がちゃ☆がちゃ

朝がきた 2005.6.16



今日も病院に行くが、午後3時からしか面会はできないとのこと。
それまで何をしていたらいいだろう?

ふと思う。
昨日の朝に、戻ってくれたら・・・
できっこないとわかっていても、ついそう思ってしまう。

病院からいったん母たちが帰ってきた。
父は変わりないとのこと。

母は、昨日の朝食以後、何も食べていないので食事を勧めるが食べられない。
こんなに憔悴しきった母を見るのは初めてだ。

私は家のことを手伝ったり、子どもの面倒を見たり・・・
何かすることがあると少し、気がまぎれる。
でも、頭の中は父のことばかり。

母が決心したかのように、お葬式の段取りをし始める。
「家が大好きだったお父さんだから、大変だけれど家でお葬式をするから」
仏壇の道具を磨いて欲しいと言われ、旦那と私の二人で黙々と磨いた。
何でこんなことをしているのか、自分でも理解できないまま作業していた。



午後になり、病院へ。
面会時間は一人10分と言われるが、母の様子を見て「静かにしてくださるのなら
30分くらいいいですよ」
と看護師さんが言ってくれる。

私は「お父さん、自分で息をしてね」と言うのが精一杯。
手や、足をさする。

頭の病気をすると体温調節などができなくなる事から、この日父は発熱していた。
詳しい体温を教えてくれなかったが、38度くらいあったらしい。

頭と、脇にアイスノンを敷いて冷やしていた。
心なしか手が、硬くなっているような気がした。

1晩たつとICUも人が入れ替わっていて、父も病室を変わると告げられた。
今度はHCUへ移動する。

ここで私は一旦自宅に帰ることにする。
父の状態も少し安定したことだし、着替えなどを取りに帰らなければ。

旦那も一緒に来てくれたので、3人で自宅へ向かう。
病院を出る前に母から喪服の用意をしてくるよう言われた。



自宅に着き体調が悪い、いのぴーを旦那に託し病院に連れて行く。
その間、荷造りをする。
荷造りをしながら、声をあげて泣いた。
こんな思いは初めてだった。

でも、私は長女。
しっかりしなければ・・・
実家に帰るまでにはしゃきっとしよう。

旦那といのぴーを旦那の実家に頼んで一人で電車に乗った。
途中弟から「駅まで迎えに行くから電話くれ」とメールが来る。

3人兄弟で女は私だけなので、大人になってからはほとんど話もしなくなっていたが
昔と変わらず優しいところがあったことにほっとしたりして・・・。
家に近づいてきた頃、弟の嫁さんから電話。
一番下の弟が倒れた。

たぶん過労だろう。
病院で診察をしてもらうとそういわれたそうだ。

みんなお父さんのことがショックで仕方がない。
弟たちは家業をついで、父と一緒に仕事をしていたので衝突も多く、
口悪く反抗することも、珍しくなかった。

その弟たちが泣いていた。
父の偉大さを痛感し、大切な存在だと・・・
こんなことが起きて、初めて気づくのかもしれない。

幸いにも弟は大事に至らず、睡眠と栄養を摂るように言われて帰ってきた。

この日、久しぶりに母と私たち兄弟だけで今後についての話をする。
みんなかなり疲れている。

しかし、自営業の実家はほかの人に迷惑をかけられないので明日からは
仕事を再開させることにした。

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