山口小夜の不思議遊戯

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2006年05月02日
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 『 父と子と 』 第19節─愛しているよ─

 ワインと水が到着した。

 私は型通りのテイスティングをし、グラスをかざして、
 (『白』だ!)
 一口試して、
 (『白』だーっ!)
 と、そのことだけで満足し尽くし、そこに立って待つウェイターが、ついに、
 「いかがでしょうか・・・・・・?」

 「白だーっ!」
 と、もう少しで叫んでしまうところであったが、私は息子を前にした父だ。
 「うん・・・・まろやかだ」
 私は「適当」を言った。

 私は折り合いをつけられるオトコだ。
 だいたい、言ってから気づいたのだが、確かにまろやかだった。気に入った。
 残りは瓶ごと抱えて帰り、ソファに肩肘を付いてラッパ飲みしたい。いーじゃないか、それくらい──と、そんな気分にさせてくれる、とても優しいやつだ。

 私はもちろん、コレステロールや血圧や神霊と戦い、隙のない男であり続ける旨、決意を固めているが、ただ、自宅で完璧に一人となった夜などには多分、その程度の愚行が必要なのだ。私は折り合いはつける男だ。

 私は息子に何か言いたかった。
 息子はいま、水でよかったのかアルコールがよかったのか、ともあれ水を飲んでいた。
 その息子に、かのウェイターが、いや、よく見ればウェイターにしては風格のある、血圧・コレステ(以下略)共に必ずや私の上を行く、どうやらソムリエであるらしいその男性が、二言三言、声をかけ、息子が笑って、

 と応じたその時、私は心中、実に「にんまり」とした。

 私は父だ。私は息子を誇っている。私の辞書に「愚息」という言葉はない。


                            ─つづくよ─





 本日の日記----------------------------------------------


秋野真珠さま solya兄 舞夜じょんぬさま 架月真名さま 、愛、燦々とさん、juntanさん、oriさん、いずれの方々からも、小夜子の言葉のままでよい、とのアドバイスをいただきました。
 「あいつは」説をとっていたオットも、小夜子の口調ならばここは「あいつが帰ってきた」と言うだろうと最終的にはOKを出しました。語れ! 小夜子、語れ──というわけです(笑)。

 「 あいつが帰ってきた 」の文に関して、「このままお願いします」との確信的な一文を添えて提出したいと思います。
 ご協力をありがとうございました。さすが皆さま、真珠さん、solya兄、じょんぬさま、真名さん(コメント順)、juntanさん(絵本作家を目指していらっしゃいます)、oriさん、皆さま文章を書き慣れた方のアドバイスであると瞠目させていただきました。ほんとうに・・・・凄い、凄みまして素晴しい助っ人陣に恵まれました。

 さて、本日も急遽別のテーマを取り上げさせていただきます。
 (今日は決してしんみりとしているわけではなくて・・・・確信に満ちて元気に更新しております!)。

 『青木学院物語』のHP時代からの支援者であるよっくんさんから、
 「 青木のイメージにぴったり合う曲」 をプレゼントいただきました。
 (私自身は「イメージの曲」という概念がなかったので、新鮮な喜びでした)。
松岡英明の「Light and Colour」 という曲です。
 ヒカリと色彩という意味ですね──。

 “よっくん”さんからは以前からこの曲についてご紹介いただいていたので絶対にCDを見つけて実際に聞きたかったのですが、なかなか手に入る機会がなくて、今に至っていたのです。
 けれども、二日前によっくんさんが寄ったBOOK OFFに偶然(いや、もはやすべては必然か)置いてあったそうなのです。
 それも、一回探したら見当たらなくて、他のコーナーに行ってまた戻って見てみたら、この曲が載っているCDだけがあったそうです。つまり、松岡さんのCDはこの一枚だけで、それはよっくんさんが探していた曲が入っているものだったと・・・・。

 不思議ですね。とのお手紙をいただきました。

 よっくんさんが青木のHPを開いたとき、話を読み終わったとき、いつも流れていたメロディ。
 この方、音楽家の方です。ピアニストです。

 よっくんさんには楓のことをとても気に入っていただいてるのですが・・・・昨日の夕方にポストをのぞいてお手紙を受け取り、すぐにこの曲を聴かせていただいて、私の中にふと浮かんできたとある確信があります。
 私は出版化が決定した折のご挨拶の際に、心臓移植を望んでいる子供のために、この『青木学院物語』で得たまとまったものをぜひお役立てしたい、と申し上げたことがあります。

