『VENGEANCE』 7



ドグッ

ミコトの剣がsyouitirouをとらえた鈍い音があたりに響く。
「ちぃ。」
攻撃を受けたsyouitirouは驚いたことに大したダメージを受けていなかった。
しかし攻撃を許してしまった事への焦燥感からか思わず後退りした。
その隙をミコトは逃さない。
着地した後間髪入れずにsyouitirouを攻め立てる。

シュ

鮮やかな軌道を描きミコトの剣が奔る。


「久しぶりに見たが成長したな。」
Stojikovicが思わずそんな事を呟く程にミコトの剣技は上達していた。
ただ速いだけではない。攻撃の一つ一つが次の攻撃に繋がる為の動作を兼ね備え実際の攻撃速度をより速く見せ剣筋を華麗にそして滑らかなものにしていた。
そして確かなスピードと力に強弱をつける事により生まれる威力が剣に斬れ味を宿らせ、その華麗さからは想像出来ない程の攻撃力を剣に与えていた。


「ぐぅ・・。」
先程の攻撃では大したダメージを受けていなかったsyouitirouだったがミコトが次々と繰り出す攻撃には確実にダメージを受けている様子だった。
「効かんわ!」
ミコトの攻撃を受けながら懸命にsyouitirouが反撃を繰り出す。
しかしその攻撃は先程までの様な猛々しいものではない事は誰の目から見ても明らかな物だった。
syouitirouの攻撃を防御せず自らの肉体で受け止めたミコトが叫ぶ。

「パラレルスティング!!」

横一列に分身した8体のミコトが一斉にsyoutirouむけ攻撃を繰り出す。
それに対しsyoutirouが体をひねらせ必死に攻撃をかわそうと試みる。
攻撃のうち2つが無常にも空を切った。しかし残りの6体の攻撃が次々とsyouitirouを捉える。

ガガガガガガッ

―よしっ!

剣がsyouitirouを捕らえた事で一瞬ミコトの気が緩んだ。


バキッ


不意にミコトを激痛と衝撃が襲った。
その衝撃に押されミコトが後方へと吹き飛ばされた。
「くっ。」
急いで体勢を立て直すミコトを平然とした表情のsyouitirouが舌なめずりしながら見下ろしていた。


「だから油断はするなと言ったのに・・・。」
先程までとはうって変わり苦虫を潰したような顔でStojikovicが呟いた。
「さすがにsyouitirouも気付いたでしょうね。」
横で同じ様にmikusukeが呟く。


「がはっ。」
―俺は何をやっているんだ・・・せっかくのストさんのアドバイスを棒にふるなんて
―それにどんな状況であっても戦闘中に油断してしまうなんて・・・


体は相手に合わせて迎撃体勢に入ってはいるが自分でもまさかの油断に心がついていってなかった。
それを見透かすかの様にsyouitirouがまくしたてあげる。
「一瞬驚かせられたが反撃にいたったタネはもうわかった。それがわかればこっちの対応も変わってくるというものだ。」
「くく・・・貴様にはこれからじっくりと地獄の苦しみを味あわせてやる。」
syouitirouが不敵な笑みを浮かべる。














『真説RS: 赤石 物語』 第1章 『VENGEANCE』-7







「父上、ひょっとするとあの指輪には相手の能力を低下させる付加能力が備わっていたのですか?」
風陣がmikusukeに尋ねる。
「どうしてそう思う?」
逆にmikusukeが尋ね返した。
「ミコトさんが攻撃を与えた時点から明らかにsyouitirouの攻撃力と防御力が落ちました。今思うとルジェ姉さんのグランドシェーカーやミコトさんのウォークライ、トワープロテクターで一瞬足を止めたのもそれに関係しているような気がします。」
「そうか、よく気がついたな。」
「syouitirouはゴッドギフトを持っているがゆえに抵抗というものに対して疎いところがあった。ルジェがグランドシェーカーを放った時に足を止めたのも状態異常抵抗を疎かにしていたからだ。」
「それに気付いたミコト君はクライとトワーでsyouitirouの足を止め反撃に出た。そして指輪に備わっている付加能力をいかしていったんは攻勢に至った。ということだ。」
「なるほど・・・指輪の付加能力は武器破壊と防具破壊だったんですね。」
「あぁ、しかし効果が永続的に続くわけではない。今回は丁度パラを放った瞬間に効果が切れたわけだ。攻撃が決まったと思ったミコト君はそこで油断してしまってsyouitirouのカウンターを許してしまったわけだが・・・・」
mikusukeが視線を変える。
―これからが本当の正念場だぞ・・・・ミコト君
視線の先には必死に体勢を立て直そうとしているミコトの姿があった。


「さて、そろそろいくかな。」
そう言い放ちsyouitirouがミコトめがけ勢い良く飛び出した。
「はぁ!」
ミコトが再度ウォークライを放つ。
そして先程と同じようにsyouitirouの動きが止まった。
「くく・・・チャンスだぞ?来ないのか?」
そう言ってsyouitirouがミコトを挑発する。
しかし、ミコトは攻めに転じることができなかった。
「ほぉ、思ったより利口だな。気付いたか。」
―駄目だ。この距離でスタンさせてもこっちの攻撃が届く前には効果は切れている・・
―トワーを放つにもおとなしくあたってくれるわけがない・・・

「八方塞だな。だが時間をかけすぎるわけにもいかないんでな。」
syouitirouがわずかに体を捻らせる

シュボボボ

syouitirouの体より生じた火の玉がミコトむかい一直線に走っていく

「くっ。」
火の玉をかわしたミコトの目に既に攻撃体勢に入ったsyouitirouの姿が映った。
「ひゃーはっはぁ。」
狂喜の雄叫びを叫びながら自身のスピードにのせた一撃がミコトに襲いかかる。


















© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: