課題や目標が明らかになってくるはずです。
そういう気持ちで目標を追い求めていると、弾みがついて、100点を通り越して、120点、130点を目指していくことも考えられます。
努力精進していく態度は、無限に広がってくるということになります。
この場合は注意や意識が物事に向いていますので、自己嫌悪、自己否定することはありません。

森田理論の核心部分です。ぜひとも「加点主義」の考え方を、自分のものにしていただきたいと思います。





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Last updated  2022.12.01 06:20:07
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