 よっくんさんからいただいたCDを聴いているうちに──「心臓移植も大切だけど・・・ 死の近い子供たちが、自分の生きた意味を知ることができるような 施設や環境の立ち上げ、あるいは整備に関われば・・・」という声を聴いたような気が致しました。
 もちろん、心臓にかかわらず臓器移植など、生きることを望む子供たちへ差し伸べる手も絶対に必要です。
 けれども、 長く生きることができない子供たちが、自分の生に誇りを持つことができるような 環境について目を向けろ──誰かにそう言われたような気がします。

 心臓移植さえしていたら、あいつは生きられた──間違った(偏った)考えであることはわかっているのに、どうしても・・・・あれから二十年近く経っているのにまだ全然思いきれていない私に、誰かさんがアタマごなしに叱ってくれたのかも。
 「おれがこだわらなかったんだから、おまえもいいかげん心臓移植にはこだわんな!」というわけです(笑)。
 自分のわだかまりを出版化で昇華するのはやめよう。
 私は書かされているだけ。今生での使命を終えてなお、あいつにはなにかを動かす力があることを私は信じています。
 そう考えれば、リライトの作業などは苦労のうちにも入らないことに気づくことができました。
 こんなにも皆さまに支えられているのだから。

 よっくん、ありがとう!
 CD、大切にします。
 そして、皆さま、本当にありがとうございます。
 このことについて、青木の“あとがき”で触れさせていただくかもしれません。


 明日は●17歳バトンがまわってきた!●です。
 solya兄からの17歳バトン。
 17歳といえば、小夜子が『青木学院物語』を書いた齢じゃないか!
 泣かせる企画をくれるねぇ、兄さ。
 明日、楽しみに待っててね。


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 追:松岡英明さんの“We Love You”も「青木っぽい」そうです。お手持ちの方はぜひ聴いてみてください☆ 皆さま、もし『青木学院』や登場人物のイメージに合う曲などがありましたら、その都度どうかご紹介ください。
   楽しみに──わくわくして待っております!







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最終更新日  2006年05月02日 08時43分59秒
コメント(14) | コメントを書く


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うわーん、小夜子さんすみません!!  
架月真名  さん
せっかく昨日の日記で私のお願いしたテーマを語っていただいたのに、コメントしなくてすみませんでした!! 昨日は疲れて眠ってしまって~申し訳ないです。

いまさらですけど、私の思ったところを書きますね。私も「あいつが」がいいと思います。感覚的なものなんですけど、「あいつは」だとそれだけで文章が終わらずもう一文必要な感じがするんです。たとえば「ひょっこりあいつは帰ってきた。何もなかったような顔をして」みたいな。「あいつが」だとその文章でひとくぎりがついている気がします。あくまで私の感覚なんですけど…。

その編集の方、確かに私に似ていると思います。私はたとえば細木数子さんにはなれません。自分の意見を押し付けて「こうしなきゃ駄目よ!」なんていいきれないんです。(続きます) (2006年05月02日 13時07分29秒)

続きです。  
架月真名  さん
真実はひとつしかありませんが、そこにいたる道筋はたくさんありますよね。小夜子さんの編集者さんが自分の決めたルートをひとつだけビシッと押し付ける人ではなく、「こんなルートもありますよ~。あ、こんなのも」といろいろ示す形をとる人であれば、それはまさに私と同じやり方です。自分の意見を押し付けるなんてできません。「私はこう思うんだけど、あとは自分で考えてね」というだけです。ただ、私の場合は自分の意見に自信がないだけなんですけどね。

「心臓移植も大切だけど・・・死の近い子供たちが~」の文章を読んで、私はあるネット小説家さんが書いた小説の主人公のことを思い出しました。この主人公は刑務所から出所した人の再就職を支援するボランティアをやっているんです。(続きます) (2006年05月02日 13時21分09秒)

すみません~駄文をだらだらと。  
架月真名  さん
同列に語るべきでない話題ですみません…。でも小夜子さんのなさろうとしていることと、先ほどの小説の主人公のやっていることは、私に同じ感覚をもたらしました。というのは「そういうボランティア(または寄付)があるなんて知らなかった」ということと「それは人間の尊厳にかかわる問題だ」ということです。一見無駄ですよね。なぜ犯罪を犯した人を助けなくてはいけないのか、もうすぐ死ぬ子にお金を使わなくてはいけないのか。でももしその人が心から悔いてやり直したいと願っているのであれば、長く生きることができない子供たちが、自分の生に誇りを持つことができるのであれば、それを手助けしてあげる人がいていいと心からそう思います。小夜子さんのなさろうとしていることは、とても有意義ですばらしいことです! 

