『出会い』 2

これははじまりの詩

はるか昔、1つの出会いが生んだ悲劇
時を経て運命を背負いし『悲劇の子』達がその歩みを交差させる時
運命はその終点に向けて時を刻み始めるでしょう
そう、運命の歯車によって動く時計の様に・・・

ミコト・・・

あなたの進む先には様々な苦悩、困難が待ち構えています
どうか忘れないでください、あなたが信じ進む道こそあなたの進むべき道なのだと
私はいつでもあなたを見守っています
そして祈っています
あなたが進んだその先が大きな祝福の光で満ちているように・・・










『真説RS: 赤石 物語』 第1章 『出会い』-2






チュンチュン


「ん・・・ん~~~~~はぁ~、よく寝たなぁ・・ふぁ~」
窓の外では小鳥のさえずりが朝が来た事を告げている
  ・・・・・
昨日あんなことがあったせいかいつもより深く眠れた様子だ


「なんか夢ですごく懐かしい声したけど・・・気のせいかな・・・・」
「うぁ!もうこんな時間!!」


ミコトはベッドから急いで飛び降り旅の身支度をしはじめた


「おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
「寝すぎで逆に頭がぼぉっとしてます。」
「はっはっは、見たところ冒険者の様ですね、たまには寝すぎる事も必要ですよ。」
「そうかもしれないですね。」
ミコトは笑顔でこたえ宿屋をあとにした


道のいたるところで露店が開かれている。
その様子はさながら昼間からお祭りのようだ。
少し中心街からはずれるとベンチの上で昼寝をしている青年、追いかけっこをして遊ぶ少年・・・
そんなのどかな風景がとても心地よく感じられた。


しばらく歩くと一件の建物が目に入った
屋根は赤褐色で淡いクリーム色の壁が周りをおおっている。
古都ではよく見られる造りの建物だがその大きさが特別な建物である事を示していた


ザワザワ


一面に広がる絨毯の上では冒険者らしき人、事務員、様々な人が忙しそうに動き回っている。


「ブルネンシュティングギルド連合申込事務所へようこそ、ご用件をお伺いいたします」
「えっと、ギルド加入権を申請お願いしたいんですが」
「わかりました。ではこちらの申し込み用紙にご記入いただけますか?」
「それと、市民権の写しが必要なのですがご用意いただけますか?」
「それなら・・・・・これでいいですか?」
そう言い、昨日のうちに得とくしておいた市民権の写しを胸元のポケットから取り出し申し込み書と一緒に渡した。
「はい、こちらで大丈夫ですよ。申し込み書も・・・・・これで大丈夫ですね。」
「それではあちらの部屋でお待ちください」
「はい、わかりました。」
そう言うとミコトは事務員が指さした部屋へと足を進めた。


ガチャ


「あっ!最後の一人が来たのね。」
「ん?んーーーー??」
そう言いながら部屋の一番奥にいた女性がこちらに向かってくる。
「あーーーー!やっぱりそうだ!!覚えてる??」
「えっ?えっと・・・」
「昨日の事なのに忘れてるの?」
女性は少し顔をムッとさせている。
「ぷっ・・akariさん・・・そん時鎧着てたんじゃないんですか・・・?」
その後ろの男性は笑いを堪え切れない様子だ。
「あっ・・・・・そうよね・・・ごめんなさい・・」
「ははは、akariさん天然だからなぁ。」
「あの・・・・・昨日助けてくださった剣士さんですか?」
部屋に入ったときから圧倒され続けていたがようやくミコトが口を開いた。
「うんうん。心配だったけど元気そうでよかった。でもこんなとこで会うなんて偶然ね。」
「昨日は本当にありがとうございました。でもなんでこんなところに・・?」
「そうね、人数も揃った事だし説明始めましょうか。」
「はーーい。akariさん?の事よく知りたいです!」
akariが喋るのをふさぐ形で近くにいた青年が口を開いた。
年はミコトを同じ位だろうか。


・・・・・・


一瞬の静寂のあとakariが口を開いた。
「・・・・・・・・・・ん?えっ、何?何?」
「えっ・・・・」
呆気にとられた様子の青年だったが
「はははは、だから言ったでしょakariさん天然だって」
その一言で部屋は笑いにつつまれた。
「えっ?もう・・・何笑ってるのか教えてよアンちゃん!」
いまだに状況が掴めてない様子のakariの顔はまたムッとしていた。
「ふふ、面白いですね。ミコト・・天乃(あまの)ミコトっていいます、よろしく。」
「ははは、まいったな・・・・自分はバアルです、よろしく。」
そう言って二人は握手をかわした。


―カチン


その瞬間、どこか遠いところで歯車と歯車が噛み合う音がした。





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