闇夜に浮かぶ悪魔達の集会場

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小説(?)


EARTH


-人はEARTH、つまり地球に生きている。
しかし同時に地球を蝕んでいる、地球の人間は母なる大地の保存のため、宇宙へと旅たった。
だが地球の引力は人々の心まで巻き込み続けている-

~第一話、吉報~

「・・・・・で?」

ベッドから上半身をだるそうに上げながら、黒に近い茶髪の男はだるそうに返事をした。

「で?って・・・ロニ兄貴、これがいかにすごいことかわかんないの!?」

力説するのはひょろっとしていて、ひ弱そうな印象をあたえるカイという少

年だった。彼達は実際に兄弟というわけではないのだが、何かと助け合って

いる。彼は茶髪の、ロニと呼ばれた男に最近仕入れた情報を伝えたの

だ。その情報というのは、地球に移住できるということだ。今彼達はコロニ

ーと呼ばれるシリンダー状の宇宙居住区に住んでいた。彼達の祖父祖母が地

球保存計画に参加し、宇宙に住まいを移したのである。しかし、その計画も

三代続くとさすがに薄くなる。彼達はまだ見ぬ地球に夢を抱き、いつかは地

球に降りてやると言う一種の野望があった。大抵の家庭ではそれを親がなん

とかおさえるのだが、彼達の家庭に親と呼称される存在はない。共働きでジ

ャンクヤードの管理をしていたのだ。だが監視局の展望室に待機していた時

にジャンクを拾っていた新米の操作ミスにより展望室に衝突、その衝撃でガラスが砕けてしまったのだ。

そのまま宇宙に投げ出されてしまって、遺体は回収すらできなかった。

そんなこともあってか彼達は宇宙を憎んでいる。たった一枚のガラスが砕けただけで

一つの命がなくなるのだ。そんな恐怖と隣り合わせでは生きていけない。そんな思いも手伝って

いるのかもしれない。そんなところにカイが美味しい話として地球降下作戦についての情報を持ち込んだのだ。てっきりカイ自身はロニも

食いつくと思っていた。しかし予想よりロニの反応は面白くないものだった。

「くわしく説明するよ?今このコロニーの宇宙港にはなにがきてる?」

「・・・地球連邦軍の運送船?」

「そう!その運送船にもぐりこめば難なく地球にいけるんだよ!!」

「難なくねぇ~・・・んじゃぁ質問するけどさぁ~」

「?」

「運送船の中身は?」

「新型MSってうわさだけど?」

「そのMSは緊急時にはどうするようになってる?」

「宇宙に放棄して、後に回収・・・?」

「そんなデメリットの高いことするわけないだろ?操縦士が乗って宇宙に解放。単機で大気圏突入、地球で確認されしだい回収だ」

「それが・・・?」

「わっかんないかなぁ~、俺たちがその緊急時の原因になるかもしれないんだよ」

「へ・・・?」

「んで、俺たちはノーマルスーツも何も来ていない。宇宙に解放されたらどうなる?」

*ノーマルスーツとはMSのパイロットが着る機密性のあるスーツの事である。

「・・・膨張して、破裂・・・・」

「そう!つまりそこまでして地球に降りたいとはおもわないだろ?」

「うん。」

「じゃぁあきらめようか」

「でも!!」

「でもじゃない。どんな事してでも降りる気だったけど自分の身を害してまで降りたくは無い!」

「・・・・・・」

カイは下を向いてしまった。そして脱兎のごとく外にでてしまった。

その後姿を不安顔でロニは見つめていた。

-------------------------第一話  完------------------------------







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