なんだか取りとめのない、訳の分からないことをつらつら書いてすみませんでした…。ロールケーキ、家族で完食しました! ありがとうございました!! おかしなことも書きますが、ごめんなさい~これからもよろしくお願いします!! (2006年05月02日 13時32分10秒)

Re:うわーん、小夜子さんすみません!!(05/02)  
小夜子姉貴  さん
架月真名さん

真名さーん、待ってた☆

でも嬉しいんです。真名さんのペースでコメントいただけるだけで、ほんとに嬉しいんです。
今日はとくに真珠の姉御がでぇとに行ってしまったので、真名さんが遊びにいらしてくれて嬉しかった。私たち、愉快にお留守番してましょう!

真名さんも「あいつが」説を支持して下さいますか。感覚的に、「あいつは」の後にもう一文付くような気がするという指摘は、目からうろこのご指摘でした。とても自分ではとらえられない感覚です。
真名さんの感性の鋭さに、感嘆させていただきます。ありがとうございました。自信を持って、締め切りに提出します!



(2006年05月02日 13時43分29秒)

Re:続きです。(05/02)  
小夜子姉貴  さん
架月真名さん

真名さん、考え方がとても柔軟で素敵ですよね☆
それからそれから、真名さんと編集者の方の私の独断と偏見による共通点は、“とっても元気でおきゃん”という一面も、もれなく付随しているのです。

編集者さんは鳥取のご出身ではないのですが(もしそうだったらあまりのシンクロ率が逆にコワイが)、私のこよなく愛する真名節(「あのですね小夜子さん」などのこちょこちょ話的な可愛い出だしとか)がそのままソックリなのです!

だから、私はそう呼びかけれらるたびに「なになになに!? どうしたん、どうしたん???」と耳を傾けてしまうのです☆

もー、ほんと嬉しいですよね私としては。
たまらん、といった感じです。

真名さんにも編集さんにも、ご指摘だけでなく元気をパワーを充分にいただいております。真名さんの元気印の文体のことは、こちらに遊びに来ていたいている皆さまにもすごくよくわかっていただけると思います──ね、皆さま!



(2006年05月02日 13時53分27秒)

Re:すみません~駄文をだらだらと。(05/02)  
小夜子姉貴  さん
架月真名さん

そう──私もボランティアとか、あんまり関わりのない人生を送ってきました。

私立の学校に通っていたので、ボランティアとかにすごく力を入れている校風だったのです。それで、中学生の時、精薄者の方の施設に慰問に行って、椅子取りゲームを一緒にしたとき「○○学院の生徒さんは椅子から一歩離れて回ってくださーい」と司会の人に言われて、その場で舞台袖に司会者と引きずりこんで、食ってかかってしまったことがあったんです。
みんなが聞いている前でそんなことを口に出すもんじゃない!──と。

以来、ボランティアという意識からはなんとなく遠ざかりたい自分を感じていました。
でもなんていうのか・・・おそらくは今私が思っていることは、私が主体的に動いていることではなく、私にやらせたい誰かがほかにいるような感覚があるのです。なんかこう、やらなくてもいいんだけど、やらないときっと私の中に一生ひっかかっているであろう感覚。

もっとぶっちゃけてしまうならば、もしも「印税」のようなものが幾ばくかなりとも私のもとに入ってくるとすれば、「これ、何に使ったらいいの」という当惑めいたものを感じるだろうと思うのです。

なにか──私にはできないなにかに使っていただれば、それが誰かのエネルギーになって、ひいては私の新たなエネルギーになるのかもしれません。

無名の作者の物語を読んでいただいた──こんな心の優しい人たちならば、そのために使った本代が病児のために振り込まれることを知っても、きっとこころよく許してくださると思うのです。

真名さん、刑務所から出所した人を支援する方のお話、教えてくださってありがとうございました。深く考えさせられます。

ロールケーキ、よろしければまた騒動が鎮静化した後にまた・・・。本当に本当にお世話になっているのですから──真名さん、ありがとうございます!


