森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2023.03.23
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北海道浦河の赤十字病院の精神科医川村敏明医師のお話です。

私に「先生が治してくれました」、「先生のおかげです」っていう感謝を述べて退院していった患者さんが数多くいます。
しかしその人たちはみな、再発して戻ってきました。
(では自分は)感謝される医師なのかと。
感謝されるような治療をして、全員が再発するっていうことは、・・・自分の仕事っていうのはなんだろうか、こんなに感謝されながら、みんなが悪くなる、これはなにか大事なことがそこにあるんだなっていうふうに考えるようになりました。

思いあたることのひとつは、よくなる患者、つまりかんたんに再発することのない患者は、医者と「1対1」の関係のもとで回復しているのではない、ということだった。いろんな人のお世話になってよくなっている。
あるいはあれこれの人間関係を作り出し、そのなかで自分を取りもどしていくという過程が、そこには見えてきたのである。

そういう患者は退院するとき、いろいろな人に、意外な人にまで、「お世話になりました」と挨拶している。
先生にだけお礼を言って退院するのは、だいたい再発して戻ってくる患者だった。そこに大事なことがみえてくる。


ただ働くだけではない、もっともっと視野の広い生き方があるのではないか、そのようなまなざしを、医者や患者という関係を越え、人間に対してたがいに注ぐことができるようになったとき、私たちはそこに「恵みが多い世界」を見出すことになるだろう。

そんな川村先生に、北海道浦河町のベてるの家のメンバーは鍛えられている。
ちゃんと苦労をするように、悩みを増やすように、「ひとこと俺にいわせろ」といえるように。その期待に応えて、メンバーの松本寛さんは「統合失調症は友達ができる病気です」といった。林園子さんは「もう治さないでください」といった。
山本賀代さんは「むなしさを絆に」といい、木村美枝子さんは「病気は宝だ」といっている。そして早坂潔さんは、川村先生と講演に出かけたある日、大勢の聴衆に向かってこういったことがある。
「ぼくたちは、先生の失敗作です」治っていないし、治せていない。
とはいえ、それがちょうどいいかげん、なのだ。

そういう患者を育て、そういう患者に育てられ、治すというよりはつきあいながら、年月を経て先生がたどりついた姿は、「自然体」ということだったかもしれない。
それはまた、ベてるの家の人びとが、それぞれに程度の差はあれ、たどりついた姿でもあった。
(治りませんように ベてるの家のいま 斉藤道雄 みすず書房 201ページから211ページ要旨引用)

「自然体」というのは、森田の世界では「あるがまま」ということではないでしょうか。
神経症、統合失調症、命にかかわるような難病、理不尽な出来事、想定外の出来事に次々と巻き込まれてしまうのが人間の偽らざる真実です。

排斥しないで、寄り添って共存する生き方です。
そうすればエネルギーの無駄遣いがなくなります。
森田の「生の欲望」理解して活用すれば、そのエネルギーの有効活用が可能になります。神経質の性格を活かして、小さなことに取り組むようにすれば、人の役に立つことが相当数できるようになります。
さらに自己否定、他人否定をしなくなり、人間関係がよくなります。
自分、他人、自然と折り合いが付き、共存共栄ができるようになります。





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Last updated  2023.03.23 06:42:39
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森田生涯 @ Re[3]:強情と盲従の弊害について(02/27) ststさんへ 今の生活は日中のほとんどが…
stst@ Re[2]:強情と盲従の弊害について(02/27) 森田生涯様、返信アドバイスをしていただ…
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