Bの挫折





ご存知のように、AとBは1歳2ヶ月違いの年子。

1年違うとはいいつつも、幼稚園入学までは

いつも一緒に双子のように育ちました。



BはAと比べて手先も器用で、運動神経も優れていた(というより怖いもの知らずだった)ため

Aが出来ることはすべてBも出来ました。



きっとBは露ほども疑ってなかったはずです。



Aと自分は対等である ということを。



その自信がガラガラと崩れていったのは、幼稚園に入ってから。



Aが入ったのは年中さん。

Bが入ったのは年少さん。



幼稚園の1年違いというのは素晴らしいもので

たった1年違うだけで、やれることがまるで違ってきます。



幼稚園に通っていくうちに、Aに出来てBに出来ないことが出てきました。




おかしいよ、今までAが出来たことは僕も出来たはずじゃないか



でもいくらがんばっても、Aがしていることの意味がBにはよくわかりません。



そのうちBは思いました。




ぼくってバカなんだ。だからAのやってることが出来ないんだ。



私たちがいくら

「あなたとAは1年違うんだから、出来ないことがあっても当たり前なのよ」

と説明しても、Bには納得できません。



だって、今まではAと同じことをこなしてきたんだもの。




「ちがうよ、僕がバカなんだよ」


Bはそのたびに悲しそうに言いました。


目には悔し涙を浮かべて。




さて、このBのコンプレックスをどうしよう?



私たちは、とにかくBを褒め倒す作戦に出ました。



Bが何かすれば


『B、すごいね! 自分で考えたの?』

『Bってやっぱり頭いいんだね~!』



とにかく何かにつけて褒めちぎる。



最初は「そんなの嘘でしょ」という眼差しを向けていたBも

そのうち、だんだんと暗示が聞いてきたようで

私たちが「誰に教えてもらったの?」と聞くたびに



『Bが自分で考えた。Bって頭いいから』


と答えるようになりました。



たしかに君以外には思いつかない発想だけどね(笑)



彼の発言はいつもオリジナリティに溢れているので

私たちは彼が何か言うたびについ「なんでそんなことを?」と聞いてしまうのですが

それに対する答えは版を押したように



「Bが自分で考えた。頭いいから」


となりました。



どうする? コンプレックスを治そうと思ってたら、高慢ちきな子になっちゃったよ(苦笑い)



彼の「Bって頭いいんだよ!」は「僕ってバカなんだ」と同じくらい私たちの悩みの種となりました(笑)



でも、やっとAと対等に戻れたBはさぞかし満足だったに違いありません。



紛らわしく育てられた弟も大変だね(笑)





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いつのまにか、Bの中でAは「対等の人」ではなく「憧れの人」となりました。


どうやら今もそれは続いているようです。




『Aに出来ないことがオレに出来ることも知ってるけど、オレはAみたいになりたい』



BがBのままでも素敵だということに気づくのはいつのこととなるのでしょうね。

















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