(2006年05月02日 14時14分39秒)

Re:『青木学院物語』出版化への道のり 第19節●イメージソングをいただきました●(05/02)  
しばらくご無沙汰をしています。

「17歳バトン」楽しみです。
(2006年05月02日 20時31分53秒)

本当に日記に載ってる・・  
よっくん さん
こちらでは初めまして。。CDの事、心に届いてくれたのなら嬉しく思います。松岡ファン暦かなり長いので、もう松岡英明Hideaki Matsuokaという文字はすぐロックオンするのですが、今回は一回で見つけられず、二回目で出会えた不思議な経験でした。この曲きくと、抑揚がまったくついてなくて、主旋律も対旋律も最後の音も全て同じ大きさの音でなりたってます。またそこが素朴であり、自然であり、水が滴っているような雫のような音です。機会があればお聞き下さい。小夜子さん、、ベジータにも読んでもらいたいね、あいつの感想ききたいなぁ (2006年05月02日 21時26分22秒)

Re:本当に日記に載ってる・・(05/02)  
小夜子姉貴  さん
よっくんさん

べジータ!!!
あたし、今日べジータのこと考えてたんだよ!

あいつ意外に絵がうまかったよなぁって(笑)。
で、イメージを入れて原稿を少し書き直したんです。
読んだら感想くれそうだよね。けっこうマジな感想くれそう・・・だと思うのはあたしだけ!?ちなみに、罰ゲームであいつが『エデンの東』で泣いたと告白した時、「泣いた赤鬼」とか言ったら「てめーふざけんな」って向こうの椅子から小さい足で蹴られました。

あとさ。あいつに電話かけたら回線が悪いのかすんごいザーザーいっててさ、「なに!? いま滝に打たれてんの?」とか聞いたら、「ちげーよ!」って電話の向こうで大爆笑してたよね。

あたしたち、スーパーサイヤ人として戦っていた頃が懐かしいですね。

なんだかちょっと・・・昨日、イメージ画、タイトルまで思いついたんです。やっぱり音楽の力って偉大だなぁ。

よっくんありがとう!
コメントもくださってありがとう!
嬉しかった☆

(2006年05月02日 22時31分02秒)

Re[1]:『青木学院物語』出版化への道のり 第19節●イメージソングをいただきました●(05/02)  
小夜子姉貴  さん
ゆうじろう15さん

出版化されたら、ゆうじろうさん、畑で一服しながら読んでください。ぜひ。

ゆうじろうさんにも17歳があったのですね。
「らしい」17歳の姿が思い浮かびます・・・。
(2006年05月02日 22時33分57秒)

夜も更けてまいりました。。。  
solya  さん
戸締まり、火の元の用心。。そんで、風を引かないようにおへそをかくしておやすみくださいませ。。

・・・と実は本日何度目かの訪問。

>死の近い子供たちが、自分の生きた意味を知るこ
 とができるような。。。。

なんとなく、軽々に書き込めなくてなぁ。。。

短くても生きる意味は必ずあるから・・。
でも、人情として1日でも長く生きてくれとも思ってしまうし。。。


ともあれ、明日のドラマを楽しみに。。。。
おやすなさい。

(2006年05月02日 23時24分37秒)

Re:夜も更けてまいりました。。。(05/02)  
小夜子姉貴  さん
solyaさん

優しいひと。

一日でも長く生きてほしくて──それでも本当に無理だというとき、あいつが必ずそばにいて、「元気力爆弾的発言」をしていることを伝えられたら。

なーんてね。

おやすみsolya兄。
お嬢ちゃまたち、寝冷えしないように見守ってあげてね。

(2006年05月03日 01時33分51秒)

Re:『青木学院物語』出版化への道のり 第19節●イメージソングをいただきました●  
愛、燦々と さん
小夜姉さまのお心に導かれています。生と死の尊さを感じます。 (2006年05月03日 10時10分15秒)

Re[1]:『青木学院物語』出版化への道のり 第19節●イメージソングをいただきました●(05/02)  
小夜子姉貴  さん
愛、燦々とさん

本当に、私は皆さまと同じ時代に生まれて来られてよかったです。
これは私の幸運です。
(2006年05月03日 20時52分14秒)

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