コンベンションセンターへ何度出かけたろうか。
数えるくらいだけれど、冬道は初めて。
青い芝生と違う白い雪景色は全てを包んでいて感じが良かった。
あの頃は、ひとりで来るなんて考えたこともなかった。
ぽっかりと空いたままの心を白い雪が自然に包んでくれるようだった。
方波見先生の講演は今回で2度目。
今回の主題「人はなぜ涙するのか~悲しみの時代ケアを考える~」だった。
時間を間違い1時間早く着いたお蔭で
心配の駐車場確保はバッチリだった。
講演会場には、医療従事者達が前の席に先に来ていて
一般者達が後ろの席に着いていた。
先生がはるか向こうに見え、いつもの声調で聞えて来た。
現代は「多死社会」で年間114万余りの人々が死亡し、
3分の2が75歳以上で、小都市1つが消えているということに驚いた。
60歳になったなら、あとはおまけと考えていくという人生観も
あったりするけれど、後期高齢者の年齢に合わせる様に
なっているのかと家に帰ってから思った。
75歳以上はさらにおまけということになるけれど
それは自立した高齢者が前提。そうでなければ生きることは辛い。
幸いと言うか
私の周りでは比較的自立していて励まされている。
先生が「モリー先生の火曜日」の本を読んだことがある人、
手を上げてと突然語りかけた。
目が覚め、躊躇することなく私は挙手した。
私が読んだのは「モリー先生の最終講義」だったのに。
闘病中の夫へ偶然探して上げた本だった。
記憶がとぎれとぎれになってしまったけれど、夫が素直に「いい本だね」と
言って読んでいた本だった。
介護していた時代に助けられた唯一の本になった。
講演に行き、間接的に出会った本がまた、
命の尊厳を持って、その人らしく終焉することの難しさ、
切なさ、寂しさの先に現れた嘘のような「ありがとう」を
思い出させてくれました。